ちゃん社長

香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話…

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香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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  • ちゃん社長のコンテナ・海運業界・マレーシアの裏話。

    香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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【初回無料公開】Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第1話 ポートクラン(Port Klang)への道のり

(こちらは有料の定期購読マガジンですが、初回のみ無料で公開しています。是非お楽しみ頂ければ幸いです。またこの物語にはフィクションが含まれますが、書かれている内容は筆者の体験に基づいています) 午前7時20分、氷堂 律(ひょうどう りつ)、通称ちゃん社長は玄関から表に出た。マレーシアの日の出は日本に比べて遅く、朝7時30分頃にならないと外は明るくならない。この太陽が昇る前の時間に近くを散歩しながら朝食を取るのが氷堂の日課だ。 氷堂が住む町はジェラム(Jeram)という町で、

    • 「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第86回 日本の物流は本当に持続可能なのか?

       昨今はニュースでも、「物流2024年問題」が提起されるようになりました。これは働き方改革関連法によって、2024年4月1日からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる問題のことです。例えばこれまでの労働基準法では、トラックドライバーの労働時間に上限はありませんでしたが、今後は時間外労働を年間960時間以内に収める必要があります。このように一人当たりの労働時間が短くなると、需要に人手が追いつかず、物流の停滞が懸念されています。  ただこれは問

      • Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第89話 東南アジアを開拓した日本人

        前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n9756343371e5  この話は2024年の初頭に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、サラワク州のクチンという街にいた。マレーシアはクアラルンプールがあるマレー半島側と、インドネシアと国土を共にするボルネオ島側に、南シナ海を挟んで大きく分かれている。サラワク州はボルネオ島側に位置するのだが、マレーシアの中

        • 「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第85回 リーマンショックは再来するのか?

           2024年8月5日、日経平均株価の終値は、前週末比で4400円超も下落する大暴落となりました。これは下げ幅としては、過去最大だった1987年のブラックマンデーを上回り、日本の株式市場に不名誉な記録として残ることになりました。  興味深い事に、この暴落を「リーマンショックの再来」と指摘する人が少なからずいました。実際Xの株式クラスターの中ではそのような話題で持ちきりでしたし、著名な経済アナリストの中にすら同様の指摘をする人が見られました。ところが翌6日になると株価は

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        【初回無料公開】Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第1話 ポートクラン(Port Klang)への道のり

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第88話 世界中にコミュニティを広げる中華系住民たち

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n8d0be25cd338  この話は2024年1月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、車でマラッカへと向かっていた。マラッカはクアラルンプールから南へ約150km、2時間ほどの距離にある都市で、多くの観光客で賑わう観光地として有名だ。  マラッカの起源は15世紀まで遡ると云われている。当時、この地域一帯

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第87話 イスラム教徒の埋葬の背景にあるもの

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n76765dca976e  この話は2022年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、朝から仕事が手に着かなかった。取引先の社長であるアダムが危篤になっていたからだ。2016年に香港の親会社から辞令を受け、マレーシアの子会社の社長に就任した氷堂は、当初、地場の顧客の開拓に苦戦していた。その中で最初に仕事を発注し

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第84回 コロナ禍が明けた今、航空業界はどこまで成長を続けるのか?

           2024年6月3日、国際航空運送協会(IATA)は世界全体の航空業界の業績予想を大幅に上方修正しました。これによりますと、2024年度の世界の航空収入は1兆米ドルの大台に乗る見通しで、2019年のコロナ前の水準を超えるのは確実と見られています。  確かに振り返ってみれば、新型コロナウイルスによるパンデミックはあらゆる業界に影響を与えましたが、その中でも最も壊滅的な影響を受けたのは航空業界でした。世界中の国々が水際対策を強化し、国際線は瀕死の状態に陥り、2020年度に至っ

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第86話 海外旅行を楽しむロシア人たち

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n349ea387d3b5  この話は2022年3月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、タイのプーケット島にいた。プーケット島はタイ南部のアンダマン海に面するタイ最大の島で、透き通るような白い砂浜の周りを、美しいエメラルドグリーンの海が囲んでいる。正に東南アジアを代表するリゾートだ。  さて氷堂はプ

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第83回 東京という都市はどこまで成長を続けるのか?

           2024年4月30日、不動産サービスの日本不動産研究所は「国際不動産価格賃料指数」を発表しました。それによりますと、東京と大阪のマンション価格が半年前と比較してそれぞれ+1.5%となり、世界主要15都市の中で上昇率が首位となりました。東京と大阪が揃って首位になるのはこの10年間で初めてで、日本の都市部の不動産価格が急騰していることをこの調査は裏付けています。  また東京において価格が高騰しているのは、不動産だけではありません。例えばホテル価格も、コロナ禍では1泊7000

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第85話 強制送還される外国人たち

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n2546e857f491  この話は2023年に遡る。この日、マレーシアの港湾でコンテナリース会社を営む氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、プトラジャヤにいた。プトラジャヤはクアラルンプールの南25kmに位置する都市で、マレーシアの行政の中心都市である。1990年代まで、マレーシアの中央省庁はクアラルンプール市内の様々な場所に点在していたが、交通渋滞が悪化するに連れ、

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第82回 クールジャパンに成功の可能性は残されているのか?

           2024年6月、日本政府の知的財産戦略本部は「クールジャパン戦略」の原案をまとめました。この中では、アニメやゲームなどのコンテンツ産業を基幹産業と位置付け、それを積極的に海外展開していく方針が明記されました。一方で農林水産物の輸出に関しては、米中対立が強まる中で、中国への依存度を引き下げることが提言されています。  確かに振り返ってみれば、これまでもクールジャパンは苦難の連続でした。2013年、経産省は官民ファンドとして、海外需要開拓支援機構(通称:クールジャパン機構)

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第84話 中国での反日デモの追憶

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/ncc8085660151  この話は2012年の出来事である。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、当時、香港の大手コンテナリース会社に勤務していた。これより遡ること2年、氷堂は縁あって横浜の港湾から香港へと仕事の場を移したが、2010年代前半の海運業界はリーマンショックの煽りを受け、未曽有の不況に苦しんでいた。その頃は無数

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第81回 米ドルの覇権は本当に終わるのか?

           2023年1月17日、サウジアラビアのジャドアーン財務相は、ドル以外の流通通貨を用いた貿易に関する談話を発表しました。その中で彼は「サウジアラビアはユーロやサウジ・リヤルなど、米ドル以外の貿易決済についての協議にオープンだ」と述べ、今後原油の取引が米ドル以外の通貨で行われる可能性に含みを持たせました。  さらに2023年7月15日、UAEのムハンマド大統領はインドのモディ首相と会談を行い、それまでは米ドル建てで実施してきた貿易決済を、今後は両国の通貨に切り替えることに同

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第83話 ダイヤモンド・プリンセス号が残したもの

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/nf8cfb95922f0  この話は2020年5月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、テレビに釘付けになっていた。2019年末に中国・武漢で始まった新型コロナウイルスによるパンデミックは、マレーシアにも深く暗い影を落としていた。2020年3月にはロックダウンが発表され、エッセンシャルワーカー以外のビジネスは

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第82話 カジノの驚異的な収益構造

          前回の話はこちらから https://note.com/malaysiachansan/n/n7e6e75d3286b  この話は2024年の初頭に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、シンガポールにいた。氷堂はマレーシア在住だが、クライアントとの打ち合わせのため、月に2回ほどはシンガポールへ出張をしている。  さてこの日、氷堂は1人ではなく、ポートクランからMr.リムを同行していた。リムは氷堂と同

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第80回 世界最大の国家間協力組織「上海協力機構」の実態とは?

           2024年2月22日、中国の外交部長である王毅氏は、北京で開催された上海協力機構の事務局創立20周年レセプションに出席し祝辞を述べました。上海協力機構は6カ国の加盟国(中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン)からスタートした国家間協力組織でしたが、現在では加盟国9カ国、オブザーバー国や対話パートナー国まで合わせると、26カ国まで規模を拡大しています。  一方で日本においては、この上海協力機構が話題に上ることはほとんどありませんし、マスコ

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