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現代の鬼退治:桃太郎か?必見のかなり攻めているドラマ 『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

(2話目までは少しネタバレあります。ご注意下さい)

今シーズンのドラマが先週くらいから各局で始まっています。

毎シーズン面白そうなもの、キャストが好みのもの、などから何本かピックアップして、最初の1話もしくは2話まで観て、続けて視聴するかどうか決めています。

この日テレドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は2話まで観て、このまま続けようかなと思っているので少し感想を書いておきます。

それにしてもタイトルがまず変わってますよね。
「■された」って、■の部分の漢字(単語)は「殺」だと思うんですが、
(というか、「生徒に殺される」って公式サイトに書いてますね)
テレビドラマのタイトルとしてはNGなのか、または何か今後のストーリーに関係する意味があるのか、それは分からないですが、
こんなタイトルは見たことないですね。
しかも、フォントだと「■」ですが、正式な表記は、
何かの字を消したような特殊文字?画像?になっているんですよね。
やっぱり、内容に関係して意味があるんだろうなぁ。

物語はとある都内の高校で3年生の担任を受け持つ松岡茉優演じる教師(九条里奈)が、生徒達それぞれが抱える問題に正面からぶつかっていくというもの(おそらく)なんですが、
その理由がぶっ飛んでます。
ただの学園モノではなく、昨今流行りの「タイムループ」の要素も入っているのが新しい。

九条里奈は卒業式の日、誰かに突き落とされて「■されて」しまうのですが、落ちていく瞬間、卒業生の目印の腕章(?)をつけた腕が見えます。
そして、次の瞬間気がつくと、1年前の始業式の教室に立っています。
「このクラスの誰かが私を突き落として■された?」

そして、1年後に「■され」ないように、生徒たちに恨みをかわないように
「皆さんの困ったことがあったら何でもします」
と宣言してしまうところから、厄介なことになっていきます。

そして、このクラスがかなりヤバい。

僕が学生時代の昭和の高校とは違って、明らかに悪そうな、昔でいうヤンキーみたいなのはいないけれど、表面上だけは良い子を装っていても、何を考えているか分からないというか、本心を出さないで取り繕っているというか、そんな裏がありそうな生徒ばかりなんです。
ていうか、普段一緒につるんで遊んでいる友人同士でも、お互いのことはそんなに深いところまでは知らなくて、踏み込まない、みたいなそんな薄ら寒い感じ。

うん、怖い。こんな教室を受け持つ教師には絶対なりたくない!(笑)
今ってこんななの?
うちも息子が2人いましたが、彼らの学校での様子なんて分からなかったからなぁ。
しかも関東と僕の育った関西ではかなり雰囲気違いそうだし。

1話目で、芦田愛菜演じる女生徒(鵜久森叶)が、クラスの全員から猛烈ないじめに合っていることが分かるのですが、
それをきっかけに、このクラスを変えようと獅子奮闘することになります。

この女生徒 鵜久森叶は敵か?味方か?
どちらか判断つかない感じで物語が進んでいくのですが、1話目が終わった次点では、特に裏設定もなく、教師 九条里奈の味方になっていくように終わります。
そして、この1話目での芦田愛菜の演技がSNSでも話題になっていたようです。
いじめにあっていたことをクラスの皆に語る5分くらいの独白のシーンがあるんですが、これがもう本当に凄い。
まさに芦田愛菜パイセンです。

正直、1話目の途中くらいまでは、クラスの生徒達が胸糞悪すぎて、クズすぎて、少しの感情移入も同情も出来ない感じで、
(実際、ドラマの中でも九条に「あなたたちは人間の姿をした何かだ」と言われていました)
あまりに見ていて辛いので、もう1話で止めようかな、とも思いました。
でも、最後には芦田愛菜パイセンの独白名シーンと、少しの希望も見えたような気がしたので、もう1話だけ観てから判断しようと。

そして、2話目。
うん、これはもう継続決定です。

2話目では違う男子生徒、彼も家庭にかなり深刻な事情を抱えているのですが、彼とその友人の男子生徒2人を結果的に、自分の味方につけることに成功します。
この2話で主役の生徒 瓜生陽介を演じている山時聡真君がまたすごくいい!
彼も1話の芦田愛菜パイセンと同じく独白シーンでの熱演があります。
山時君は松坂桃李や菅田将暉が所属するトップコート所属で、うんきっと彼らに続き色んな作品に出るいい役者さんになるんだろうな、と楽しみです。

そして、2話まで見て気づいたのが、

「なるほど、これは鬼退治へ向かう桃太郎だ!」

ということかな。
"きびだんご" こそありませんが、九条里奈が自分を殺す犯人を見つける、そして殺されないようにする、その目的(鬼退治)への旅路で、イヌやサルやキジをどんどん仲間に引き入れていくという話なのでしょうか。

各人の内に秘めた想いが、ある事件をきっかけに外に出るその時、感情が爆発して、想いをぶちまけることで "つきが落ちた" ようになり、気がついたら教師 九条里奈の側についている、そういう流れなのか?と。
まぁ、それだけで引っ張るのは流石にくどいから、もういくつか仕掛けがあるのかもしれませんが。

それにしても、観ていてちょっと分からないというか気になるのが、
松岡茉優の演技についてです。
本人の演技力云々ということではなく(松岡茉優の演技力に定評があるのは折り紙付きですしね)、その演技ディレクションについてです。

友人達(なんとその1人がラランドのサーヤ!)と話す時は普通なのに、クラスの生徒達と話す時が、
「家政婦のミタ」の松嶋菜々子というか「女王の教室」の天海祐希というか、終始表情も乏しく感情も抑えて敬語で話すんです。

これはどういう効果を狙っているのか、何となく分からなくもないんですが、ちょっとその演技がノイズになって話が入ってこない時がたまにあるんですよね。
その演技の意味、もう少し観てみます。

もう1つ言い忘れていた!
金八先生がそうだったように、こういう学園モノは生徒役で出ていた役者さんたちがこれから売れっ子になる可能性があるということです。
芦田愛菜パイセンはともかく、第2話の山時聡真とか、そういう視点も楽しみかなぁ、と。
公式サイトに相関図が出ているんですが、ざっと見ると「あれ?」という名前があって調べると有名人を親に持つ2世俳優もいるみたいなんですよね。

例えば、栖原竜太郎役の窪塚愛流くん。
窪塚という名字とその顔つきで「ん?」と思って調べたら、お父さんは窪塚洋介さんなんですよね。
お父さんのようなエキセントリックな尖った演技を見せてくれるのか、全く違うキャラなのか、彼の主役の回があるのか楽しみだったりして。


しかし、金八先生以来、数多くの学園ものドラマが作られてきて、その度に、クラスの設定や主役の教師のキャラなどに数々の趣向を凝らしてきていますが、今作はタイムループというSF設定を土台に、
さらに犯人探し、現在の社会問題(いじめ、毒親、etc)なんかをぶち込んできたかなり脚本を練った力作とみました。

さて、本作が松岡茉優の代表作となるか。
この先の話の行方が楽しみなドラマです。


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