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「福祉の仕事をしています」と答えたときの苦悩

 友人から職業を聞かれた時、どのように答えたらいいのか迷う時がある。

「福祉の仕事をしています」

 ただ、正確な答えではない。福祉と言っても範囲は広い。
  高齢者、障害者、児童、医療、成年後見だったり、
  相談員、支援員、介護職員、事務、責任者、だったり、
  社会福祉士だったり、介護福祉士だったり、精神保健福祉士だったり、
  病院、老人ホーム、障害者支援施設、デイサービス、だったり。

「特別養護老人ホームで介護職員として働いています」

 と答えるのが、(ひとまず)正確だとは思いますが、聞いている相手としては理解しているか分からない。福祉に興味があればいいけれど、だれでも伝わる方法と考えてしまうと「福祉」と一括りになってしまう。

 そして、人からの見方も変わってくる。
 相手の反応は

「えらいねぇ」
「よくやってるね」

 「そんなにすごいことしてるとは思っていないんですけど…」と思いながら、苦虫を嚙み潰したような顔をしています。
 また、こう言われてしまうと、福祉は相変わらず「大変な仕事」と思われていると感じてしまいます。

 また、福祉の仕事をしているから、優しいに決まっていると思われることもある。また、「人に尽くす」「お金よりもいきがい」と思われることもある。

 そんな風に思われてしまうことが時々悩む。

 また、福祉の仕事に対して否定的なことを言っている福祉・介護職員もいますが、「現状を変えたい」と思っての言葉だと思うようにしてます。ただ、言い方には気をつけたいですね。
 「周りの福祉・介護職員が言えないことを言ってあげているんだ」と思っているかもしれないけれど、自分と相手の立場や思いが違うので、聞いていると少し困る。そして、そのほかの職種の人も「そこまで言わなくても…」と困る。

誰でもできる仕事ですか?

 そんな風に質問されることもある。
 そして、答え方に悩む。

「なんでそう思ったんだろうか?」と思いながら、相手のことを「見て」答え方を変えている。

 ただ、思い付きで「やろう」と考えている人や、就職先が見つからなくて「なんとなく福祉で」と考えている人には、慎重に「きちんと人に向き合ってできるかどうかだね」と「福祉に対する気持ち」を問うように答え、

 家族のこと、将来のこと、自分のことを考えたうえで、「やりたいけど、自分にできるか自信がない」というような感じだと、「気持ちがあれば、介護技術も少しずつ身についていくから心配しなくていいよ」とアドバイスをする。

 そして、興味本位で聞いてくる人も少なからずいる。そんな人には「まず、ボランティアや体験をしてみたらどう?」と聞く。そうすると、少したじろいで、その次の言葉がなかなか出ない。「でも…」や「資格とかいるんでしょ」と一歩引いてしまうこともある。

最後に

 過去には、少し自信なさげに「福祉で…」と答えてしまったこともあります。福祉の仕事に自信や誇りがないわけではなく、その場の雰囲気に負けてしまったり、自分と相手を比べてしまって劣等感を感じてしまい、控えめになってしまうこともありました。今でも、自分に自信がなくて胸を張って言えないことがあります。「福祉」という仕事には誇りがあるけれど、他人に自信を持って言えないことが僕自身の問題ですね。

 もちろん、福祉には色んな人に関わってもらいたいし、それぞれの役割を果たしてもらいたいと思っています。もし、福祉ができない人がいたとしても、働き方が合わないだけで、「施設(大人数)」よりも「訪問(1対1)」が向いている人かもしれない、身体介護よりも生活援助が向いているかもしれない、現場よりも裏方(事務)かもしれない、というようにその人の特技・スキルを活かしていけることが福祉の仕事の特徴だと思います。

 また、社会の中でも今以上に「福祉」が生活の一部になり、だれでも関われるようになって「当たり前の福祉・介護」になって、色んな視野が広がっていくことがこれから必要なことだと思います。このことは、福祉・介護職員にも言えることで、他分野・他職種のことを知ろうとすれば「自分にできること」「自分に活かせること」が分かって、同じく視野が広がると思っています。

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