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映画「ライトハウス」〜灯台怖い、カモメには手を出すな

こんにちは、makoto です。

昨年公開されて話題になっていた映画「THE LIGHTHOUSE/ライトハウス」を観たので感想をnoteしておきます。

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「ライトハウス」はA24制作の映画です。
A24は、
現在最も勢いがあるんではないか?
ここの映画にハズレはないんじゃないか?
というくらい信頼度の高いインディペンデントの映画製作・配給会社です。

この映画は正直、エンタメとは全くかけ離れていて、むしろアート系
ストーリーでぐいぐい引っ張っていくというよりは、独特の映像と些細なニュアンスを楽しむ映画なので、観る人を選ぶ映画なのかもしれません。
実際、画面は白黒でしかも夜の場面が多いので、何がどうなっているのかよく分からないところも多いですし、視点も現実と妄想とが入り混じって大変混乱します。
ただし、なぜか眠たくなるという感じではなく、ズドーンと深く深く追い詰められていくサスペンス要素で終始緊張しながら観ていられました。
上映時間も109分なので、最近の映画にしては手頃な長さです。

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映画のタイトルLighthouseの意味は「灯台」
はい、まんま灯台の映画です。
ある意味、灯台が主役のような映画かもしれません。
そして登場人物はほぼたったの2人。
(途中、映像だけの出演が2名?いますが)

1人はウィレム・デフォー演じる年老いた灯台守トーマス・ウェイク

もう1人はロバート・パティンソン演じる若き見習いイーフレイム・ウィンズロー(またの名をトーマス・ハワード)

この2人が孤島の灯台に赴任してくるところから物語は始まります。
これから4週間、たった2人で灯台に備え付けられた居室で寝起きしながら、灯りを守り、灯台を保全することが仕事です。
トーマス・ウェイクはベテラン灯台守で昔は船乗りだったと言っていますが真偽の程は分かりません。
若いイーフレイム・ウィンズローは何やら過去に訳ありの様子で孤島の灯台守へ「金を儲けるため」に志願してやって来ますが、トーマス・ウェイクとはあまりウマが合いません。
ウェイクは灯台の灯りを守る役割を決して若いウィンズローにはさせようとせず、それどころか頂上の灯りのある部屋には鍵をかけてしまいます。
キツイ雑用ばかりを押し付けられる若いウィンズローはだんだんと鬱憤が溜まっていきます。

そんな2人がいよいよ4週間の業務を終え、いよいよ迎えの船が来るかという時に大嵐が孤島を襲います。
結局、迎えの船は来ず、次はいつ帰れるか解らない状況になり、
不安とお互いへの猜疑心、そして酒に溺れて、2人が孤島の閉鎖された空間で狂っていく、そんなところを延々と見せられる、
そんなストーリーです。

あ、もう1人、もとい1羽登場します。
隻眼のカモメです。

この映画は「ホラー映画」という宣伝がされていましたが、ホラーではないですね。
ラストにホラー的展開はありますが、人間が一番怖いというサスペンス映画です。
あとカモメも怖い。
「カモメは絶対に殺すな、カモメには過去に海で死んだ船乗りの霊が乗り移っているから不吉な事が起きる」
というウェイクのセリフがありますが、まさにウィンズローは最後カモメに仕返しされることになります。

この映画は終始閉鎖空間で2人のセリフだけで進む密室劇なので舞台で観ても面白いのかもしれません。
ウィレム・デフォー演じるウェイクのセリフも神話や聖書(なのだろう)の引用が多い、どこかシェークスピアの舞台を観ているかのようです。

そうしたセリフでの引用や比喩、または暗喩が日本人の我々にはベースとなる知識がないため、本当のところは理解が及ばないのですが、おそらくこの映画で描いているのは、ウィンズローが孤島へ来るまでに犯してしまった罪への贖罪について、そのような宗教的なものがテーマにあるのではないでしょうか。

ウィンズローが終盤、本当の名前はトーマス・ハワードだと告白しますが、トーマス・ウェイクは「俺に告白はするな」と何度も諌めます。
それはどうしてだったのだろう?
老灯台守のトーマス・ウェイクと若いウィンズロー改めトーマス・ハワードが同じ名前「トーマス」なのは偶然なのだろうか?
トーマス・ウェイクは本当に存在していたのか?
または、ここで起きたことは本当にあったことなのだろうか?
灯台の灯りをトーマス・ウェイクが若いトーマス・ハワードに見せなかったのは何か意味があるのか?
灯台の灯りとは何だったのか?
最後、頂上で灯りの正体を見たトーマス・ハワードはそれが自身の破滅に繋がってしまいます。
そもそも、灯台は本当にあったのか?

1回観たくらいでは、謎は深まるばかりです。

気軽に見返そうとは思わない映画ですが、機会があればもう一度は観ておきたい映画です。
何故なら、とにかく主演の2人の演技が物凄いからです。
まさに体当たりの演技で、ウィレム・デフォーは命がけです。
そしてお互い一歩も譲らないむき出しの感情と混沌としていく舞台。
素晴らしい。
再観賞すると、また違う感想が浮かぶかもしれません。

最後に教訓。
灯台怖い、カモメには手を出すな。
あともう1つ、酒は飲んでも飲まれるな。

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今日は2021年公開のA24製作の映画「The Lighthouse/ライトハウス」についてnoteしました。

それでは!

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