「仕事」をすることについて~「できる」から「好き」につなげていくには

仕事をしている誰もが

こんな仕事俺がやるべき仕事じゃない!辞めてやる!

と思うことが一度くらいあるんじゃないでしょうか。

テレビやSNS、動画サイトの向こう側にいる成功者を見て、羨ましく思ったことがあるんじゃないでしょうか。

そうした感情に至るまで、多くの過程があると思いますが、中でも今回は「今の仕事はある程度できるが、全くやりがいを感じずつまらなく感じている」ということから今の仕事に対しやる気が出なくなるということについて注目したいと思います。

「できる仕事」について

まず、「仕事ができる」ということは多くの場合職場では「よいこと」とされると思います。私のような発達障害者から見れば、器用に仕事ができるということだけで非常に羨ましく感じます。

私の新人時代、私や周囲の方々から「仕事ができる」と思われていた数年上の先輩が「これ、俺がやるべき仕事じゃないから」と言って年度末に職場を去ってしまいました。

少なくとも、入社時にはやる気があったと聞いており、「できるはずなのにどうしてこの仕事を好きにならないんだろう?」と会社に入りたての頃の私は感じました。

素朴な私は「できる」=「好きになる」ではないかと考えていました。そのため、ただ組織の運営者は「できる」の支援をすべきだと思っていました。

しかし、会社の中で過ごしていく中で「できる」=「好きになる」はとんだ大間違いと気づきました。

その先輩は仕事ができるものの上司との人間関係が微妙だったり、長時間労働が恒常化していたこと、(学歴と役職の有無、キャリアの長さで給与が決まるため)その先輩から見て「仕事ができないのに長くいるだけの社員、高学歴社員」に給与面で追いつくことはできないことに大いに不満を持っていたことに後日気が付きました。

特に、学歴による給与の差が大きく、大卒職員の給与をそれ以下の学歴の職員が上回るためには、資格手当をつけまくった上で役職につくくらいをしないと逆転が不可能なレベルになっています。(それに腹を立てて、通信教育などを使って意地でも大卒を取る職員もいます)

要は、給与周囲からの評価休息時間などが重要だと気づきました。特に、前者は入社時より更に不景気が進行する中なおさら重要になっていると思います。

「できる」ことが直接的に好きになることに繋がるわけではなく、先程のような要素が組み合わさって好きになっていくものではないかと考えました。

「好きな仕事」について

「好きな仕事」という言葉について、読者の方はどうお考えでしょうか。

私としては、先程の要素に加え、「多少の苦難があっても続けていたくなるもの」「自分から製品やサービスの質の向上、自分や共に働く職員の処遇改善をしていきたいと感じるもの」と考えています。

不景気な世の中ではありますが、主に個人経営系のコンサルタントを始めとして「好きなことを仕事に」「自分がしたい仕事をする」「自己実現」とかそういったキャッチフレーズが世の中に溢れています。

しかし、個人経営を始め、実際に好きなことを仕事にしてみると採算が全く合わず短期間で仕事として成立しなくなってしまったり、好きだったはずの物に仕事としての義務感を感じてしまいやる気が失せてしまう、注文数と作成に必要な材料や人員のバランスを見誤って経営不能に陥るなどのケースが多いようです。(脱サラで設立した手打ちそば屋やカフェだとか)

逆に、続けているという意味で成功している方々は「作成に必要な費用、注文数や作成期間をしっかり吟味している」「安請け合いせず、作成に見合うお代を取っている」「同業者や関連企業との人間関係作りを丁寧に行っている」などの様子があるように思います。

このことから「好きな仕事」を始めることはできても、「続ける」ことが非常に難しいと感じています。よって、「好きな仕事」は「仕事を続けられる環境作り」が極めて重要であると思います。

まとめに

仕事を好きになる、好きな仕事をするための要素は単に労働者の価値観や気持ちの問題だけでなく、給与や人間関係、組織運営の方法などその周囲の環境作りが重要であると思います

私が本格的に福祉の仕事が好きになっていく要素として、仕事ができるように教育してくれた職員の存在、利用者さんから感謝されることが何度かあったこと、辛い時に支えてくれる人間関係があったこと、ちょっと趣味ができるくらいの給与は貰えたこと、などがあります。

仕事が「できる」というのは好きになっていく前提であり、好きになるためには様々な要素が必要になります。(とはいえ、新人時代に「できる」の下積みを作って下さった職員には今でもとても感謝しています)

「できる」という下積みの上に、労働者が安心して生活できるだけの給与や周囲からの評価といった要素が重なり、好きになっていくものだと思います。

もし、誰かの「できる」ではなく「好きな仕事をすること」を支援すると公言したからには、その人と二人三脚で歩いていくくらいの気概が必要だと思います。そのくらい、人が仕事を好きになるってことは重く、大切なものだと私は思います。

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