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読書は一期一会〜2024年7月

「読書は一期一会」というタイトルで、毎月買った本を紹介する月例noteを投稿しています。

2024年7月分に買った雑誌・Kindle以外の紙書籍を紹介します。
7月はまだ1日ありますが締めちゃいます。
何故なら今月は多い!
26冊もありますので、カバー画像右端から短めにサクッといきます。



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「正体」染井為人(光文社文庫)2022

映画化されたといことなので、上映前に原作を読んでおきたいなということで文庫版を入手。
一時期は通販サイトはどこも品切れだったので(みんな考えることは同じ)、書店に買いに行きました。

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「オフ・ブロードウェイ奮闘記」中谷美紀(幻冬舎文庫)2024

中谷美紀さん、エッセイも書かれるんですね。
そして、ドイツの演奏家とご結婚されてオーストリアに居住されていたり。しばらく見ないなと思っていましたが(こちらの勝手ですが)、日本の芸能村から飛び出て自由になさっているのは素晴らしいと思います。
ということで、中谷さんの何冊目かのエッセイ集のようですが、こちらはオフブロードウェイにご出演された時のエピソード中心ということで興味深いです。
ブロードウェイは機会があり何度か観劇したことがありますが、オフブロードウェイとなるともっと小さな小屋でディープなイメージがあります。
ブロードウェイの裏話がテーマになったものは最近だと(それでももう9年前)映画の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』がありますが、やはりとても興味深かったです。

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「サイバースペースの地政学」小宮山功一朗、小泉悠(ハヤカワ新書)2024

個人的に信頼のタイトルが並ぶハヤカワ新書の新刊です。
現職はサービス運営をしている企業に勤務しているため、データセンターなるものを「サイバー空間」という観点でしっかり理解しておこうと選びました。
それにしても、最近のKADOKAWAへのサイバーテロ攻撃もありましたが、より一層サイバー空間への防御が民間企業でも必須になりましたが、それはこれからますます大変になると思います。
「昔はオンプレミスの方が安全、クラウドなんてセキュリティが。。。」と言っていたのが懐かしい。
今や、パブリッククラウドの方がサイバー空間インフラとしては堅牢な訳ですから、マインドチェンジが必要かと。

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「ある翻訳家の取り憑かれた日常」村井理子(大和書房)2024

この方を全く存じあげなかったのですが書店で見かけて。
装丁カバーとタイトルの「取り憑かれた」というワードで、すっかり最近流行りのモキュメンタリー的ホラー本かと思いました。
そうしたら、翻訳家としての作者の日常をユニークに書かれたエッセイ集だとわかり、エッセイだったら読まないと!ということでお迎えしました。
作者はエッセイもこれまで何冊も出されておられるようですね。

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「わからない」岸本佐知子(白水社)2024

翻訳家でエッセイの名手といえばこの方、岸本佐知子さんの新刊です。
今回はそっけないタイトルですね。
無条件でお迎え。

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「ベスト・エッセイ 2024」日本文藝家協会(光村図書出版)2024

そしてエッセイといえばこのシリーズ。
毎年その年に各種媒体に発表されたエッセイから選出されるエッセイのエッセイによるエッセイのための(ナンノコッチャ)アンソロジーです。
これもマストバイですね。

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「泉麻人自選 黄金の1980年代コラム」泉麻人(三賢社)2021

最近の人はもうご存知ないのかもしれないですが、いわゆる東京のシティボーイ的な雰囲気を地でまとっていたような方で、かつサブカル元祖みたいなところもある方ですね。
関西人の僕からは一番遠くにいる人かもしれません。
どういう括りになるんだろうか、タレント、評論家、文化人、コラムニスト、よく分からないですが、こういう人は昭和には多かったように思います。
そういえば、この方と再開発前の虎ノ門の道端ですれ違ったことがあります。1980年代の終わりのことでした。
いつもテレビで拝見していた泉麻人さんそのものでした。

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「僕の樹には誰もいない」松村雄策(河出書房新社)2022
「ハウリングの音が聴こえる」松村雄策(河出書房新社)2024

2022年に他界された音楽評論家 松村雄策さんの最後の2冊です。
なぜか、今読んでおかないとと思い立って購入しました。
松村雄策さんといえば、大のビートルズファンという印象とロッキング・オンの名物コーナーだった「渋松対談」が昭和生まれの音楽ファンの印象だと思います。

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「六月のぶりぶりぎっちょう」万城目学(文藝春秋)2024

またもや変なタイトルの新作本です。
京都ファンタジーの名手と勝手に呼んでる万城目さんは独特の言語感覚を持っていらっしゃる。
そういえば、今回の直木賞にもエントリーされていた青崎有吾さんの「地雷グリコ」はその設定と不思議な語感が万城目学ワールドを思わせました。

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「明智恭介の奔走」今村昌弘(東京創元社)2024

「屍人荘の殺人」からの今村さんの剣崎比留子シリーズのファンで、早く剣崎比留子シリーズ新作が読みたいと思っていたのですが、今作はその前日譚で明智恭介の物語だそうです。
うむ、これも面白そうだ。

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「ビリー・サマーズ 上・下」スティーヴン・キング(文藝春秋)2024

上下2冊は当たり前のキング新作です。
今作はいつものホラーテイストではなく、クライムノヴェルだそうです。
ふむふむ、お盆休みにでも取り組もうかな。

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「偽りの空白」トレイシー リエン(早川書房)2024

オーストラリアのベトナム人移民一家の物語(おそらく)。
先月買った「サメと救世主」や「ゼアゼア」もそうですが、いわゆるこれまで物語の主役として扱われることの少なかった「白人以外」の人たちの物語が面白い。
それまでは創作の世界ではマイノリティとされてきた人たちですが、実は人口分布的には白人よりもずっと多い(おそらく)。
かくいう我々日本人もそっちなんです、名誉白人のつもりでイキってますが。

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「台湾文学コレクション1 近未来短篇集」(早川書房)2024

早川から新しくはじまった台湾文学コレクションシリーズの1作目は台湾SFものです。
すでにシリーズ2も出版され、3冊目も間もなく。
台湾に興味を持ってから、映画も小説も観てみたい、読んでみたいというムードになっています。
惜しむらくは漢字の名前が覚えにくいということだけなんだなぁ。
三体も苦労しました。

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「オルタナティヴR&Bディスクガイド フランク・オーシャン、ソランジュ、SZAから広がる新潮流」(DU BOOKS)2024

この手のディスクガイドは取っ掛かりにはとてもありがたくて、DU BOOKSさんのシリーズは結構買ってます。
このオルタナR&Bはいいかなと思ってスルーしてたんですが、アトロク2の特集でやっていたんです。
このジャンルはインディー系やいっときのチルウェイブなんかとも境界線が曖昧な分わかりにくいのも確か。
やっぱりあまり詳しくないジャンルだからこそちゃんと把握しておこうと思って入手しました。

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「ポピュラーミュージック大全: ザ・ローリング・ストーンズからテイラー・スウィフトまで」ケレファ・サネ(早川書房)2024

分厚い!まさに鈍器本。
こんな辞書のような本を見かけたら買わずにいられない悲しい性。置くとこないのに。
ロック、R&B、カントリー、パンク、ヒップホップ、ダンスミュージック、ポップの1970年以降の欧米音楽7大ジャンルを網羅的に扱っている大書。
枕元に置いて寝る前にちょっとずつ読む系ですね。

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「小山田圭吾 炎上の「嘘」 東京五輪騒動の知られざる真相」中原一歩(文藝春秋)2024

再生YMOの立役者の1人といってもよい小山田氏が東京オリンピック開会式の音楽担当になったと発表された時は驚きましたが、その後の過去の雑誌インタビュー記事での発言が炎上して、一線からキャンセルされたこともさらに驚きました。
コーネリアスとしての音楽活動は全面的に支持して聴いていただけに、何が本当なのかよく分からない状況でした。
しばらく経って御本人からの手記も発表されましたが、本作は小山田さん本人への長時間に渡るインタビューや関係者への取材で「いったい何が起こったのか」を総括しているといってもよい著作だということで、予約して購入。

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「20世紀ジャズ名盤100」大谷能生(イースト・プレス)2024

一時期のJ-JAZZブームからのモダン・ジャズ懐古ブームではジャズ喫茶のオヤジたちが量産していたジャズ名盤ガイドブック。
まさかの大谷能生も執筆されるとは、それも書き下ろしだそう。
大谷能生といえば盟友菊地成孔との東大講義録が本になったものなどいくつかマスト本があるけれど、これもその1冊になるか。

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「たのしむ知識 菊地成孔と大谷能生の雑な教養」菊地成孔・大谷能生(毎日出版新聞)2024

と書いてたら、まさにお二人の著作が出ました。
DOMMUNEの名物企画JAZZ DOMMUNEのような雑談もとい対談本です。

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「映画興行分析」宇野維正(blueprint)2024

これも鈍器本だ。
宇野維正氏がWebメディア「リアルサウンド映画部」で連載されていたテキストにいくつかのコラムを加えた本です。
だったらWebテキスト読んでればとも思ったけれど、まとまった本としてずっと時系列を追って毎週の映画興行に関するデータを見ていると何かが見えてくるぞ、という本だそうです。

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「不完全な社会をめぐる映画対話: 映画について語り始めるために」河野真太郎・西口想(堀之内出版)2024

「陰謀論」、「ハラスメント」、「ケア」、「ミソジニー」、「障害」etc...テーマに沿って、現代映画を社会的な視点で語るスリリングな対談。

そんな紹介がされていました。
映画に関する対談本は買っちゃうかなぁ。

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「他なる映画と 1」濱口竜介(インスクリプト)2024
「他なる映画と 2」濱口竜介(インスクリプト)2024

『ドライブ・マイ・カー』で一躍世界的に有名になった映画監督濱口竜介の映画本。
濱口監督は映画論に関してもテキストが多く、これはそうしたものをまとめた著作。
1は「映画講座」、2は「映画批評」に分冊されているが、まとめて1冊として読みたい。

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「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」森合正範(講談社)2023

圧倒的な強さでボクシングファンではない僕も含めたうちの家族も井上尚弥の試合だけは見てしまう。
そんな井上尚弥の強さを本人にインタビューするのではなく、対戦した相手(とはつまりノックダウンされたボクサーなんだろうが)を取材して浮かび上がらせるという面白いこと考えるなぁ、という本です。
やっと買いました。

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「創始者たち─イーロン・マスク、ピーター・ティールと世界一のリスクテイカーたちの薄氷の伝説」 ジミー・ソニ(ダイヤモンド社)2023

これは中古本で入手。
きっかけは米アメリカ大統領選のトランプ陣営副大統領候補J・D・バンス上院議員です。
彼のバックにはシリコンバレーの仕掛け人ピーター・ティール氏がいるらしいこと。
だったら、ということで遡っていった一冊がこれです。
この後、ピーター・ティール著作本、イーロン・マスク自伝なんかにあたってみようかな。

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さいごに

今月は多かった。
今年は会社は退職したので夏のボーナスも長い夏季休暇もないのに、すっかりいつもの癖で「もうすぐ夏休みだ!ゆっくり読書三昧だ!」と買いすぎてしまいました。反省。
もう来月は本を買うのは辞めよう、と口先だけでついつい新刊が出ると面白うそうだと買ってします。
本屋に行かない、amzon含むネット書店はアクセスしない、と決めておかないと。

それでは!

<了>

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