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『マーケティングとは「組織革命」である。』を読んで。

USJのV字回復立役者である森岡毅さんの『マーケティングとは「組織革命」である。』を読んでみました。

備忘録としてここに書き残しておきます。

会社はなぜ成長できなくなるのか?

(本書より抜粋)
企業が消えゆく現象の共通点は、変化し続ける外部環境に適応できなくなることです。劇的な変化が急激に起こった場合は、適応するための時間がありませんから、自己変革できずに倒産する確率は高いです。しかしながら、10年20年のゆるやかなスパンで進行している市場構造の変化にすら対応できずに業績を落とし続けている企業も少なくありません。それらの企業は、環境変化に対応する自己変革能力に乏しいのです。

これは会社・個人どちらにも言えることだと言えます。そして変化し続けるための壁としては「できる・できない」以前に「する・しない」の判断ができていない・していないケースが多いように感じます。

「まだ大丈夫だろう」「もう少し様子を見よう」「誰かがなんとかしてくれるだろう」などと高を括っていると気が付かぬうちに滅びていきます。だからこそ、会社に変化を加える前に個人が変わらないといけないと思っています。

企画力よりも実行力が大事

(本書より抜粋)
多くの優秀と言われるマーケターがさまざまな会社に単騎で飛び込んでも結果を出せずに苦戦しているのはそのためです。立てた策を実行できないのです。良策を立てたとしても、会社のトップに策を決断させることができない、あるいは採用しても組織が策通り動かないから、どちらの場合も結果が出ません。マーケティングに限ったことではないと思いますが、マーケティングは策を立てるよりも実行する方が100倍難しいのです。

これはもう同意しかありません。泣

当たり前の話ですが、マーケティングの仕組みを作ったとしても、1人で実行するわけではありません。
ファイナンス・生産マネジメント・組織マネジメントなど、体系的に動かす仕組みを作り、さらにその企画を通す力、さらに実行管理ができなければ成果が出ないのだと思います。

「狭義のマーケティング」が会社をダメにする

(本書より抜粋)
私が考えるマーケティングは「市場価値を創造する仕事全般」を意味します。それに対して、よくマーケティングを理解していない人が誤解して使う狭義のマーケティングは「販促プロモーションの仕事」を意味します。本当のマーケティングはもっとずっと広範囲です。市場に価値を創り出して適応するための一連の行動ですから、企業活動全般にほぼ近い大きな輪郭を持ちます。

このような狭義のマーケティング思考は、分業化している大手企業、広報とマーケと商品企画などを1人で担当している中小企業どちらの領域にも存在しているように思います。

企画を作ること、SNSに情報をアップすること、消費者アンケートを行うことはマーケティングの一部ですが、あくまでも一部です。

森岡さんが示している通り「市場価値を創造する仕事全般」であるので、マーケティングに関わる人だけではなく、営業・人事・経理など、普段マーケティングに関わっていなそうに見える職種の人たちであっても「市場価値を創造する」ことは出来ると思います。だからこそ、会社内のすべての人が「マーケティング思考」を持つ必要があるのだと感じています。

コンピテンシーは定量化せよ

(本書より抜粋)
測定することが難しいコンピテンシーの例を挙げておきましょう。コンピテンシーとして実際に「人間力」を掲げている会社があります。「人間力」という広大な概念を、どうやって具体的な行動として定義できるのでしょうか?(中略)大事なことはできるだけ数値化すること。数値化できていれば、たとえ上司と仲が悪くなってもあなたの成績は動かしがたい客観性で担保されることになります。

これはうちのコンピテンシー評価にも言えることだなぁと。。。
評価軸に業績以外の定量化をしていないので、協議時間が長くなってしまいます。

営業数字は動かしがたい事実ですが、「組織への貢献度」や「部下への信頼度」をどのように計るか?についてはあらかじめ定量化していくべきだと思います。共通言語化し定量ゴールを定めることで、営業型組織からマーケティング型組織に変われる、そんな気がします。

提案に「大義」はあるのか?

(本書より抜粋)
あなたにとっての「提案の目的」を明確にすることです。その提案によって「一体何を達成したいのか?」という目的をできるだけ明確に定義して、文字に書き出してみましょう。提案が通る「確率の高い目的」を選ばなければなりません。その確率を高くする最大の条件は、「目的を意思決定者と共有できているか」です。

まずはWho(誰に対して)・Why・What(なぜ提案するのか・何を提案するのか)を定義しなければならないと思います。特にWho(誰に対して)によって提案の目的・内容が大きく変わるため、提案者にとっての便益は何なのか?どうすれば共感・納得してくれるかどうか?を考えることで、企画が通りやすくなると思います。

私も昔は「良い提案さえしていればわかってくれるはず」と考えていました。しかし、それは結局エゴであり幻想でした。。結局1番大事なのは「良い提案をすること」ではなく「提案を通して実行し、成果を出すこと」なので、企画を通す(≒良い提案をする)ことはそのプロセスでしかないということです。

企画が通らない3つの理由

(本書より抜粋)
「公の便益」は憚られることなく、提案が買われて実行される際に表向きの理由になります。これが弱いとターゲットを説得する確率が下がり、たとえ説得できても実行される際の推進力が不足します。
公の便益が弱い場合は、3通りの可能性があります。相手にとって、便益の魅力が足らない・実現可能性が低い・コスト(費用・労力・政治的リスク・時間など)が高い、これらのどれかです。

「便益」が誰にとっての便益なのか?という前提はあると思いますが、提案が通らない理由は上記3つに集約されると思います。あくまで個人的にですが、社内外ともに提案を通そうとするときに最も引っかかるのが、コスト(特に労力と政治的リスク)のように感じます。

政治的リスク、これがなかなか侮れない。可視化できていないこともあるし、風土として染みついている場合は相手が気が付かないため、良さを感じてもらえないこともありました。そういった意味では事前の根回し、調整力が長けているプレイヤーは提案~実行フェーズに移る際に大きな力を発揮するんだと思います。

「記憶に残る幕の内弁当」なんてものはない

上記言葉は秋元康さんの言葉。

どんなに美味しい幕の内弁当でも、人の記憶に残ることはめったにないと思います。つまり、印象に残る企画・アイデア・キャンペーンというのはとても魅力的で、重要である、ということです。

ただ、どんなに面白い・魅力的な企画であっても、世に出なければ何の意味もない。だからこそどうすれば企画を通すことができるのか?何を押さえればその企画が実行フェーズまで進むのか?までをデザインできるマーケターになりたいと思いました。

企画力は日頃のインプット・アウトプットによって鍛えることはできないけど、企画を通す提案~実行力は実践の場でしか積めないと思うので、ガシガシ前に出て、たくさん失敗して、学び続けようと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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