ちゃん社長

香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話…

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香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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  • ちゃん社長のコンテナ・海運業界・マレーシアの裏話。

    香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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【初回無料公開】Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第1話 ポートクラン(Port Klang)への道のり

(こちらは有料の定期購読マガジンですが、初回のみ無料で公開しています。是非お楽しみ頂ければ幸いです。またこの物語にはフィクションが含まれますが、書かれている内容は筆者の体験に基づいています) 午前7時20分、氷堂 律(ひょうどう りつ)、通称ちゃん社長は玄関から表に出た。マレーシアの日の出は日本に比べて遅く、朝7時30分頃にならないと外は明るくならない。この太陽が昇る前の時間に近くを散歩しながら朝食を取るのが氷堂の日課だ。 氷堂が住む町はジェラム(Jeram)という町で、

    • 「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第77回 日本で副業はどこまで広がるのか?

       2023年10月16日、政府は規制改革会議を開きました。その中で主な議題となったのが、「副業」です。政府は副業が幅広い業種で直面している人手不足を解消する手がかりになることを期待しており、副業がしやすいように労働時間に関する規制を緩めることも検討しています。  確かにこれまでの日本では、副業禁止の企業が大半でした。しかし近年は政府が副業を推進していることもあり、解禁する企業も増え始めています。逆に企業の側としても、フルタイムワーカー以外の就業者を積極的に受け入れることで

      • Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第78話 偽造品のショールームビジネス

        前回の話はこちらから。 https://note.com/malaysiachansan/n/nfb2bac701e19  この話は2019年12月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、香港にいた。もともと氷堂は10代後半から横浜の港湾で働いていたが、縁あって2010年からは香港の大手コンテナリース会社で働くことになった。そして2016年まで勤めた後、マレーシアの子会社の立ち上げを任され、ポートクラン

        • 「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第76回 金は本当に安全資産なのか?

           2024年4月3日、米国ニューヨーク商品取引所では、金の先物価格が1オンス2,315ドルという史上最高値を更新しました。これは前日よりも1.45%も高い金額で、わずか1か月半で15%以上も上昇したことになります。実際、2024年に入ってからも金価格は上昇を続けており、非常に堅調な相場が見られます。  ではなぜ金価格は上昇しているのでしょうか?それは金が「安全資産」と考えられているからに他なりません。特に2023年10月に生じたイスラエルとハマスの戦闘以降、中東情勢は悪化

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第77話 Huaweiの世界戦略が目指すもの

          前回の話はこちらから。 https://note.com/malaysiachansan/n/n6ca5242a3061  この話は2024年2月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、クアラルンプール市内のとあるバーにいた。氷堂の自宅はここから1時間以上かかる片田舎にあるのだが、ちょうど金曜日の夕方に打ち合わせが都心で入っていたこともあり、このバーに足を運ぶことにした。隣にいるのは、古くからの友人の孝

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第77話 Huaweiの世界戦略が目指すもの

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第75回 日本で40代以降のリストラは増えるのか?

           2024年2月29日、資生堂のCOOである藤原憲太郎氏は社員向けの動画を発表し、大規模な早期退職募集を行う意向を明らかにしました。その社員数は実に1500人に及び、日本事業の従業員の1割超に相当します。何より周囲を驚かせたのが、その対象者です。今回の早期退職は、45歳以上・勤続20年以上を対象としており、これまで会社を支えてきた中堅社員がリストラの危機に面している状況です。  同様の事例が他の企業でも見られます。2024年2月26日、オムロンは国内で1000人、海外で1

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第76話 パレスチナ紛争がもたらしたもの

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/nc96efc568951  この話は2024年1月まで遡る。マレーシアのポートクランでコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、テレビのニュースを眺めていた。遡ること3か月、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、1200人が殺害され、外国人を含む240人が人質になるという事件が起きた。これを機に

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第75話 高度人材の海外流出がもたらすもの

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/ndcc014343f78  この話は2022年まで遡る。マレーシアのポートクランでコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、サイバージャヤという都市にいた。この街はマレーシアの首都クアラルンプールから南に50kmほどの距離にあり、今から30年ほど前までは、何もないジャングルの原生林だった。しかし1990年代後半、マレーシア政府はこの地にハ

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第75話 高度人材の海外流出がもたらすもの

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第74回 TPPはどこへ向かうのか?

           2023年7月16日、日本を含む環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟11カ国は、ニュージーランド・オークランドで閣僚会合を開きました。会合の中では英国の新規加入が全会一致で承認され、これによりTPPの経済圏が太平洋沿岸から欧州に拡大した事になります。一方で少し前の2021年9月には、中国と台湾の両政府が相次いでTPPに加盟申請したことも話題になりました。両国の駆け引きは今も続いており、水面下で激しい攻防が繰り広げられています。  ただ振り返れば日本がTPPに加盟する際に

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第74回 TPPはどこへ向かうのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第74話 密猟により絶滅に瀕するマレートラ

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/nece83e779c27?magazine_key=m0838b2998048  この話は2019年に遡る。マレーシアのポートクランでコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、オフィスで事務作業を進めていた。ちなみに氷堂のオフィスからコンテナが保管されている保税区までは2kmほどの距離なのだが、基本的に氷堂は何か特別な用事がない限り、保税

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第74話 密猟により絶滅に瀕するマレートラ

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第73回 ワークライフバランスは重要なのか?

           コロナ禍以降、「ワークライフバランス」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。これは端的に言えば「仕事とプライベートの両立」という意味で、これを基準に仕事選びをする人が近年は増えています。例えばIndeed Japanが実施した「子育て世代の転職活動と労働環境」という調査によりますと、子どもがいる中で転職活動をする際に重視するポイントとして、ワークライフバランスと答えた人の割合は、男子では「給与」に続いて2位の43%、女子では64.4%で1位となっています。これは「福利

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第73話 イスラム金融の仕組みと将来性

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/ndd31af12267d  この話は2017年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、車を走らせていた。この前年に香港の親会社からの辞令でマレーシアに来た氷堂は、会社の立ち上げや従業員の採用、更には許認可の申請など、寝る間もないほど忙しい毎日を過ごしていた。その甲斐もあり、地場の物流会社との新しい契約が、一つ、また一つ

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第73話 イスラム金融の仕組みと将来性

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第72回 共産主義は時代遅れなのか?

           2022年、日本共産党は結党100周年を迎えました。これは凄いことです。1922年と言えば、まだ大正時代です。そう考えると日本共産党は、大正デモクラシーから昭和初期の軍国主義、さらに高度経済成長期、そしてバブル経済とその崩壊などの時代を生き抜いてきたことになります。確かに日本共産党は現存する国政政党の中で最も長い歴史を有しており、世界的に見ても、政党としてかなり長い歴史を有する部類に属するに違いありません。  一方でこの間に、共産主義を取り巻く環境は劇的に変化してきまし

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第72回 共産主義は時代遅れなのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第72話 イスラム教とギャンブルの狭間で

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n316f4bc9e408  この話は2022年まで遡る。マレーシアのポートクランでコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、久しぶりの休暇でランカウイに来ていた。ランカウイとはマレー半島の西海岸、アンダマン海に浮かぶ島々のことで、その数は小さいものも含めると99に及ぶ。ここでは非常に珍しい地質構造が見られるのと同時に、太古から続く大自然が

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第72話 イスラム教とギャンブルの狭間で

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第71回 老後2000万円問題は解決するのか?

           2019年6月、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループは、「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を発表しました。この中で、仮に夫65歳・妻60歳の夫婦が30年間健康に生きた場合、毎月約5万5000円の赤字となり、合計で2000万円の不足が出るという試算が出されました。これがいわゆる「老後2000万円問題」です。この報告書は当初から物議を醸し、政府に対する批判も生じました。  あれから4年余りが経過しました。しかし2019年の当時には見られなかったあるものが、

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第71回 老後2000万円問題は解決するのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第71話 アフリカの貧困の背後にあるもの

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n31681951ebde  この話は2023年まで遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、サウジアラビアのジッダにいた。ジッダはサウジアラビア第二の都市で、旧市街は世界遺産に認定されている。またメッカへの入り口に位置することから、毎年巡礼の時期には200万人以上のムスリムが世界中から押し寄せる都市として有名だ。

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第71話 アフリカの貧困の背後にあるもの