債券金利をテクニカル分析だけで判断することにはほとんど意味がない理由

2022年初旬~2023年初旬は米国で景気過熱・インフレ高進などを背景に、異例な金融引き締めが行われることによって債券金利が大幅に上昇し、リスク資産価格が比較的大きめに下落するなど話題を事欠かなかった。

【米国10年債金利のチャート】

そのせいもあって、ツイッターの投資アカウントの間ではこの期間はかつてないほど債券金利に関するつぶやきをする人が増加した。
つぶやきの質も玉石混合であり、過去の動向および先行き見通しをファンダメンタルズに沿ったものからテクニカル分析だけを根拠にしてつぶやくものまで多種多様となっている。
債券金利分析は一般的にはかなりめんどうくさい分析が多いということもあり、特に知見がないのに大物ぶりたく不安を煽る系の投資ツイッターアカウントはテクニカル分析で先行き金利動向についてつぶやいているのをしばしば見かける。

しかし、債券金利の動向を考える上では、こうしたテクニカル分析だけで語るということは全くの間違いであり、ミスリードにさえなりかねない。
そもそもプロは株でテクニカル分析はまだやるとしても、債券金利についてファンダメンタルズを無視し、テクニカル分析だけで今後こうなりますみたいな説明をしたら、普通に上司にぶん殴られてもおかしくないし、おそらくは使えないやつとしてすぐに担当から外されることになるだろう。

ただ、どうしても個人投資家にとって債券金利の動きというのはやはり馴染みがないものということで、時々ツイッターでテクニカル分析だけで債券金利動向の先行きを無理やり煽る人に騙されるということもあるわけなので、今回はなぜ債券金利動向をテクニカル分析だけで判断することが間違っているのかを説明していきたいと思う。

1、債券金利は株より経済実勢に影響する範囲が大きい

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