「人はなぜ生きるのか」は、どうやっても答えが出ないと考えた話

たまに考える割にいつまで経っても答えが出ない謎

人はなぜ生きるのか。

多くの人が対峙する問題だと思う。

例えば私がそれを聞かれたときに即座に明快な回答が出来るかというとそれは疑問だ。また、仮に自分なりの回答を提示したとしてもその人に刺さるかは分からない。

この質問の面倒なところは、質問者によってシックリくる答えが異なる点だと思う。そして、仮に誰かが答えを提示しても刺さらなければ「あの人は何も分かっていない」「俺のことなんてどうでもいいんだ」という方向でバッサリと切り捨てがちだということだ。

考えてみると私も何度かこんなことを考えた。

一番最近は今年初頭だった。ぼんやりとつい、この質問の迷宮に入る。答えなど見えない。でも気が付くと考えている。

しかし不思議なことに、そしてこれは毎回そうなのだが、この質問についてはどこかでお座なりになり、いつの間にか考えなくなってしまっている。

果たしてそれは何故なのだろうか。

「傘がない」方が「なぜ生きるのか」よりも大きな問題だ

確かに生きていると悩みは尽きない。将来のこと。家族のこと。お金のこと。今日の食事のこと。気になる子から連絡が来ないことなどもそこに含まれてくると思う。

日々悩みの中で私たちは生きている。そして「なぜ生きるのか」という終わりの見えない禅問答のような問いについてはハマり込むとドツボに入るが喫緊の問題が出てくると案外お座なりになりがちなのだ。

その場では大きな問題には見えるが井上陽水の「傘がない」のようなもので「何故生きるのか」は大きな問題ではあるが、雨が降ってるのに傘がないことの方が私達にとっては大きな問題であり傘がないという目の前の問題にある意味で救われていると言えるだろう。

私たちはこの悩みについて定期的に考えはするが、結局気が付いたら考えることそのものを忘れている。

「なぜ生きるのか」という質問に向き合う人はあまり居ない

実に不思議なのだが、この何とも難しい問いについて周りに言おうものならかなり心配されるか、ポジティブな言葉を投げかけて前向きにしようとしてもらえる。

彼らは分かっているのだ。「なぜ生きるのか」という問いかけは、メンタルが落ちているときに陥りがちだということを。そして、この問い掛けには答えが無いことも。

私が若いころはある意味で良かったのかもしれない。こういうことを言い始めると親や年長者は大体「んなこと考えている暇があったらもっと頑張れ」と頭を引っぱたいておしまいだったのだから。

彼らは私の問いに対して全く真正面から向き合っている訳ではないし、真剣に考えている立場からするとなかなかアレな対応だとは思う。ただ、大して相手にされないことによってこの悩みが大したことではないように感じる。派手な腰痛の割に「ぎっくり腰」と言われると途端に深刻に語るのが馬鹿らしくなるのと同じことだ。

そして「なぜ生きるのか」ということは上手くいっているとまるで考えなくても良いのである。頭を引っぱたいて一笑に伏すのも一つの方法だが、だったら楽しく生きるために頑張るほうに注力すれば生産的ではあると思う。

「なぜ生きるのか」という問いには答えが無いし、目の前の問題の方が大きいし、楽しければそんなことは考えなくても良い。考えるだけ無駄というのが個人的な見解だ。

じゃあ「なぜ生きるのか」聞かれたらどうする？

ただ、今の世の中は何でも答えを求めがちだし、答えが得られないことを深刻に受け止める傾向にある。理不尽にこの問題をバッサリ切り捨てることは彼らには刺さらない。なかなか難しい。やはりこの難題にある程度答えを用意しておかないといけないのではないだろうか。

うーん。

・・・。

いや、やっぱ答え無いわ。これはもう、言い出した人をどう言いくるめるか。悩みを忘れるように仕向けていくか。

答えがあったら誰かが教えてくれるだろうけど誰も提示してないってことは、つまりそういうことなんだ。答えなんてないから、必死に生きるしかない。で、また同じ問い掛けを考えて、気が付いたら忘れてる。

その繰り返しでいいんじゃないかな。もう。わかんないけどその繰り返しだと自白しよう。言いくるめるよりはそっちの方が誠実だと思うから。

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