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サザエさん『クレームボックス』の回、それってどうなの?

久しぶりにサザエさんを観た。

サザエさん一家、絵は馴染み深い知っているみんな。

だけど、何かおかしい?
そうだ、昔とは声が違うんだ。

数十年前のオリジナルからは皆さん声優が変わってるのは知っていたが、

特にここ数年観ていなくて明らかに違うのは、
マスオさんが全然違うぞ?
(現在のマスオさんは2019年から3代目の田中秀幸さん)

あと、タラちゃんが違和感ありまくり笑
(現在のタラちゃんは2022年から2代目で愛河里花子さん)

そんな若干の違和感を感じつつ、やっぱりサザエさんのほのぼのとした話はいいなぁと観ていたが、今日の2本目の話には「???」となったので書いておきたい。

まず、2本目のあらすじはこちら。

【磯野家のクレーマー】
サザエは購入したピーナッツが湿気ていたと、販売店に伝える。店主に感謝され、お詫びの品を貰う。カツオは「クレームを言ったら感謝されることもあるのか」と驚く。そして『クレームボックス』を作成し、家族に発表する。「家族への苦情やクレームを書いて、この箱に入れてよ」と言い出す。

フジテレビ サザエさん放送ページより抜粋
https://www.fujitv.co.jp/sazaesan/

カツオは家族へのクレームとして、
「朝はもう10分寝かせてくれ」とか、
それってクレームか?単なるお願いとか要求ではないのか?
というような事を色々と書いて発表する。
まぁ可愛いっちゃ可愛い話だが、そもそものクレームの定義がストーリーとちょっと違っていないだろうか?という疑問がまずひとつ。

まず、weblio辞書から「クレーム」の意味を調べてみた。

「クレーム」は、商品やサービスに対して不満や不具合を指摘し、改善や対応を求める意見や要求のことである。消費者から企業へのクレームは、品質向上やサービス改善のきっかけとなることがある。

まぁ、「姉さん(=サザエさん)、あんまり早く起こさないでくれよ」という意味なのであれば、不満の表明であり改善要求に違いはないのだろうが、若干の違和感はある。

だいたい、家族間で「クレーム」という概念を持ち出して来るのはどうなんだ?
というのもある。

サザエさん一家は、昭和からの古き良き家族関係を体現しており、今となっては珍しい「お茶の間」が有効に機能している2世帯家族だ。
そんな日常に家族間の対話が出来ているところへ、「クレーム」という近代欧米(は大げさか)の概念を持ち込んできて制作者はどうしようというのだろうか。

タイトルの『磯野家のクレーマー』とあるように、「クレーム」という言葉にはネガティブな感情がある。
ここ日本に限って言えばだが、決して何かの不具合を指摘することでポジティブに改善しようというのではなく、単に不満の表明としてのみ現代では機能しているように思う。

そうした風潮に対して「クレーム」をもう少しポジティブな、本来の意味する
「品質向上やサービス改善のきっかけとなる」ことを提言しようとしているのだろうか?

そんな大層な思惑がこの回にあったとは到底思えないのも事実だが。
(元来、サザエさんはそういう何かを提言するようなことはなく、ただただ日常を切り取って、10分間のショートストーリーとしてほのぼのと描くエッセイ風短篇のようなものだから)

では、今回の「クレーム」が世の中で一般的に想像されている「クレーム」そのものだとしたら、それはそれで困ったものだ。
「クレームボックス」なるものを家庭内にも持ち込んで、
「ちょっとでもおかしいな?と不満を持ったらどんどん表明しよう」
そんなことを広めようとしているのか?
世の中おかしいことだらけだから、個人の意見をもっと言っていこうぜ!
そんなことを訴えたいのか?

まぁ、実際のところは「何もそんな深い考えはない」というのが正解なのだろうが、なんだかなぁと思わざるを得ない回だった。

サザエさんは声優さんが変わっただけでなく、その話にも違和感の残るようなものになってしまっていました。

<了>

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