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「自然と相互支援が生まれる環境」とはどのようなものだろう

今日は『ソーシャル物理学 - 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(著:アレックス・ペントランド)より「組織化が素早く行われ、しかも効率的に動く」を読みました。

社会的ネットワークにおける情報やアイデアの流れを改善し、幅広い情報を集約し深く共有する。その過程がネットワーク全体のでの意思決定、行動をより望ましいものに変えます。

情報やアイデアがスムーズに流れるためには、ネットワークを構成する一人ひとりが互いに協力して情報やアイデアを交換する必要があります。では、どうすれば、そのような協力を促すことができるのでしょうか。

問題は大勢の人々を集められるかというよりも、大勢の人々を集め、機能する組織を形成できるかどうかにかかっている。バルーンを発見した人だけでなく、その人を紹介してくれた人にも報酬を払うようにしたのは、それが理由だ。そして両者にほぼ同じ報酬を配分したわけだが、それは実際の探求と同じぐらい、ネットワークを形成する作業も重要だからである。私たちは金銭的な報酬を使って、バルーンの情報を提供しようというモチベーションを高め、ソーシャルネットワーク型の報酬を使うことで、他人を巻き込もうというモチベーションを高めた。

社会的ネットワークの形を想像してみると、それは階層構造ではなく網の目状で、流れが一方通行ではなく双方向的。無意識のうちに、大規模なネットワークを想像してしまいます。「ネットワークは大きければ大きいほどよい」という暗黙の仮定を置いていることに気づきました。

ネットワークは「要素の数(大きさ)」よりも「有機的なつながり」のほうが重要であること。それはヒエラルキー構造のように、中央から枝分かれし続けるような構造ではない。つまり、あらゆる要素からあらゆる要素に情報やアイデアを伝えることができるというのは、ある意味でショートカットができることに他なりません。

ショートカットがあるからこそ、大きなネットワークでもスムーズに情報が伝わってゆくのです。

この問題の核心にあるのは、こうした時代遅れの組織が、市場型の思考に基づいて構築されているという点だ。顔の見えない、画一化された従業員にインセンティブを与え、型通りの仕事をさせるのである。こうした組織構造は、仲間同士の間で生まれるネットワーク型のインセンティブにはほとんど対応していないため、従業員が御互いに助け合おうとしたり、ベストプラクティスを学ぼうとしたり、高いパフォーマンスを発揮しようとしたりといった傾向が生まれにくい。また従業員と経営陣の間にエンゲージメントが存在しないため、お互いに学びあうチャンスが生まれず、ビジネスプロセスが硬直化して非効率なものになってしまう。

時代遅れの組織、市場型の思考。これらは頂点からスタートして徐々に徐々に分割されてゆく樹形図的構造であり、トップダウンともいえるでしょう。

型通りの仕事を与え、その成果に見合った報酬を与える。個人への金銭的なインセンティブは「頑張ればそれだけ報われる」ということですが、そこには他者とのつながりは存在しません。目標とタスクの管理を通じて人とつながりを持っている状態です。

人は縦のつながりだけでなく、横のつながりも必要な生き物だと思います。その中で「互いに支援すれば報われる」という世界観を確立する。直接は自分の功績にならないとしても、他者が報われることを目的に取り入れて全体最適を図る。どのような環境において人は互いに学びあうのでしょうか。

それとは対照的に、ウィキペディアの組織では、コンテンツの提供者と編集者の間に継続的なやり取りがあり、急成長する組織のニーズに合った交流パターンが構築されている。そしてこうした交流の習慣を身につけることを促す仲間からの圧力があり、そこから効率的で効果的な協調行動が生まれる。

ウィキペディアはコンテンツの提供者と編集者の間に継続的なやり取りがある。即興的に自然と相互支援が生まれる環境はどのようにすれば実現するのでしょうか。

急成長する組織のニーズに合った交流パターンを構築する。リソースの問題等から近視眼的になりがちな状況下において、他者との交流を継続的に深めることを両立する。そのような交流の深まりは業務上の要請ではなく、雑談などを通じて自ら開拓してゆくものかもしれません。

「交流の習慣、身についているだろうか」と日々内省することの重要性を再認識しました。。

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