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「来店予約のない業態」の広告検証は無料ツールである程度できる、という話。

こんにちは、桜井です。

本日は飲食店・小売店などの「来店予約のない業態」にてチラシやCMなどのプロモーションを実施した際に、「来店寄与しているかどうか」を無料で検証する私なりの方法をシェアしたいと思います。

【例:来店予約のない業態とは】
・ファミレス
・ショッピングモール
・ホームセンター
・雑貨屋
・家具屋 など


なぜこんなことをするのか

そもそも、なぜこんなことをするのか?を簡単にお話したいと思います。私は現在、「静岡県のマーケティングをアップデートする」という理念ももと、企業さまのマーケティング戦略の立案・ブランディングのお手伝いをしています。

※私の「地方×マーケティング」の構想はこちらに書きました。

常々感じているのが地方では「成果にコミットしている代理店・および広告主がとても少ない」ということです。

「Web広告を出して、なんとなく良かった」や「チラシを巻いて集客が〇名あがった(原因はわからない)」などの、広告を出しっぱなしにして検証をおざなりにするケースを多々見てきました。

広告で成果をあげるのはもちろんですが、広告は検証こそすべてだと思っています。検証なき広告は(代理店や広告主の)自己満足に近いとも思っているため、検証→仮説構築にこそ力を入れてほしい、という想いからnoteを書いています。


使用する無料ツールは3つだけ

私が使用しているツールは大きく分けて、以下3つのみです。

【使用するツール】
・Googleアナリティクス
・Googleマイビジネス
・各SNSの管理画面

もちろん、細かく分析する上ではより多くのツールを活用することもあるかと思いますが、「仮説構築」ためには上記ツールで十分だと考えています。

※どれも無料で使用できるツールですので、使用にお金はかかりません。

今回は説明の便宜上、SNSの管理画面の説明は除き、Googleアナリティクス・Googleマイビジネスの数値集計について触れたいと思います。


フェーズ①:比較対象を決める

まず第一にやるべきことは「比較対象を決める」ことです。比較対象とは「広告を出していないとき」「広告を出しているとき」にどんな数値差異があるのか?を見る、ということです。

具体的には以下の通りです。

【売上・客数が近い店舗】×【エリア別】で3店舗を1グループとして抜粋する

フェーズ①比較対象を決める

エリア(県または市など、ドミナントの場合は町でもOK)ごとに売上・客数の近い店舗を3店舗1グループにして集計します。店舗数が少ない場合は比較対象の2店舗を選んで対比する格好でも良いと思います。

100店舗近い店舗がある場合は売上の多い順に「グループ1~5」程度に分け、1グループ3~5店舗抜粋してみるのがオススメです。

後々ご説明しますが、グループ1~5ごとに各数値の伸長率を見ていくと「売上規模の大きいグループ」「売上規模が小さいグループ」×「出店エリア」により、どの数値が伸長しているか?が分かるため、検証がより精緻にできます。


フェーズ②:比較対象店舗の数値を集計する

続いて行うことは比較対象店舗の数値を集計していきます。

集計方法は以下の通りです。

【広告出稿前の1ヶ月間】×【広告出稿期間】の各種数値を集計する
※集計すべき数値は「売上・客数」「HPの店舗別ページ」「Googleマイビジネス数値(検索数・表示回数・反応数)」です

フェーズ②比較対象の数値集計

広告出稿前の1ヶ月間広告出稿期間でそれぞれ数値を集計します。便宜上、「広告出稿前の1ヶ月間」としていますが、時期変動のある業態の場合は「前年同時期」でも良いですし、特定の期間でも良いと思います。

そして、集計すべき数値は「売上・客数」「HPの店舗別ページ」「Googleマイビジネス数値(検索数・表示回数・反応数)」の3つです。

※HPの店舗別ページはGoogleアナリティクスから、Googleマイビジネスは店舗ごとのインサイトから確認することができます。


フェーズ③:比較対象の数値を対比する

必要な数値を集計した後は対比する作業に入ります。

比較対象の【1日あたりの数】を集計し、対比する
※「売上・客数」「HPの店舗別ページのPV・セッション数」「Googleマイビジネス数値(検索数・表示回数・反応数)」のすべての数値の1日あたりの数を出す

1日あたりの数を出すことで、対象期間の数が比較できるようになります。

ここまでの集計でできていることは「広告出稿前の期間」と「広告出稿期間」それぞれの

・1日あたりの【売上・客数】
・1日あたりの【HPの店舗別ページPV・セッション数】
・1日あたりの【Googleマイビジネス検索数・表示回数・反応数】

となります。

ここまでできれば集計はほぼ終了です。


フェーズ④:各数値の伸長率を対比する

その後、③で集計した1日あたりの数を「広告出稿前の期間」と「広告出稿期間」の「伸長率」として出してみます。

・【売上・客数】の伸長率
・【HPの店舗別ページPV・セッション数】の伸長率
・【Googleマイビジネス検索数・表示回数・反応数】の伸長率

これにより、広告出稿期間で【どの売上規模グループ】の【どのエリアごと】【どの数値(売上or店舗ページorGoogleマップ)】が伸長したか、がわかるようになります。


フェーズ⑤:ユーザーの確度別に数値を並び替える

最後に各数値をユーザーの確度(潜在層~顕在層~リピート層)別に数値を並べ替えて見比べてみます。

↓の図はイメージですが、【エリアA~D】ごとにウェブサイト(店舗ページの数値)→Googleマップ(Googleマイビジネスの数値)→売上・客数の実績の伸長率を比較したものをまとめた図です。

AIDMA×Web指標値①

ウェブサイトは「認知」、Googleマップは「比較検討~来店検索」、売上・客数は「実来店・リピート」にインパクトを与える、と定義しました。

その結果、

・エリアDはウェブサイトの店舗ページPV・セッション数が増加
・Googleマイビジネスの数値は全エリアで増加
・売上・客数実績はエリアA・Bのみで増加

となりました。

この数値からいったいどんなことが読み取れるでしょうか??
私は以下の通り考えてみました。

AIDMA×Web指標値②

【数値から見える仮説】

・エリアDのみ、ウェブサイトの店舗ページPV・セッション数が増加している → 逆にエリアA~Cは店舗の存在・場所は知っている、Dは店舗の存在を知らない人が一定数いた(今回の広告で認知した層がいた)

・Googleマップで検索はすべて増えている → 営業時間や直近でのイベント、来店へのアクションは取ろうとしている(お店に行く意思は持っている)

・売上・客数実績が伸長したのはA・Bのみ → C・Dは認知~検索までしたが、何かしらの原因で来店へのハードルがあった(隠れた課題)


仮説構築はコンテンツ・クリエイティブ・メディアごとに検討する

上記の仮説はあくまで私見ですが、仮にグループ(売上規模やエリア)ごとに「認知促進フェーズ」「認知→来店促進フェーズ」に分かれる場合、全国一律の取り組み(CMやチラシ)を行っても効果にバラつきが出ることは明白だと思います。

まずは各グループごとにどんな課題があるのか?を特定し、課題に沿ったプロモーション戦術を行わないと効果は出にくい、と考えています。

各グループの課題設定ができた後に「どんなコンテンツがハマるのか」「どんなクリエイティブがユーザーにとって自分ゴトになるのか」「どんなメディアが最もユーザーと相性がいいのか」といった具体的な対策に落とし込まれていくのではないかと思います。

あくまでコンテンツ・クリエイティブ・メディアの提案は仮説・課題設定があってはじめて意味のあるものになります。仮説・課題設定なき提案は上滑りする可能性が高い、博打広告となるので注意が必要です。

図にすると、↓のようなイメージです。

ターゲット~クリエイティブの考え方

以上が、「来店予約のない業態」の広告検証は無料ツールである程度できる、という話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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〇ローカル×マーケターのコンテンツマーケサイトを運営しています


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