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学習方法を学習しました.(実践はまだ)

人生100年時代では,生涯学習をしなくてはいけないらしいです.どうせなら,効率的な学習方法を学びたいと思い,以下2冊の本を読みました.どちらも,科学的なエビデンスのある学習方法を紹介しており大変参考になりました.


私が主に知りたかったことは以下の2点です.

・どうすれば学んだことを忘れずにいられるのか.
・どうすれば学んだことを適切な場面で活用できるようになるのか.

ひとつめは,学習した内容を長く記憶に残す方法です.ふたつめは,いわゆる「使える知識」を身につける方法です.英会話やプログラミングにおいて,語彙や文法やアルゴリズムなどは知っているけど,適切な場面で使えないことってありませんか.(私はよくあります.)

ということで,この記事では,上記2冊の本から得た,「学んだことを記憶に残すこと」と,「使える知識を身につけること」に役立つ情報を紹介します.はじめに,効率的な学習のための原則を3つ紹介し,続いてこの学習の3原則に基づく効果的な手法を4つ紹介します.

効率的な学習の3原則

効率的な学習を行うための重要な原則は,「直接性」,「想起」,「再言語化」の3つです.それぞれ説明していきます.

1.直接性
直接性とは,身につけたい知識やスキルを,「最終的に活用したい文脈において直接学習する」ことです.教育現場において,教室や本で学んだことを応用することは難しいことが知られています(例題を勉強しても,ちょっとした応用問題が解けないなど).このように,我々はそもそも知識を応用することが苦手なようです.そのため,英会話を身に着けたいなら,英会話をやる.ゲームをつくりたいなら,ゲームを作る.というように最終的に活用したい文脈において直接学習することが大事です.また,直接学習することにより,記憶すべきことと,調べれば済むことの区別がつくようになったり,検索スキルなどより実践的なスキルを身につけることができます.

2.想起
想起とは,「何も参照しないで思い出す」ことで,記憶を定着させる方法です.現状,最も記憶の定着効果が高い方法です.なぜなら,記憶は思い出すことで定着するからです.そのため,「思い出す」ことが入っていればどんな活動でも高い学習効果を得られます.例えば,何も参照せずに,記事を書く,人に説明をする,テストや問題集を解く,フラッシュカード,などは記憶定着への効果が高いです.

3.再言語化
再言語化とは,学んだ事を「自分の言葉に変換する」ことです.数学などの難しい概念を理解するのに有効な方法です.このとき,できるだけ具体例を考え出すようにすると理解が深まります.また,再言語化には,自分の言葉に変換することで,情報が自分ごとになり記憶に定着しやすくなるという効果もあります.

3原則に基づく効果的な4つの手法

上記の3原則を実践するうえで,効果的な手法を4つ紹介します.それぞれ,「プロジェクト化」,「ひとりごと学習」,「ファインマンテクニック」,「分散学習」といい,以下のよう使い分けることで効果的な学習が期待できます.

実践方法
・勉強を始める前に「プロジェクト化」をして戦略を立てる.
・勉強中は「ひとりごと学習」をして理解を深める.
・文脈が重要な知識は「ファインマンテクニック」で想起する.
・文脈が重要でない知識は「分散学習」で想起する.

1.プロジェクト化
プロジェクト化とは,「成果物を生み出すこと」を目的にして学習を進めることです.3原則の「直接性」を高めるのに有効な方法です.成果物を設定することで,成果物を生み出すためにに必要な知識とその使い方を学習することができます.また,成果物から逆算して必要な事を学ぶため,効率的に学習を進めることができます.執筆,デザイン,作曲,プログラミング,工作などはプロジェクト化して学習することに適しています.

2.ひとりごと学習
ひとりごと学習とは,学習しながらその内容をつぶやくことです.それにより「再言語化」を促すため,理解を深める効果があります.また,ひとりごとを言うことにより,より主体的に学習することができ,集中力を高める効果もあります.主にひとりごと学習には,以下3パターンがあります.

ひとりごと学習の3パターン
実況:学習中の思考をリアルタイムで実況していく.
質問:学習内容について,なぜ?どうして?と質問をぶつけ,回答する.
要約:学習内容を要約してつぶやく.

3.ファインマンテクニック
ファインマンテクニックとは,以下の4ステップで構成された方法で,3原則の「想起」と「再言語化」を促すため学習効果が高い方法です.また,「わかったつもり」に気づき,理解の穴を埋めるのに役立ちます.この手法は,前後の文脈やメカニズムが重要な知識の学習に向いています.たとえば,「第一次世界大戦はなぜ起きたのか」や,「英語の前置詞が持つイメージとその用法」などです.

やり方
1.紙を用意し,学習したことを一つ選び,紙の上部に書く.
2.その内容を人に説明するつもりで,何も参照せずに紙に書き出していく.
3.思い出せなかった点や上手く説明できなかった点を学習しなおす.
4.実際に,他人に説明する.

4.分散学習
分散学習とは,90%忘れたころに復習する方法です.忘却の進んだ情報ほど,想起したときの記憶の定着が高まることを利用した方法です.最適な復習のタイミングは以下のようになっています.

最適な復習のタイミング
1回目の復習:1~2日後
2回目の復習:7日後
3回目の復習:16日後
4回目の復習:35日後
5回目の復習:62日後

実践する場合は,復習タイミングの管理が大変なため,AnkiやSuper memoなどの間隔反復ソフトを使用することを推奨します.この手法は,英単語や専門用語など,使用する文脈に関係ない単純な知識の学習に向いています.文脈が重要な知識には「ファインマンテクニック」を使用することを推奨します.

おわりに

今回参考にした『ULTRA LEARNING 超・自習法』によると,効率的な学習をするために大事なことは,良い学習戦略を立てることです.そのため,他の人の学習方法や,大学・スクールなどのカリキュラムなど,学習方法の調査に十分な時間をかけることを推奨しています.学習方法の調査の際には,本記事の3原則と4手法を念頭において,学習方法を取捨選択していただければ,効果的な学習戦略が立てられると思います.

以下に,今回参考にした2冊の本の概要と参考になった点をまとめました.本記事では取り上げなかった有益な情報もありますので,2冊とも読むことをおすすめします.

超効率勉強法』,メンタリストDaiGo (著)

概要
・科学的に効果がある勉強法と,効果がない勉強法を学べる
・エビデンスがしっかりしている.(再現性が高そう)

参考になった点
・想起と再言語化の大事さ
・休憩の大事さ
・インターリービングについて
・集中モードと拡散モードについて
・音楽の有効活用方法

ULTRA LEARNING 超・自習法』,スコット・H・ヤング (著)

概要
・「独学」と「使える知識」にフォーカスしている
・戦略がハマったときの独学のポテンシャルを知れる
・エビデンスの検証は若干甘い.(再現性が低そう)

参考になった点
・独学するうえでの学習戦略の立て方
・直接性の大事さと,その事例
・様々な独学の事例

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