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障害福祉サービスでの認定調査

 障害者総合支援法では、サービスを利用するには「認定調査」が必要。これは、介護保険法でも同じくです。ただ、聞き取る調査項目がちょっと違ってきます。

 そんな認定調査ですが、相談支援専門員だった頃は、市からの委託で行なっていました。もちろん、認定調査員の研修を終えてからね。

 研修の内容は深くは述べないけれど、調査の注意点もあります。
①必ず、調査を始める前に、自己紹介、調査の目的等を説明する。
②「行動障害に関連する項目」を聞き取る際には、本人が聞かれたくない内容があるかもしれないということを説明する。
③聞き取らなくても分かる内容(調査場所まで歩いてきた、調査中にお茶を飲んでいる等)は、深く聞き取らない。ただ、補足がいるときもあるよ。
④基本は本人に聞く。同席者にも話を聞くことがあるけど、メインではない。

 調査してみると、色んな利用者に出会う。そんな認定調査のときのことをいくつか。

あんたは母親の愛人

 とある利用者の調査に行ったとき、本当だったら利用者本人と話をすることが必要。
 だけど、本人に会うといきなり「愛人となんか話をしない!」「帰れ!」と。どうやら調査に同席する母親の愛人と思われているらしい。僕が説明するより、母親が本人に説明をするも、その誤解は解かれず、本人は調査の最初の5分くらい話しただけで、退席し、外出。
 ちょっと困っていても何にもならないし、切り上げてしまうとしても、調査は障害支援区分を出すためにも、福祉サービスを利用するにも必要。次の人も同じことになるかもしれない(女性だったら良かったのかな)。
 だから、本人が帰ってくることを期待しつつ、母親に話を聞く。本人がいないとやはり聞きにくい。
 本人が帰ってこないまま調査終了。

 その後、調査票をまとめるときに、市役所に調査のときのことを報告。電話口でも困っていていることが分かる。「再度、調査してほしい」と言われたが、次もちゃんと本人からの聞き取りができないかもしれないこと、別の調査員が行なうとしても同じことが起こりうること、を伝え、今回の調査で提出OKとすることで進めました。

同じ?

 認定調査では、市役所から依頼の文書と共に、利用者の住所、連絡先が送られてきます。そして、日程調整をしていく。
 とある利用者の認定調査でのときに、調査は順調に進んでいったんだけど、利用者の母親から
 「このまえも同じような調査をしてもらったんだけど、何か不都合でもあったんですか?」

 ???

 別の調査のことだと思ったので、そのまま進めて、終了。
ただ、心配だったので市役所の福祉課に確認電話。そうしたら、別の相談員が調査をしたことが判明、担当職員のミスで改めて依頼したとのこと。ただ、調査料のことを聞くと「支払います。」とのこと。

 だったら、なんで不思議に思った時点で、市役所に電話しなかったの?

 本人の通所サービスの終了時間と、親御さんの都合のいい時間を調整していたら、18時以降に調査ということになってしまい、電話できなかったというのがいいわけです。

サービス利用の意向

 認定調査は、本人の障害の程度を聞き取って障害支援区分を判定する。その後、必要なサービスの利用につなげる。というのが本来の目的。
 障害支援区分は更新が必要だから、時期が来たら、改めて調査を行う。また、初めて障害福祉サービスを利用するときにも調査をする。(訓練等給付費も場合は例外あり)

 認定調査をしていた時、更新のための調査が多かったが、たまにいたのが
「サービスをこれまで使ったことはなかったが、これから使うかもしれないサービスのために申請した」
「更新の書類が来たので、申請した」というもの。
 そして、調査に行き、始めに調査の目的を説明して、これからのサービスについても聞いていくと、なんだかはっきりしない。『市役所からのことだから、申請する必要があるんじゃないの?』と思ってサービスのことは詳しくは考えていないこともあった。
 そして「どこのサービスがいいの?」と聞かれることもあったが、サービスの内容の話はするけれど、特定の事業所の話はしないようにしていました。さすがに市役所からの委託だしね。
 また「これからも使うことはないと思う」と言われたこともあった。必要な時には利用してくださいね、とは伝えるがこれ以上は自己決定なので言えず。
 『認定調査をしたから、サービスを利用する』わけでもないことを理解させてもらいました。

だれのためのサービス?

 だいたい調査にかかる時間は、短くて30分、長くて90分。
 ただ、僕が経験した中で一番長いのは150分。

 そんなに本人の状態が複雑なの?

 そうではない。

 じゃあ、なんで?

 聞き取りをしていると、「これからどうすればいいの?」と聞かれたり、生活の不満やグチが出てきて先に進めない。何とか軌道修正しようとしてもうまく行かず。
 結局、本題以外で90分くらい。次の予定まで時間があったから良かったけど。


 知的障がいの方への調査だと、親が同席していることが多い。だけど、面談自体は本人への聞き取りであり、理解しやすい質問を心がけて行なう。

 最初の説明のときに「補足があるときには後で聞きます」と伝えて、親が本人を遮って答えてしまうことがないようにしていました。でも、本人がモジモジしていると親が答えてしまう。また、本人は質問に答えていいのか分からず、親の方をチラチラ見ている。何回もあると、諦めて親が答えることも。
 サービスをつかうのは、本人であって、親ではない。
 本当に今のままでサービスを使えるのか、心配なこともありました。


 認定調査は『本人の状態をきちんと把握して必要なサービスにつなげるもの』と思っています。昔の事業所の会議で「新規の利用者を増やすために、認定調査をした利用者に連絡を取ってくれ」と言われたことがあったが、そんなことをしたら、今以上に市役所との関係が悪くなることもあるので、必死に拒否。
 ただ、調査が終わってから、計画を立ててくれと利用者から連絡が来た時には支援をしていました。

 認定調査の結果が出てからも、相談員さんとの話し合いは続く。ただ、障害支援区分に不服があるときは申立てができる。本人の状態が変わった時にも再申請もできる。

 本人も家族もあまり気を張らずに調査を受けて、スムーズにサービスに繋げていけるといいですね。

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