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意外と知らない…「高専」ってなに?

最近、インド系のマレーシアの青年が新しく生徒になりました。
彼は、マレーシアの工学系の専門学校で勉強していて、来年の卒業後は、日本の「高専」への進学を目指しています。
日本には現在、全国に58校の高専(国立高等専門学校)が設置されているそうです。

日本人でも意外と知らない「高専」について、今回は紹介しようと思います。

1962年に設置

「高専」は、実践的で創造的な技術者を養成することを目的として、1962年に全国に12校設置された、高等教育機関です。
現在、全国で約6万人の学生が学んでいるそうです。
私の故郷の静岡県にも、最初に設置された12校の1校である「沼津高専」があります。
私は、高校進学時から、どちらかと言うと文科系の志望だったため、高専への進学はまったく考えませんでしたが、学校説明では、「へえー、偏差値が高いなあ…」と思ったものです。

高専の役割

高専が設立された背景は、日本の戦後の復興期において、産業振興を促すという理由がありました。
世界大戦後に、日本は急速な工業化を遂げますが、高度な技術者が足りなくなり、需要が高まりました。このために、技術者の養成が急務となり、高専が設立されました。
高専の位置づけは、大学と専門学校の中間的な位置になります。
したがって、一般的な大学よりも、より実践的な技術教育を行い、また専門学校よりも、さらに高度な専門知識を身につけることができます。
高専の卒業生は、企業や研究機関などで、卒業後すぐに即戦力として活躍することが期待されています。

カリキュラム改革

高専は、当初は主に機械工学や電気工学などの分野に限られていました。
しかし、1990年代以降は、社会や産業が変化するのに合わせて、情報工学や環境工学など、その専門分野は多岐にわたります。
また、カリキュラムも改革され、より実践的な教育内容に強化されたり、産業界との連携を深めたり、最近では、グローバルな視野を持つ人材の育成が重視されるようになっています。
高専というと、機械や電気のイメージですが、今ではすっかり様変わりしているのですね。

理系教育の重要性

テレビ番組やラジオ、最近ではインターネットでの動画配信など、さまざまなメディアで積極的に発信している科学者に武田邦彦教授がいます。
武田教授は、科学や理系の教育に関する解説やコンテンツを通じて、理系の重要性を多くの人に伝えています。
教授は、実際の教育現場での問題点を鑑みて、若者の理系離れを防止し、理系教育の充実を図るために、さまざまなアイデアを提案しています。

武田教授の名言

武田邦彦教授の名言の中でも、特に感銘したものを紹介します。

「科学者は宗教や政治を信じることができるかもしれませんが、その信じるべき物差しは科学だけです」
ネットの番組などで、教授はしばしばこのように述べています。
科学者は信仰や政治的信念で行動するのではなく、科学的方法が真理を見極めるための唯一絶対の基準であることを示唆しています。

「学問を学ぶということは、問いをつくることから始まるのです」
知識を深めるためには、先ずは質問を立て、疑問を持つことが重要であると述べています。そして、これが教育の基本であると断じています。
さすが博覧強記で、抜群の記憶力を持つ教授らしい言葉だと思います。

産業界から高い評価

高専の卒業生は、製造業を初め、非常に多くの分野で活躍しています。
多くの高専には、専攻科があり、5年間の本科を卒業すると、さらに2年間、より高度な技術教育を受けることができます。
そのため、非常に専門的な知識を学んでおり、卒業生には、産業界から高い評価と、大きな期待を受けています。

インド系の彼も、すでに日本語もN3レベルに匹敵する力を持っているので、卒業後は日本の高専でさらに専門的な能力を身につけ、力強く羽ばたいて、社会に貢献してくれると期待しています。

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