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マレーシアは「ちまき」のシーズンです!

マレーシアでは、今年は6月10日が「端午節(Duanwu Festival)」です。
日本で言う「端午の節句」になります。
日本では、「粽(ちまき)」をいただく風習が残っていますが、マレーシアでも同じような風習があります。

バチャン(Bak Chang)

マレーシアでは「中華ちまき」は「バチャン」(Bak Chang)と呼ばれ、「肉粽」と書きます。
バチャンは、マレーシアでも端午の節句には欠かせない伝統食で、家族や友人と分かち合うことが一般的です。
マレーシアでは、華人系マレーシア人がこの伝統を受け継いでいて、端午の節句近くになると、多くの家庭やお店でバチャンが作られ、販売されます。
蒸された笹(竹)の葉の香りがあたり一帯に立ち込めて、食欲をそそります!

いま、お店には「バチャン」ばかりです
意外と値段は高いです

マレーシアでは多民族社会であるため、バチャンにも、マレーシア特有の風味や材料が加わっています。
なんとイスラム教徒向けの「ハラル」のバチャンまでも存在し、豚肉の代わりに鶏肉が使われることがあります。

出身地ごと「バッチャン」も違います

中国各地では、地域によって「中華ちまき」は材料や調理法が異なり、それぞれ独自の特徴を持っているそうです。
マレーシアでは、広東省や福建省、海南省など中国各地からの中華系の移民が多く、それぞれの出身地域のちまきの作り方や味付けが伝わっています。そこで、マレーシアでは、実にさまざまなタイプのちまきが楽しめるのです。

その違い

出身地域ごとの特徴を比べてみると

広東風バチャン
豚肉、干ししいたけ、塩漬け卵の黄身、栗などを使った、少し塩味のする「バチャン」が一般的です。
私が住んでいるクアラルンプールは、広東系の移民が多いため、お店で売られている「バチャン」は、この広東風のものがほとんどです。
大きさは、だいたい日本のおにぎりぐらいの大きさが多いようです。

福建風バチャン
種類が多く、塩味のものばかりではなく、甘みのあるものまであります。
他と比べて、少し味付けが濃厚で、豚肉や干ししいたけのほかに、ピーナッツや干しエビを使っているのが特徴です。
シンガポールや、ジョホールバルには、福建系の移民の方が多いため、この「福建風のバチャン」が主流です。

海南風ちまき
甘いバージョンのものが比較的多く、小豆や黒糖を使ったバチャンが特徴です。

潮州風バチャン
家の奥様の家族は潮州出身のため、潮州風のバチャンをつくります。
潮州料理は比較的優しい味付けが特徴のため、バチャンも他の地域に比べてあっさりとしています。
栗やピーナツなどがよく使われていて、食感が豊かです。
また、小豆や紅豆などの甘い具材が含まれていることも多く、竹の葉やバナナの葉で包みます。

客家(ハッカ)風バチャン
マレーシアには、少数派ですが「客家」の方もいらっしゃいます。
実は、先日、で日本語を教えている生徒のお母さまから「バチャン」をもらったのですが、今まで出会ったことがないタイプでした。
彼のおばあさまは客家の方で、客家風のバチャンと言うことでした。
シンプルで素朴な味付けで、五香粉と醤油が効いていて、干し貝柱も入っていました。
調べてみると、ラディッシュなどが使われることもあるそうです。

Nyonya(ニョニャ)風バチャン
ニョニャ風バチャンにはプラナカン文化が強く反映されています。
ニョニャ文化が色濃く残っているペナンやマラッカ、シンガポールなどで見られます。
ニョニャ風バチャンには、パームシュガーや、コリアンダーや五香粉などの香辛料を使用するため、独特の風味がします。
(「バチャン」については、「古川音」さんのこちらの note に詳しく書かれてますので、ぜひご覧ください!)

根付いている豊かな文化

マレーシアには、マレー系、中華系、インド系の豊かな文化や伝統が、しっかりと根付いていて、今も受け継がれています。
さまざまな文化や伝統が、生活に、美しく、秩序をもって反映されていて、皆がそれに共感し、共有しています。

マレーシアを訪れる際には、このユニークなバチャンだけではなく、それそれの文化の良さを、体験してみることを強くおすすめします。

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