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42歳の誕生日に焼肉屋で結婚生活最大の危機に瀕した話

42歳の誕生日を迎えた西尾克洋

8月29日に42歳になりました。
誕生日が同じ浜辺美波さんとちょうど20歳離れています。

ウイリアムルスカもスタンハンセンも八代亜紀もマイケルジャクソンもYOUも伊東勤もペヨンジュンもリチャードギアも辛酸なめ子も全員8月29日生まれです。当たり前ですが統一感ゼロですね。

こんな残暑が厳しい中での出産とは、私も罪なことをしたものです。いくら昔が今よりも暑さが大したことないと言っても相当キツかったのではないかと思います。

さて我が家には子供が居ないのですが、誕生日になると妻と外で食事するのが恒例なので妻がセレクトした店で少し豪華に祝うことにしたのです。

とはいえ昨今の状況から考慮するとあんまり遠出するのも良くないですし、そこそこアクセスが良い場所をということで錦糸町の焼き肉屋を予約して向かうことに。

妻曰く、ネットの評判も上々。
昨年まで両国に住んでいたので前から気にはなっていたのですが、普段焼肉というと菊川のとある店に行っていたのでスルーしておりまして、店の位置を聞いてあーあそこかと思ったんですよ。

なんでもA5和牛を出すとか、雌牛しか出さないとか、焼肉のこだわりの凄さは今一つよく分からないのですがその辺の前置きでとりあえず頑張ってる店なんだなぁということはよく分かる訳です。

あとは「黒毛和牛」とか「ビール飲ませて育てている」とかその辺のワードが出てきたら「美味しんぼ」があらゆる料理のソースになっている私にとっては完璧なのですが、まぁそれはいいや。

というわけで誕生日に共働きの私たちは二人で休みを取り、明治神宮をぷらついた後で錦糸町へ向かったわけです。

何喰っても美味い錦糸町のとある焼き肉屋

入店し、おしぼりを貰い一息つきました。
今日のコースの説明をされたんですが全部で10品くらいある訳です。

私と妻が結婚する際に両家の顔合わせをした時くらいの品数ですよ。父が4品目くらいでもう飽きちゃって「克洋、そろそろお開きにしようか」って言い始めたことを思い出す私たち。あれ大相撲千秋楽が重なってて多分さっさと帰りたかったんでしょうね。ひでえ父だ。

前菜。
サラダ。

早々と色々出てきます。
このペースでないと2時間では終わりません。
ただ、どれ食っても美味いんです。

西友のパックのナムルと大違いですし、牛すじの煮込みとか山岡士郎曰く『クズ肉を美味しく食べるための料理だと』いう「美味しんぼ」の受け売りに想いを馳せながらこれがクズ肉なのかよと驚く私。

3品目に登場するのがユッケのキャビア乗せ。
第三試合にキャビア様がおわすとはどういうコースなんでしょうか。しかもユッケとキャビアの比率が1:1くらいなんです。第三試合って言ったら全日本プロレスだと腹の出た渕正信がまだ新人の菊池毅とか小川良成をボコるような時間帯ですよ。

とりあえず、この店はやべえ。まぁまぁ高いけど、とはいえ出せないレベルではないんです。食ったこともない料理にうめえうめえ言いながら妻と談笑する私。

厚切りの牛タンとか塩焼肉2点盛りとかタレ焼肉3点盛りとか食いながらああなんて良い誕生日なのだと42歳になることも悪くない、いや楽しいじゃねえかと思う訳です。二十代の頃に第三試合でキャビアが出てくるような肉とか食ってたら渕にボコられるのは菊池じゃなくて私になっちゃいますからね。

「衣食足りて礼節を知る」の食が足りる年齢になってきたということなのかもしれませんし、この焼き肉屋に入っても自分がそこまで場違いな感じもしないというのはありがたいことだなぁと思いながら、実はその年齢故の異変を私は感じ取っていたのです。

ここの料理、美味いけど脂キツくないか?

肉の脂にノックアウト寸前になる私

2点盛りや3点盛りを食ってる辺りから異変はありました。

誕生日にそこそこ値段が張る店で祝ってもらっている嬉しさと美味しさで気持ちを塞いでいる部分が多分にありましたが、ちょっと誤魔化しがきかないところまで来てしまった。

そして恐ろしいことに、まだ肉が2品、締めが1品、そしてデザートまで残っているんです。これはさすがにマズい。

笑いながら、妻に心配を掛けるのもアレなのでどうにか完走を試みるのですが、メイン前の試合に登場するのがシャトーブリアン。

しかも、食い方がえげつない。
シャトーブリアンを2枚の肉で挟み、更にそれをナッパでくるんで食べるんです。

一昔前の彦摩呂なら「肉のトリプルダブルやぁ~」みたいな軽口叩くところでしょうけど、これ見てたら食う前から胸やけが凄くて、なんか逆流しそうになってくるんですよ。

私はこの肉の迫力に圧倒される中で幻覚に近い何かがみえたのか、幼いころの記憶を思い出していました。

「問題。アマゾン川で~」

ピンポンッ!

「ポロロッカ!」

正解!

説明しよう。

「ポロロッカ」とは潮の干満によっておこるアマゾン川を逆流する潮流のことです。川が逆流するという世にも珍しい現象なのですが、とあるクイズ番組で当時のクイズ王西村という小太りの新聞記者が「アマゾン川の~」というフレーズだけで問題の意図を読み取り回答が「ポロロッカ」であることを見破ったという名シーンがあるのです。

脂に追い込まれてポロロッカしてしまいそうになる私。そして妻

そして、私の体内ではポロロッカ警報が高らかに打ち鳴らされていました。

もうね、油断してるとポロロりそうになるんですよ。
あれってふとした時に発作的に来るんですよ。
だから、いつ来るか分からない恐怖に怯えることになる訳です。

しかも、妻が誕生日に祝ってくれてる場で笑いながらポロロッカしちゃうとか最悪じゃないですか。42歳ですよこっちは。衣食足りて礼節を知るような年齢で、ようやくこの店に自分が合ってきたと喜んでいたら大学入りたての少年でもそうはしないようなポロロッカで台無しするとかありえないじゃないですか。

ここは地元の向ヶ丘遊園駅前じゃないんですよ?
専修大学とか明治大学の学生じゃあるまいし。

しかもね、これを完走しても錦糸町から本八幡まで帰らなきゃいけないんですよ。電車という環境は確実に私を殺しに来るはずです。かといってタクシー呼んでも状況は同じなんですよ。

この焼肉、死ぬほど美味いのですが、誕生日に私は尊厳を失い結婚生活をカド番で迎えるような危機に瀕しています。

肉のトリプルダブルを肉汁が滴り落ちる中で一口、また一口と胃に収める。その度にポロロッカが起きそうになるものの、発作が起きる手前で体をぐっと硬直させてタイミングよく止める裏技を準備しどうにか凌ぎます。

緊張は続きます。

サーロインを小さな米の玉のようなものにくるんですき焼き状にして食べるメイン。これもねぇ…肉のフルコースのトリにふさわしい大物ですよ。誰が何と言おうと美味いんですよ。たぶんこれが一番おいしかったと思います。

ただね…同時に最もポロロッカのリスクが高いメニューなんですよ。テリコッツなんですよ。テリコッツ。さすがにもう隠せません。笑顔が消えて、苦悶の表情が少しずつ露見する中で分かったことがありました。

同い年の妻も同じだったのです。

冷麺でポロロッカの危機を脱する

どうやら二人とも完全に脂にやられてしまったようです。
とはいえ、あと2品何とかしなければなりません。

冷麺、牛すじ煮込み丼、カレーの中から締めを選ぶ必要があります。
冷麺以外私の目には入っていません。
即答する私に爆笑する妻。
そんな余裕あるのかよ。

ポン酢のつけダレに冷麺をどうにか胃に収めようとする私。
しかし・・・

あれ?
これはもしや・・・

一口食べるごとに、胸やけがスーッと消えていくのです。満腹に近い状態でしたが、体が冷麺を求めていました。あれほどの危機だった私の体、もといポロロッカしそうな予兆はこれを食べる頃には殆ど無くなっていました。

冷麺ってこんな効果があるのか。

そしてバニラアイスではなくライチのシャーベットを食べ終えた時、もう私は普段の体に戻っていました。

誕生日ということもあり、この後サービスのフルーツをいただきました。写真まで撮っていただきました。

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満面の笑みは誕生日が嬉しいこともさることながら、結婚生活最大の危機を乗り切ったことに起因している訳です。

この焼肉で学んだことは三つあります。

42歳で焼肉はメニューを選ばないと危険だということと、錦糸町某所の冷麺は胸やけに劇的な効果があること、そしてアマゾン川を逆流する現象を「ポロロッカ」と呼ぶことです。

私に近い年代の皆様、脂には気を付けましょう。そしてポロロッカ西尾に優しい言葉をお待ちしております!

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