見出し画像

神の7つの霊について、考えてみた。

聖霊は7人?それとも1人?

ずーっと前から気になっていた、黙示録 3:1 に出て来る「神の7つの霊」という表現。

神の霊というのは、聖霊のことだ。

黙示録の表現を額面とおり受け取るなら、聖霊が7人いることになる。

けど、キリスト教神学では「聖霊はただ1人」と考えるので、じゃあ、7つの霊をどうやって1人に収束させるか、という課題が発生するんだ。

今日の聖書の言葉。

しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。
ヨハネによる福音書 14:26 新共同訳

ありがたいことに聖霊はすべてのことをわたしたちに教えてくれる。この「神の7つの霊」の問題についても、きっと教えてくれるにちがいない。

なので、祈りつつ、考えてみよう。。。

「7」という数字に込められた意味?

聖霊は、神が世界を創造したとき、神の言葉に先立って働いていた。

初めに、神は天地を創造された。 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた 神は言われた。「光あれ。」 こうして、光があった。
創世記 1:1-3 新共同訳

神(父なる神)と、神の霊(聖霊)と、神の言葉(イエス・キリスト)とが協働して7日間かけて世界を創造した。

そう考えると「7」という数字は、神が創造した世界を意味している、と解釈できるかも。

そうすると、「7つの霊」という表現は、この世界を完成するために活動している聖霊、という意味が込められているのかもしれないね。。。

確定的なことは言えないけど、その線で考え続けてみよう。

聖霊は、世界を完成するために、どんな活動をしているんだろう?

聖霊の働き・その1「知恵を与える」

聖書を読んで行くと、天地創造の次に聖霊が登場するのは、エジプトの王であるファラオの面前でのことだ。

ファラオと家来たちは皆、ヨセフの言葉に感心した。 ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い
創世記 41:37-38 新共同訳

ファラオは、気味の悪い夢を見て悩んでいたんだけど、その夢の意味をヨセフが見事に説き明かしたので、感動したファラオがヨセフをエジプトの宰相に任命しようとする場面だ。

ここを見ると、聖霊は超自然的な知恵を人間に与えることができて、しかも、その知恵の素晴らしさが「神の霊」によるものであることは、ファラオのような異教徒の目にも認識される、ということがわかる。

なので、世界を完成へと導く聖霊の活動の第1は「知恵を与える」ことじゃないかな。。。

聖霊の働き・その2「芸術を与える」

次に聖霊が登場するのは、イスラエルの工芸家たちが神の幕屋とその器具(契約の箱、燭台、祭壇、水盤など)を作る場面だ。

見よ、わたしはユダ族のフルの孫、ウリの子ベツァルエルを名指しで呼び、 彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識をもたせ、金、銀、青銅による細工に意匠をこらし、宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての工芸をさせる。
出エジプト記 31:2-5 新共同訳

ここを見ると、聖霊は、工芸家、作家、職人たちにインスピレーションと巧みな手のわざを授けて、美しい芸術品を作らせることがわかる。

なので、世界を完成へと導く聖霊の第2の活動は「芸術を与える」ことじゃないかと思うんだ。

聖霊の働き・その3「政治を与える」

次に聖霊が出て来るのは、モーセをアシストするために70人の長老たちが立てられる場面だ。

主は雲のうちにあって降り、モーセに語られ、モーセに授けられている霊の一部を取って、七十人の長老にも授けられた。霊が彼らの上にとどまると、彼らは預言状態になったが、続くことはなかった。
民数記 11:25 新共同訳

モーセは、男性だけで60万人、子どもと女性を入れると200万人近くにのぼるイスラエルの民を導いて約束の地を目指していた。

だけど、たくさんの人々から毎日持ち込まれる「苦情」が多すぎて、とてもモーセひとりでさばききれない状態になっていた。そこで、聖霊が70人の長老たちに臨んで能力を授け、モーセの重荷を70人が協力して分担するようにしたんだ。

コミュニティーが抱える山のような課題をリーダーたちが話し合って解決して行く。これって、まさに「政治」だよね。

なので、世界を完成へと導く聖霊の第3の働きは「政治を与える」ことなのかもしれない。

聖霊の働き・その4。。。いや、ちょっと、待って!

聖霊の7重の働き。1~7番までスロットがあって、ここまでで、すでに3つ埋まった。あと空きスロットが4つある。

でも、聖霊の働きって、あと4つどころでは、とても収まりそうにない。

だって、聖書を読み進めて行くと、どんどん候補が出て来るんだもの。

出て来る順番にざっと上げただけでも、こんなにある。

聖霊は力を与える(士師記 14:6)
聖霊はリーダーシップを与える(サムエル記上 10:10, サムエル記上 16:13)
聖霊はビジョンを与える(エゼキエル書 11:24)
聖霊は死者を復活させる(エゼキエル書 37:9)
聖霊によってイエスが宿る(マタイによる福音書 1:18)
聖霊はバプテスマする(マタイによる福音書 3:16)
聖霊は荒野に導く(マタイによる福音書 4:1)
聖霊は預言させる(ルカによる福音書 1:67)
聖霊は喜びにあふれさせる(ルカによる福音書 10:21)
聖霊は指図を与える(使徒言行録 1:1)
聖霊は異言を語らせる(使徒言行録 4:31)
聖霊は慰める(使徒言行録 9:31)
聖霊は賜物を与える(使徒言行録 10:45)
聖霊は宣教に遣わす(使徒言行録 13:4)
聖霊は禁止する(使徒言行録 16:6)
聖霊は監督者を任命する(使徒言行録 20:28)
聖霊は神の愛を注ぐ(ローマの信徒への手紙 5:5)
聖霊は人を神の子とする(ローマの信徒への手紙 8:15)
聖霊はとりなしの祈りをする(ローマの信徒への手紙 8:26)
聖霊は人を聖化する(ローマの信徒への手紙 15:16)
聖霊は証印を押す(エフェソの信徒への手紙 1:13)
聖霊は信仰を与える(コリントの信徒への手紙一 12:3)
聖霊は新しく生まれさせる(テトスへの手紙 3:5)
聖霊は神の言葉を語らせる(ペトロの手紙二 1:21)
聖霊は祈りを導く(ユダの手紙 1:20)

だめだ。。。とても7つでは収まりきらない。

聖霊の活動って、すごい多岐にわたっている。そして、どれひとつとっても、自分に必要なものばかりだ。

そこで、自分の得た結論。。。

「神の7つの霊」とは、神が創造した「世界・隣人・自分」を完成するために、神がイエス・キリストを通してわたしたちに惜しみなく与えてくださる聖霊のすべての働き、ということなのだろう。

それは「7」で表されたこの世界にありながら、そこに収まりきらない豊かさをもってあふれ出て、わたしたちにすべてを享受させるのだ。

どうか、わたしたちが、そのすべてを受け取ることができますように!

聖霊の続唱(Veni Sancte Spiritus)*

聖霊来てください。あなたの光の輝きで、
わたしたちを照らしてください。

貧しい人の父、心の光、証の力を注ぐ方。
やさしい心の友、さわやかな憩い、ゆるぐことのないよりどころ。
苦しむ時の励まし、暑さの安らい、憂いの時の慰め。
恵み溢れる光、信じる者の心を満たす光よ。

あなたの助けがなければ、すべてははかなく消えてゆき、
だれも清く生きてはゆけない。

汚れたものを清め、すさみをうるおし、受けた痛手をいやす方。
固い心を和らげ、冷たさを温め、乱れた心を正す方。

あなたのことばを信じてより頼む者に、尊い力を授ける方。
あなたはわたしの支え、恵みの力で、救いの道を歩み続け、
終わりなく喜ぶことができますように。
アーメン

註)
*  Laudate 「聖霊の続唱


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?