【ケアストレスカウンセラー】Part1 Step1-3こころのしくみを知る
前回は、見えないこころをどのように見るのか、その方法について触れました。
今回は、こころのしくみに迫ります。目に見えないこころのしくみをどのように掴むのか、それは前回でも少し触れたように、精神的行動にヒントがあります。こころそれ自体は目に見えませんが、それがどのように精神的行動を引き起こすのか、そのしくみを解明することが、見えないこころに迫る手段であると考えたのです。
今回から、文末に問題を付けることにしました。よかったらチャレンジしてみてくださいね。
1.行動を引き起こすもの
行動と一口に言ってもさまざまなものがあります。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは、手のひらを指で触れるとギュッと握り返してきます。これも一つの行動ですが、これは原始反射と呼ばれるもので、精神的行動とは区別されています。
では精神的行動とは何でしょうか?それは、身体の内外の状況を感じて、それに応じてする行動です。
つまり、「見る」「聞く」「かぐ」「味わう」「触れる」という五感を通して身の回りからたくさんの刺激を受け取り、理解し、環境に順応することです。
繰り返しになりますが、こうした精神的行動を引き起こすものがこころであると考えられています。では、以下、その精神的行動が引き起こされる流れを見てみましょう。
2.精神的な行動のしくみ
精神的行動が引き起こされるまでの流れは以下の通りです。
刺激→感覚(五感)→知覚→認知→精神的行動
上で述べた通り、私たちはまず五感を通して身の回りからいろんな刺激を受け取ります。このように、五感で受けた刺激を感じることを感覚と呼びます。これは感覚受容器(目・耳・鼻など)で一番最初に行われる情報処理の過程です。
感覚の次の過程は知覚と呼ばれています。これは、目や耳などから入ってくる感覚(物理的な情報)をもとに、それらの事物や特徴を情報として意識的に「知る」過程のことです。
さらに、その知覚した情報をもとに、環境を自分自身との関係に位置づけつつ「推論」したり「判断」したりする過程が認知です。これらは具体例がないとイメージしにくいですね。
例えば、あなたが家に帰ったとき、音楽がかかっているとします。あなたはまず耳で音を感じます。これはただ単に音が「聞こえる」という段階。周りの雑音と共に耳からの刺激を受け取っているだけの状態で、これが聴覚による感覚です。
ところが、受け取った音の刺激の中から必要な音、気になる音、重要な音などが聞こえると、これらを意識上にのせ、それまでの「聞こえる」から「聞く」という意識的な状態へと移行します。先ほどの例でいうと、聞こえてきた音に意識を向けて「聞き」、その音を一つのまとまりとして、つまり音楽(メロディ)であると捉えられる段階が知覚です。
そして、そのメロディが好きかどうかを判断したり、アーチストは誰だろうかと推論したりする段階を認知と呼んでいます。
こうした過程を経て、精神的行動が引き起こされます。上の例で言うと、かかっている音楽が自分の好みであると認知したなら、思わず口ずさんだりハミングしたりする、これが精神的行動です。
私たちは普段、こうしたことを意識せずに一瞬で行っています。何か特別な努力をしているわけでもなく、身の回りの現実世界をありのままに感じていると思っています。
しかし実際は、人間が感じている世界は現実世界そのものではなく、いわば自分が「つくりあげた」世界です。そのため、五感に異常がないにも関わらず、実際とは異なる知覚をしてしまうことがあるのです。それが錯覚と呼ばれるものです。これについては次回、改めて詳しく見ていきましょう。
今回のポイント
理解度チェック問題
以下のこころのはたらきは、「感覚」「知覚」「認知」のうち、それぞれ何と呼ばれるものでしょうか?
① 暗い部屋から外に出たとき、まぶしいと感じた。 [ ]
② 本を開いたとき、挿し絵と文字との区別がつく。 [ ]
③ コーヒーの香りが漂ってきて、美味しそうと思った。 [ ]
④ 沸騰しているやかんに触って「熱っ」てなった。 [ ]
⑤ 冷蔵庫を開けたとき、プリンを見つけた。勝手に食べていいか迷った。
[ ]
答え
① 感覚 ② 知覚 ③ 認知 ④ 感覚 ⑤ 認知
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