「戦略プロフェッショナル」を読んで。
どうも、桜井です。
戦略プロフェッショナルを読んで、個人的に心に残った部分を書き残してみたいと思います。
三枝匡さんの名著はこちら↓
人情を盾に戦略的責任から逃げるな
私自身の実体験を交えても心当たりがたくさんありました。人情・人としての魅力があることに越したことはないのですが、よくないのはその「人間的側面」を盾にして戦略的な責任から逃れようとする人がとても多いように思います。
経営トップもしくは部門長・組織長のトップは戦略的責任を負っていると思っていますが、どうも他責感のあるトップもいる。経営者でもやれ「株主が・・・顧客が・・・消費者が・・・」と、さも自分の意思決定は他者によって操られているように話す人がいました。
人間的な魅力はそのままに、戦略的な責任から逃げずに向き合うことがとても大切だと思っています。
財務戦略やM&Aに逃げるな
中小・零細企業の経営者と話しているとコンサル嫌いの方に出会います。「昔、こんなにお金をふんだくられた」などの悪態をついている人もいるくらい、恨みを持っていそうな人もいました。
そもそも双方合意の上で契約をしたのに、どうしてそんなに他責にしているんだろうと思っていて、もしかすると「コンサルに頼めばきっと業績が良くなる」と盲目的に考えてしまっていたのかな?とも感じていたのですが、↑の部分を読んでもう1つ可能性があるな、と思いました。
それは経営コンサルが「事業戦略やマーケティング戦略」のような売上・利益を伸長していくのではなく、「財務戦略やM&A」に舵をきること(コストを抑える・他の力で業績を伸ばす)で、自分たち会社・ブランドの地力を上げることを怠ってしまい、結果的に業績が伸び悩んでしまった背景があるのではないか、ということです。
財務やM&Aが悪いわけではありませんが、そもそもそれらは自分たちで稼ぐ力があることが前提にあると思っています。前提がないままにコスト圧縮したり、他所からリソースを引っ張ってきても、数年後同じような課題に直面することは目に見えているはず。しかしそれがわからなかった、ということかと思います。
政治性の強い組織には政治性で対抗するな
政治性の強い組織で働く対処法について言及されている文の抜粋ですが、頷きが止まりませんでした。
「この組織は政治力が必要だから」と言われたこともとても多くありましたが、ホントに政治力が必要なのかな?と感じることも同じくらい多くありました。
最も大切なのは戦略性であり、そこに社内の事情は不要で、市場と競合と顧客を見て論理的に議論することが大切だと思います。もし当たり前の議論ができないのであれば、客観的な事実・数字に基づきながら話し合いを進めてみる。うまくいっているなら続ける、ダメなら止める、という意思決定ができるよう、事実と数字に向き合い続けるしかないと思っています。
失敗を疑似体験しろ
ここの言語化もそうだよなぁと感じたのですが、私も20代半ば〜後半の頃に上司や先輩に「とにかくたくさん動け・まず動け」「頭でっかちになるな」などと言われていたのですが、どうも腑に落ちませんでした(そしてなぜ腑に落ちなかったがここにすべて書かれていました)。
もちろん、動かなければ成功も失敗もないため、行動そのものを否定することではありませんが、まず深く考えて正確な仮説を立て、それを頭の中で何度もシミュレーションしてみる。その結果行動することで、最適解となる「一本の線」が出来上がる、といったイメージです。ただ闇雲に行動するだけではカンは育ちにくく、論理性とも離れた結果になる気がします。
行動の前に深く思考を繰り返すことが、カンを養うポイントではないかと思っています。
正しい戦略が正しい答えであるとは限らない
まさに図星!と唸ってしまいました。綺麗な戦略は経営戦略コンサルタントによってつくることはできるかと思います。ただ、その綺麗さに時間をかけていると実行のタイミングが遅れてしまい、いつまで経っても事業が展開できないこともあります。
先ほどの「思考を深める」ことと真逆のことを言っているようにも思うのですが、「最低限、どこまで考えれば良いのか」「これ以上は行動しながら考えるでOK」と言ったラインを持つことがとても大切だと感じるし、その勘所こそがカンと論理でつくり上げられるものだと思っています。
マーケティング戦略に営業スキルが必要なワケ
よく、営業とマーケティングは別モノなのか?という議論がありますが、結論、「営業ができないとマーケティング戦略はつくれない」ということなのかな、と思っています。
↓の記事の中でこのような記載があります。
コトラー先生の4P、place(販路)には「対面セールス」が入っている。つまり売る手段として営業は有効であり、「どうすれば売れるか?」「(営業が)売ってくれるようになるにはどうすべきか?」はポイントになると思っています。
となると、マーケティング戦略は営業の気持ちに立ち、なおかつ営業が思いつかないような営業戦略を考えなければならないという命題を持っているともいえるかもしれません。これはマーケターも一緒で、営業ができないマーケターは売れる仕組みを作れないし、業績を上向かせることはできないともいえるかと思います。
効果がない施策はなぜ生まれるのか
立案する力よりも、実行する力の方が大切ではないか、という議論ですね。この言葉を聞くとマークザッカーバーグの↓の言葉を思い出します。
仮説があっているかどうか?業績に結びついているかどうか?はまずやりきった後に議論されるべきことであり、「完璧にやるよりもまず終わらせてくれ」というのが戦略立案者の本音なのではないかと思います。
実行管理する立場としては、「やり切る、とは具体的にどこまでを指すか?定量数値はどこか?」「やりきった後、どんな状態になっていれば良いのか?」を示してあげることが大切だと思っています。
日本の経営者として成功するために必要なこと
個人的にとても課題に感じているのが、著者の三枝さんがおっしゃる「男の愛敬」のところ。戦略思考の高い人よりも人間性を強みにしている経営者の方が男の愛嬌を武器にできる気がするため、もう少し年齢と経験を重ねることで私自身も身につけたいと思っているところ。
修羅場の定義
私は幸運なことに10数年の社会人生活の中で修羅場を経験できました(あくまで相対的に、ですが)。
「今日売上が伸びなかったら帰ってくるなよ」的なパワハラはありましたし、行動ではなく人格否定、上司のご機嫌取りで昇給する謎の評価基準、上司の感情を逆撫でしたら実績関係なく権限を剥奪され評価を下げられるような環境に身を置くことができました。
正しい戦略を実行しようとしても、そのためにどれだけ自学をしたとしても決して評価されることはありませんでした。
よく環境は「我慢する」か「環境を自分が変える」か「その場から出て行く」かと言われますが、私は出て行くことを選びました。
その辺りの話は↓に書いています。
修羅場を乗り越えるためには戦略だけでは足りない、ということを身をもって知った立場として人間のナラティブに向き合うスキル・教養をもっと身につけていきたいと感じている今日このごろです。
リスク志向を持て
三枝さんは、リスクを取れる人は「野心」や「志」を持っていると形容されています。森岡毅さんは「欲を持ってほしい」と言っていました。私も日々、自分の実力不足に嘆いています。そのため、知識・教養をインプットして実戦機会で試すことを続けていきたいと強く感じました。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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