見出し画像

日本代表の記者会見で森保監督にWBCを絡めた質問が飛んだことへの是非を考えた

気になるニュースとして相撲のトピックを選んでも手が伸びにくい

さて、今日は気になるニュースについてお話ししたいと思います。

今回もVoicyで同じ内容について配信していますので、もし手軽に聞きたいということでしたらこちらをご参照いただければと思います。ちなみに喋りだとまた印象が異なるので、どちらもお試しいただけると嬉しいです。

本当だったらね、これは大相撲大阪場所が終わった後なので優勝力士のこととか貴景勝の綱取りのその後についてお話ししてもいいかな?って思ったんですよ。普段相撲に興味がない方のすそ野を広げるっていうことも大事ですからね。

ただ、考えたんですよ。
今のご時世、相撲に興味がない方の方が多いんですよね。

だから多分、いきなり「霧馬山が~」とか話し始めても、興味は抱かれないですよね。そして、タイトルで「大阪場所総括」って書いても、相撲に興味ない人はそもそも避けちゃうじゃないですか。

そうなると、これは私が相撲ライターとして粘り強く活動をして、その中であ、相撲のことやってる人が居たよなぁ…って感じで記憶に刷り込んでいくくらいの方が効果的じゃないかと。

気になるニュース:日本代表サッカーの親善試合

ということで、じゃあ気になるニュース、なんだろうって思ったら、先日自分が取材に行ったサッカー日本代表戦のことがありました。

何しろね、去年のワールドカップのあの熱狂から初めての国際試合ですからね。注目度ってやっぱりあるんですよ。あれだけ人気が低迷していて、監督の采配にも批判が集まっていて、この30年の中で多分2022年の後半ってどん底に近いところまで来ていたと思うんです。

だってね、地上波で親善試合の中継が無いんですよ。
サッカー日本代表の試合が。

一昔前のこと、黄金の中盤とか本田圭佑さんが中心だったころとかを思うと落ちるところまで落ちて、だけど、あのワールドカップの大逆転があって。だから、これだけニュースが大きくなっているのっていうのは元々代表のサッカーを観ていた人が戻ってきた。そういうことじゃないかな?って思ったんです。

日本代表が闘う現場で羨ましさと怖さを感じた

で、新生日本代表に対する期待の大きさについては先日のVoicyでもお話しした通りで、それはそれはすごいものだったんですよ。

ピッチに降りて聞く歓声ってこんなに分厚いんだ。そしてそれはもう、期待しかないじゃないか。って。こんなに幸せで羨ましいものは無いなぁ。やっぱりそれっていうのも厳しい状況から闘って勝ち得た貴重なものなんだと感じました。

だけど、ウルグアイに点を取られた瞬間に、落胆も見えたんですよ。だからね、今回のワールドカップで素晴らしいサッカーをしたかもしれないけど、でもその素晴らしさに対する期待っていうのは長く続くものじゃないってことも分かりました。

これはもう、終わりのない闘いなんですよ。
そういう闘いって、人の気持ちを動かすんだと。

ご褒美のもう一つとして、試合後の記者会見に参加できた

でね。

先日チラッとお話はしたんですけど、今回のイベントってnoteの企画として「新しい景色を2022」っていうコンテストで投稿して、優秀賞を頂いたことのご褒美に依るものだったんですけど、記者席で観させてもらうということ、そして試合前のピッチで熱量を体感できるって言うこともそうだったんですけど、実はまださせてもらったことがあったんです。

それは、記者会見に参加することだったんですね。

私は力士や親方のインタビューを1対1ですることはあっても、いわゆるミックスゾーンでその日の試合や取組について限られた時間の中で、そして多くの記者と場を共有する形での会見に参加するっていうことは未体験だったんですね。

だから、記者会見ってどんな感じなんだろう?
っていうことで、これはかなり興味深いことでした。

記者会見でサッカー担当が何を聞くかが気になった

とはいえ、ただこの場に参加して、雰囲気を汲み取って、それで終わりっていうのは勿体ないと思ったんですよ。サッカーのライターの方達がどういう質問をして、どういう記事を作るか?ということが興味深いと思ったんです。

今回の記者会見は森保監督と相手のウルグアイの代表監督に対するもののみだったんですね。

で、彼らしか出てこない中でどう記事を書くか?と考えると、ある程度「恐らくこうだろう」ということで自分でストーリーを作って、そこに対して裏付けとして質問に対する回答を付け加えるっていうのが一番自然だろうなぁと思ったんです。自分が聞けることって限られていますからね。

そうなると、大事なのは元々のストーリー作りじゃないかと。

記者会見で何を聞きたいかをシミュレートしてみた

ということで、私の方でも何を聞くかを考えました。
この試合のポイントって、ワールドカップの後で初めての試合だということでした。

となると、私も気になるし、恐らく多くの方が注目しているのって、新しいチームを編成して、どんなコンセプトでどういうサッカーをしようとしているのか?ということだと思うんですね。

コンセプトがあるから、それを体現するための選手が選ばれる。
何をしたいか?どういうサッカーをしたいか?
ってことが全ての肝になってくるわけです。

そして、コンセプトと選んだ選手が分かれば、どういうサッカーをしたいか?が見えてくるので、今日の試合でそれが出来たところや出来なかったところが見えてくるわけです。

試合を観ているだけだと、出来ている部分と出来ていない部分って見えると思うんです。
ただ、どういう狙いでサッカーをしているからこそそれが出来ている、出来ていないっていうのは分からないので、単に出来ていないところに対するいら立ちも生まれるし、ゴールや守備がなんか上手く行っているということに対してポジティブにしかとらえられない。

だから、記事を書くならチームを構成する全体の意図と、結果を踏まえた上での反省が必要になると思ったんですね。

あの記者会見の質問では私は記事が書けない

そして、記者会見が始まりました。
いやね、結論から申し上げると、あの場に上がった質問では私は記事が書けないと感じました。

というのも、私が考えたストーリーって、あの記者会見で質問された方がほぼいなかったんですよ。それが私がサッカーの素人だから、森保監督にわざわざ聞かなくても記者の皆さんが書けちゃうってことなのかな?ということも考えたんですけど、結構自分の中で意図が見えにくい質問が多かったんですよね。

私の方で出た質問をある程度メモを取りました。

・遠藤のキャプテンとしての評価はどうか。何故選んだのか
・既存の選手と新しい選手の融合をどのように考えているか
・西村選手の交代のタイミングと意図は?
・久々の試合、監督としてどうだった?
・想定外の大発見は?
・攻守の課題は?
・サイドバックの選手にどのような指示を出したのか。何を求めたのか

こんなところだったんですね。

試合の細部に関する記事はこの質問だと恐らく書ける

だから、すごく気になっちゃったんですよ。
この質問からどうやって記事を書くんだろう?って。

この試合の意義から逆算してのものというよりは、細部に関する質問が多かったんですよね。大きな枠で試合を捉えて、どうチームを作って、どういうコンセプトでサッカーをして、何が出来て何ができなかったのか?ということはこの質問と回答では組み立てられなかったんですよ。

多分この質問から作れる記事っていうのは、例えば西村選手がゴールをした。モスクワのクラブに移籍後に日本に戻って来て活躍して、そして日本代表に選ばれた。

今日は日本代表として途中出場する中でファーストタッチでゴールを決めた。森保監督に話を聞くと、「西村にはこのような期待をして、このタイミングで送り出した。」と語った。

その期待に大きく応える西村の初ゴール。
今後に期待したい。

ってな記事は書けるんですよ。
恐らく、私とは書く記事の視点が異なっていたんじゃないかと。

サッカー記者って大変だと思った理由

記事を書く人にはそれぞれの意図があって、それぞれのストーリーに合わせて皆さん記事を書く。だから、どういう質問をぶつけるのもいいと思うんです。そういう意味で、恐らくあの場に居た方の中で、私と同じコンセプトで記事を書こうとされていた方って居なかったんじゃないかなって思ったんです。

だから、質問のレベルが低いとか、そういうことが言いたいんじゃなくて、記者や媒体にはそれに応じた役割と求められる記事があるってことなんですよ。

とはいえ気にはなったのが、あの場に居た記者の方は、今の日本代表のサッカーってどういうコンセプトのサッカーをしたくて、そして何故あのメンバーを選んでいて、そしてそのサッカーの評価ポイントとマズいポイントは現時点でどこなのか?っていうことを皆さんある程度理解されているのかな?っていうことではありました。

あの場でそれに基づく質問をしていないってことは、森保さんの全体的な意図は記者の想像でしかなくなるってことですからね。だとすると、サッカーの記者っていうのは聞かずとも今目の前で行われているサッカーがどういう意図で行われているのか、何が良くて何が悪いのか?ということを高いレベルで自己完結する形で理解していないといけない仕事ってことになるので、本当に大変だと思いました。

「不振の選手を信じる力についてWBCの栗山采配に通じるがどうお考えか?」

ただ、ちょっとこれは大丈夫かなぁって思った質問が一つだけありました。

それは「不振の選手を信じる力についてWBCの栗山采配に通じるがどうお考えか?」ということだったんです。

いや、ちょっと待ってくれよって。
それ、サッカーの監督に聞くの?
って。

悪いけど、他の競技の監督の話をこの場でするのって結構失礼じゃないのかな?っていうのが私の率直な感想だったんですよ。変なことを言っちゃうと、栗山監督にも失礼になるし、野球ファンを不愉快な想いをさせかねない訳ですしね。

今はいろんなことを言う人が居ますし、ふとした発言が命取りになることもあります。そういう中で質問する側としてもそれなりに相手に対する配慮が必要だと思っていた矢先のことだったので、森保監督が怒らないかな?って。すごく不安になりました。

森保監督と野球との繋がりは浅いわけではない

結局森保監督は、この質問を普通に流していました。

うかつなことが言えない中で、言葉を選んで、この時はほかの質問よりも「えー」っていう機会が多かったのでおそらくかなり配慮されていたんだと思うんです。ただ、失礼にならない程度の回答ではあったんですけど、結局WBCの栗山采配との関連性ってのはあまり見えなくて。

帰りの電車の中で、森保監督がWBCで始球式をしたり、野球とのつながりは比較的深い方だったなぁとは思いだしたんです。だからね、これだけ野球が盛り上がった中で野球に対する造詣も深い森保さんにこの質問をしたくなるっていうのは分からなくはない。

でも、分からなくはないって程度の次元ではありました。

結局WBCと絡めた質問をサッカーの場ですることは失礼だったのだろうか

今回の質問って、森保監督がそれを受け止めて、それなりの回答をしてくれたから成立する部分もありますけど、でも結局こういう質問って相手にすることそのものがマズいのかどうなのか?っていうのは私の中では結局モヤモヤが残りました。

その質問をしたのは確かどこかのITメディアの担当者だったと思うんです。その質問の後でサッカー協会の人に何かを制するような感じで注意を受けて、バッテンマークを出されて、動画撮影かなんかしてたんですかね。何があったかは分からなかったですが、結局会見中に退席したんですよ。

そのこともどうなんだ?って思いました。
整理は出来ていないけど、この人が無礼なんじゃないか?っていう要素は幾つかあったということです。

サッカーと野球を絡めた記事や対立煽りは本当に多い

ただ。
冒頭の話に戻りますけど、私の話になると、普通に相撲の話なんてしても誰も聞いてくれないんですよ。

ひょっとしたら、今回のこの森保監督に対してWBCと絡めた、無礼と思われかねない質問をしたことも、結局のところ読んでもらえる記事を書くということを逆算すると発想として無いことではないとも思うんです。

最近やけに、サッカーと野球を比較したりとか、代表戦に来たファンにWBCは見たか?みたいな質問をした記事なんかも出てるし、まとめサイトではサッカーと野球の対立を煽ったりすることもあるし、野球視点からのサッカーっていうのは人の関心を焚きつける部分があることも事実で。

読み手が記事の質を下げることもあるし、記事が読み手の質を下げることもあるっていうことで、いくら求めているからといっても是非は考え物ではあるんですよ。

読み手が記事の是非を考えて、声を出すことも大事

森保監督が気にしなければWBCと絡めるみたいな、一見失礼かもしれない質問をしてもいいのかどうかは私の中では判断がつきませんでした。

ただ、こういう質の記事っていうのは今、世の中に増えてきているんですよ。少なくとも昔は見なかったような、ちょっと読み手のレベルを疑うような。まぁその代表例が切り抜き記事だったりするんですけど、こういうものに対して皆さんがどう感じているのか?っていうことを声を挙げていくことが大事だと思うんですね。

本来のスポーツや専門性とは関係のないことと絡めた質問をすること。
これ、どう思いますか?

今回は皆さんにそれをお聞きして記事の締めとしたいと思います。

あ。
あと。

先ほど私が考えたような記事の構成っていうのが結構珍しいのであれば、サッカーのお仕事もお待ちしております。

よろしければサポートお願いいたします! 皆様のために今後使わせていただきます!