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ネットワーキングという言葉(構造・フロー・変化)

昨日は『ソーシャル物理学 - 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(著:アレックス・ペントランド)より「人間を理解する新しい言葉・概念・理論」を読みました。

しばしば「人間は社会的な生き物である」と言われます。他者と協調する。それは単なる生命維持(合理的・効率的な物質的充足)だけではなく、他者との交流を通じて生活を豊かなものとする、意味的側面も含まれています。

新しいアイデアはどこで生まれるのだろうか?それはどうやって行動に移されるのだろうか?どうすれば協調的で生産性が高く、創造的な社会構造を実現できるのだろうか?こうした問いはあらゆる社会にとって重要だが、特にグローバル経済や環境破壊、政府の無策といった課題に直面している現代社会にとっては、避けて通れないテーマである。

社会、経済、文化。人は「つながり」の中で様々な交換を行っています。人との交換。自然との交換。「つながり」をどのように活かすのか。交換からの恩恵を最大限に享受するためには何が必要なのか。どのような条件が満たされる必要があるのか。人間の協調性・創造性を解放するための鍵は何か。

本書を読み進める上で問いを立てました。

この新しい世界を理解するためには、既存の政治的・経済的概念を拡張しなければならない。先ほどのような「数百万の人々が、お互いの意見から学んだり、影響を与えたりしている」という状況を考慮に入れられるようにする必要があるのだ。人間を「熟慮の上に意思決定を下す個人」として捉えることは、もはや不可能だ。個人の意思決定を左右し、バブル経済を煽り、政治的な混乱をもたらす、社会が持つ動的な影響力と、インターネット経済を考慮に入れる必要がある。

技術、ことデジタル技術の発展によって、人と人のつながりは大きく変化しました。時間と空間の境界がなくなり、世界のあらゆる場所がつながりあう時代。そのような時代において「熟慮」する機会が希少になっているのかもしれません。

膨大な情報がインターネット空間上に投げかけられ、検索すれば簡単に手に入る。しかし、そのような時代だからこそ、情報を検索して終わるのではなく、情報を吟味し、情報の裏側にあるシステム、メカニズムに関する深い洞察が必要とされているように思います。

社会物理学は、人間の行動についてより正しく理解するために、競争という概念だけでなく、アイデアや情報の交換、社会的圧力、社会的地位といった概念も考慮に入れる。また、社会物理学の構築には、社会的な交流が個人の目的や意思決定にどう影響するかだけでなく、それがアダム・スミスの言う「見えざる手」の実現にどう関わるのかを理解することが重要だ。社会的な交流と競争を共調して機能させる方法を理解できれば、現代の「つながりすぎた社会」に安定と公正をもたらすことが期待できるだろう。

ネットワークの構造、ネットワークの流れの変化は力学構造を変化させる。その一例が社会的圧力。社会の行動規範から逸脱する行為に対して、それを是正させようとする力が働きます。

一方、「逸脱」は閉塞感を打破する力としても作用する可能性を秘めており「逸脱」を許容することも等しく重要かもしれません。

アダム・スミスの言う「見えざる手」すなわち「自動調整メカニズム」の裏側には、人間の根源的な共感性・協調性が存在している。アダム・スミスは『道徳感情論』の中で、人間はモノを交換するだけではなく、アイデアを交換したり、感情的な理由からお互いに助け合うことが人間の本質であると論じています。

「つながり」の作り方、「つながり」の変わり方。その動的変化(ダイナミクス)というレンズで、社会を眺めてみたら何が見えてくるでしょうか。

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