見出し画像

読書は一期一会〜2024年3月分

「読書は一期一会」というタイトルで、毎月買った本を紹介する月例noteを投稿しています。

2024年3月分です。
今月は僕の誕生月ということもあったり、シリーズものの文庫本が多かったりと、冊数が多くなってしまいました。
読めるかな(汗)
では早速、雑誌・Kindle以外の紙書籍を紹介します。今月は23冊です!


***

「DJヒロヒト」高橋源一郎(新潮社)2024

最初は高橋源一郎さんの大作です。

JRAK、こちらパラオ放送局……。中島敦、大久保康雄らが接点をもった熱帯生物研究所。そこに流れるラジオ番組は「オールナイト・パラオ!」。謎のDJのトークが昭和史と文学史と奇想を巧みにリミックスし、ヒロヒトと南方熊楠、森鴎外ら戦前・戦中期の文化人たちとの密かな絆を謳いあげる。6年ぶりの大長篇小説。

新潮社公式の紹介テキストですが、これだけの情報しかありませんが、高橋源一郎さんの久しぶりの長編、しかも大長編。
となれば読まねばなりません。
それにしても攻めたタイトルです。
DJヒロヒトのヒロヒトは言わずとしれた昭和天皇の名前だと分かります。
一昔前なら、いや現在でも一般人の僕には使うのをはばかられる名前です。
そんな名前をタイトルに持ってきて、しかもDJとして喋らせようというのですから・・・
DJヒロヒトを通して昭和とは何だったのか?あの大戦は何だったのか?を語ってくれるんでしょうか。
(そういえば、著名人にあやかって自分の子供に同じ名前をつけるというのはありますが、ヒロヒトとか付ける親はいたのだろうか?)

***

「方舟を燃やす」  角田光代 (新潮社) 2024

角田光代さんの新作です。
角田さんといえば、最近ではご自身でボクシングをはじめられたということで、そうした肉体性は作品に影響を及ぼすのでしょうか?
まさにそのものずばりのボクシング小説は書かれていますが、全く関係のないテーマでも作風は変わってくるのか、興味深いところはあります。
この作品はコロナ禍を通過した現代を描かれているようです。
早く読みたいです。

***

「アメリカの夜 インディヴィジュアル・プロジェクション―阿部和重初期代表作〈1〉」阿部和重(講談社)2023

無情の世界 ニッポニアニッポン―阿部和重初期代表作〈2〉」阿部和重(講談社)2023

文芸誌に連載されている阿部和重さんの作品を読んでいて、
そうだ、初期の作品も読んでみたいと思いました。
90年代にJ文学ブームとして華々しくデビューされた阿部和重さんですが、そのロックミュージシャンかと見紛う容貌と街中の広告などで、なんとなくは認知していましたが、作品そのものとは遅れた出会いでした。
なので、昨年講談社から文庫として出版された初期代表作の2作もはじめて読むようなものです。
当時は会社に入ったばかりでとにかく忙しく渋谷や新宿で遊ぶ時間もなかったでの、その頃の若い世代から見た街の様子が描かれているのではないかな、と想像しています。

***

「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹(東京創元社)2010

ガルシア・マルケスの「百年の孤独」が年内中に文庫化されるというニュースを知って、文庫版ならトライ出来るかなと考えていた時に、
そういえばマジック・リアリズム小説には他に何があるんだろう?と調べたのがきっかけ。
元々はラテンアメリカ文学が出どころらしいが、なるほど日本にもマジックリアリズムといえる作品があるらしい。
その代表作としてよく出てくるのがこの本だったので、よし、どんなものか読んでみようということです。
そういえば、阿部和重の東北地方都市「神町」を舞台にした一連の小説群も奇しくもマジックリアリズムと言われるのではなかったか。

***

「壁 改版」安部公房(新潮社)1969

「第四間氷期 改版」安部公房(新潮社)1970

「笑う月 改版」安部公房(新潮社)1984

「砂の女 改版」安部公房(新潮社)2003

先月に続いて安部公房を読み返すシリーズとして購入した4冊。
まだ他にもあるが、いったんここで打ち止め。
それにしても、ミステリー風サスペンスからシュールレアリスム、SF、ホラーぽいものまで、なんと幅広い作家だったんだろうか、と自分の不勉強を悔いています。
文庫本なので通勤電車でぼちぼち読んで行こうと思う。

***

デューン 砂の惑星 新訳版(上・中・下)フランク・ハーバート(早川書房)2016

デューン 砂漠の救世主 新訳版(上・下)フランク・ハーバート(早川書房)2023

デューン 砂丘の子どもたち 新訳版(上・下)フランク・ハーバート(早川書房)2024

これは完全にデューン 砂の惑星 PART2の凄さにやられて、PART3を期待しつつ原作も読んでおこうということで一気読みを目指します。
三体だってドラマ版を見る前に全巻読んでおいてよかったので、映画2作分は後追いにはなるけれど、映像化との違いを比べながら楽しく読めるんではないかと。
しかも原作はかなり古い(だって、スター・ウォーズへの影響もあったような SFの古典ですから)けれど、新訳版なのでおそらく読みやすくなっているんではないかと期待。

***

「時代の反逆者たち」青木理(河出書房新社)2024

同世代の闘うジャーナリスト青木理さんの新作です。
御本人は何かで、自分のスタンスはずっと変わらないのだけど、政府がだったか世の中がだったかが右傾化してきたので、気がついたら左にいるようになっている、みたいなことをお話されていたように記憶しているが、本当にその通り。
青木さんもご出演されているTBS「サンデーモーニング」も司会の関口さんが今朝の放送でご卒業されたのですが、この番組も時の政権から攻撃対象となったり、ネトウヨ達からは左の番組だと言われていますが、
僕からしたらすごく真っ当なことを言い続けている唯一といってもいい番組だと思う。
まぁそういう意味では青木さんも開き直って自分では反逆者でもいいよ、ということなのでしょう。

***

「書いてはいけない」森永卓郎(三五館シンシャ)2024

森永卓郎さんの渾身の2作目。
森永さんもそういう意味では、国家に反旗を翻した不届きもの、反逆者、逆賊というレッテルが貼られるんでしょう。
前作の「ザイム真理教」に続き、今まで誰も公には語ってこなかった(書いてこなかった)タブーについて、財務省の事以外についても書かれていらっしゃいます。
それにしても、この本ごときでビビってしまって出版できない大手出版社は全員頭丸めて出直して来いと言いたい。
森永さんにはペンは強しで頑張って欲しい。

***

「72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶 (RealSound Collection)」宗像明将(blueprint)2023

音楽・アート関連の本をいくつか。
まずはムーンライダーズの鈴木慶一さんの本。
といっても、御本人の著作ではなく音楽評論家でもある著者の宗像さんが鈴木慶一さんをインタビューしたことをまとめられているようです。

音楽家・鈴木慶一の記憶から辿る、音楽を作り奏で続けた72年間

さすがに72年間というのは誕生されてからでしょうが、それでもデビューが1976年だということは、プロとしての音楽活動期間も50年にあと少し残すだけ、とものすごく長きにわたって一線で活動されてきたんだなと敬服するばかりです。

***

「最後の音楽:II ヒップホップ対話篇」荘子it、 吉田雅史(DU BOOKS)2024

かたや若手代表というわけではないですが、Dos Monosのメンバーでありビートメイカー・ラッパーの荘子itさんとJディラ本を執筆されご自身でもビートメイクされるという評論家の吉田雅史さんの対談集です。
まさにヒップホップ界は生誕50周年で昨年から盛り上がっていますが、
ヒップホップはまさに門外漢だった、あくまでもビートメイクという側から入門した僕にとっては、きっと真新しい話ばかりだと思います。
勉強のための一冊です。

***

「にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史」みの(KADOKAWA)2024

いまや人気Youtuberとなっている「みの」さんの最新著作です。
史実と違うところが多い、とか自分の個人的な意見を通史みたいに書くな、と批判している方もいらっしゃるようなのですが、やっかみ半分、それはそれとして丸呑みしなくても、いつものYoutubeの「みのミュージック」チャンネルと同じ感じで楽しんで読もうと思っています。
しかし、480ページの大作です。
ものすごい仕事量だったんではないかと想像しただけで尊敬してしまいます。

***

「カメラは、撮る人を写しているんだ。」ワタナベアニ(ダイヤモンド社)2024

本屋に行った時に、美術・写真コーナーに平積みしてあり、表紙の美しい女性に惹かれて手に取った一冊です。
著者は写真家ですが、写真撮影の技術論ではなく、どちらかというと心構えやマインドについてエッセイ風に書かれているところが、他の数多ある写真入門書とは違うんじゃないかと購入。

***

「とるにたらない美術 ラッセン、心霊写真、レンダリング・ポルノ」原田裕規(ケンエレブックス)2023

今作の著者原田さんが編集されたラッセン本「ラッセンとは何だったのか?[増補改訂版]」を図書館で借りて一気読みしたので、さらに視座を広げてラッセンなるもの、つまる「とるにたらない」と業界では評価されない美術作品たちに関する本も読んでみようと購入しました。
(あくまで、タイトルからの想像です)

特に「ラッセンとは。。」は僕がこれまで一貫して嫌っているヤンキーやヤンキーなるものたち(日本のマジョリティを形成するマイルドヤンキー文化ですね)についてなるほどそういうことだったのかと思うところが多かったです。
「ラッセンとは。。」本によるとラッセン=ヤンキー文化と最初に評されたのは原田さんではないようなので、おそらくその文脈とは違う展開になるのかもしれないが、また新しく目が開かれると思うと楽しみな一冊です。

***

さいごに

今月は多かったです。
これら以外にも、ムック本とか雑誌をいくつか買ったので読むもので部屋が溢れかえっていますが、シリーズものは読みはじめるとスピードがぐんぐん上がってくるので、意外にそんなに時間はかからないのではと思っています。
それにしても、朝の電車通勤もかなり2019年レベルに近い状態に戻ってきていて、時間帯によっては本当に混んでいるので単行本はまず手に取ることも難しいのが残念ですね。
文庫本ですら、つり革の前の乗降客に影響を受けにくい中心側に位置を確保出来ないとこれも厳しい状態です。
もっと地方分散とか(自分も地方に行ければいいが、そうすると今度は車通勤になって本を読むことはもっと難しくなるのですが)、大幅な時差出勤とか各社は全力で取組んで欲しいです。

それでは!

<了>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?