朝、目が覚めて、呼吸をする。
呼吸が深く入る日もあれば、浅い日もある。
「なぜ呼吸の深さに違いが生まれるだろう?」と考えると、日々の過ごし方の違いや、一秒単位で身体が変化し続けていることに行き着きます。
過去の積み重ねが現在の自分につながっているわけですが、その積み重ねの全てを自分がコントロールしてきたわけではありません。だからこそ、呼吸の深さの違いを通して過去を振り返ることに意味が生まれると思います。
具体と抽象。個別と一般。
呼吸している「私」は個別・具体的で、一般的な私ではありません。
瞬間瞬間を注意深く観察すること。
何かを頭の中で思い描いた理想、一般像という「枠」に当てはめることが時に助けになる一方、それは細部を削ぎ落とすことでもあり妨げになることもある。
「神は細部に宿る」とは、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエが残した言葉ですが、削ぎ落とされた「細部の集積」が個につながっていると思うと、「細部の変化に気づく繊細さ」が生命を下支えているのではないかと思うのです。