「ネット広告運用 打ち手大全」を読んでみた

【著書】
ネット広告運用 打ち手大全
著者:高瀬順希/辻井良太/寛洋平

ネット広告打ち手

■はじめに

今、ネット広告運用の現場では、絶え間ない試行錯誤繰り返されています。
「過去に教わったベストプラクティスが役に立たない」
「うまくいった理由が分からず、上司やお客様に説明できない」

ネット広告の世界は、数年前とは全く変わってしまっています。
流れを変えた重要な要素は「AI」です。
こういった状況のもと、著者が自らの実践で失敗しながらもつかんだ知恵を「打ち手」として102個の施策・手法を公開します。

■「どうなったら成功か?」を定義しよう

ネット広告の運用計画を立てるときには、まず「どうなったら成功か?」を決めます。ここで、重要なのが成功の定義を「利益」におくことです。
どのような企業でも、利益を原資として事業の価値を高め、成長しています。
つまり、投資と利益のバランスをみる「ROI」は広告運用で欠かせない指標です。

例えば、ある広告施策における成功を「月に1250万の利益をあげる」と定義したとしましょう。
すると下記のように総粗利額と投資額、ROIを求められます。

ROI:500%
利益:12,500,000
投資:2,50,000(広告費+外注費)
総粗利:15,000,000(750000×0.2×100)
1CVあたりの売り上げ額:750,000
1CVあたりの粗利率:20%
1CVあたりの粗利額:150,000
必要なCV数:100が

1CVあたりの売り上げ額、粗利率、粗利額を計算していくと、その粗利総額を達成するには「月に何件のコンバージョンを獲得する必要があるのか?」がわかります。
この費用を投資額のうちの広告費として考えます。
さらに、運用のために必要な諸経費を外注費として盛り込むと、投資額の合計が求められます。
利益額と投資額からROIを算出し、自社の方針と照らし合わせて承認が得られてやっと広告運用のスタート地点にたてたことになります。

■機械学習に適したアカウント構成を意識せよ

Adwordsをはじめ、現在の広告ネットワークには機械学習によって広告の良し悪しを判断し、効率よく成果を上げられるように最適化していく機能が備わっています。
この機械学習の精度を上げるにはデータの「量」や「バリエーション」が必要とされますが、そこで見直しておきたいのがアカウント構成です。

Adwordsの場合、アカウントは複数のキャンペーンとキャンペーンに内包される複数の「広告グループ」によって構成されます。
この構成は、自社サイトへの階層構造に沿ったものにすることをオススメします。
広告グループをむやみに細分化せず、広告グループごとにデータの「量」や「バリエーション」が蓄積されやすくなるのが狙いです。

私たち、つまり生身の人間が広告運用に割ける時間は限られています。
その中で最大の成果を成果を上げるには、何もかも人間がコントロールするのではなく、機械学習をうまく利用し運用を自動化していくことが求められます。

■キャッチコピーを量産する「7つの型」

ディスプレイ広告のキャッチコピーでは、ベネフィットを伝えることが基本になります。
下記の7つの型に当てはめて考えることをおすすめします。

・リアルイメージ型
・ターゲット絞り込み型
・指摘型
・比較型
・変化型
・共感型
・感情移入型

また、キャチコピーはランディングページとセットで考えることが重要です。広告文は文字数の制限もあるため、広告とランディングページの2つでベネフィットを訴求することを意識します。

例)
広告
孫の野菜嫌い放置しないで
→ベネフィットにこだわらず反応率重視で作成

ランディングページ
孫の野菜不足が解消できて3世代全員大喜びです!
→ベネフィットをしっかり伝える

■顕在層を着実につかむには「リアルイメ―ジ型」

「リアルイメ―ジ型」は「この商品が欲しい・気になる」と自覚している人、つまりニーズが顕在化しているターゲットに適しています。
顕在層のユーザーに向け、商品を手に入れたあとのイメージをリアルに表現した広告を配信することで「今行動しよう」と思わせます。
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識し、具体的な数字を入れるのがポイントです。

・金額や数量を入れるとリアルに
例えば、1カ月分3000円の青汁を販売しており、1日1回飲むことで野菜100gを分の栄養素を摂取できるとしましょう。
これをそのまま「1カ月3000円」と打ち出すと高いように感じますが、「1日100円」なら手が届きそうだと思いませんか?

ユーザーがワクワクするようなちょっと先の未来を表現することを意識しましょう。


■潜在層の狙い撃ちには「ターゲット絞り込み型」

年齢・性別などの表現を盛り込み、対象を限定することで「自分のことだ」と気づいてもらうための型です。
ターゲットの中には、ニーズがまだ顕在化していない人もいます。
こうした潜在層のユーザーは、まだ商品を知らないか、商品から得られるベネフィットを理解していません。
潜在層からのアクションを得るには、広告を通じて「これは自分のことだ」と思ってもらう必要があります。
そのための型が「ターゲット絞り込み型」です。

例えば、「野菜不足を実感する方」だけであれば、世の中の多くの人が当てはまってしまい「自分のことだ」と思ってもらえる確率が下がります。
これに「50代で」を付け加えるkとで広すぎず、狭すぎない絞り込みが可能です。
絞り込みの表現としては、「○○限定」や「○○以外の方」といった言い回しも効果があります。
また、年齢・性別だけでなく、職業や所得、家族構成、ライフスタイルなどのデモグラフィックにも目を向けてみましょう。


■Facebook広告で見るべき3要素と4指標

Facebook広告の配信をきめる要素は3つ。
・入札額
・広告の質と関連度
・推定アクション率

上記の3つの要素のうち、Facebook広告の配信を開始してから最初に注目すべきなのが「広告の質と関連度」です。
そして、この「広告の質と関連度」はいかに示す4つの指標によって左右されます。

・関連度スコア
・好意的な意見
・否定的な意見
・CTR

■オーディエンスの妄想と現実を埋めろ

Facebook広告の高いターゲティング精度を生かすうえで、「実際のところ、自社の広告は誰に配信されているのか?」について理解を深めることは重要です。
コンバージョンしたユーザーやFacebookページに「いいね!」をしたユーザーがどのような年齢層で構成され、どのようなことに興味・関心をもっているのか?それを確認できるツールが管理画面のメニューにある「オーディエンスインサイト」です。
前提として、オーディエンスインサイトの対象はFacebookのみで、Instagramのユーザーには含まれません。
またリストが100人未満の場合は表示されず類似オーディエンスは調査できません。

オーディエンインサイトの代表的な使い方に、カスタムオーディエンスの検証があげられます。
自社サイトを訪問したユーザーをはじめ、さまざまなセグメントでカスタムオーディエンスを作成できることは、これまでに述べてきたとおりです。
Facebookページにイイねしたユーザーなど、特にエンゲージメント系の条件は多岐にわたります。
このとき、例えば「自社サイトのユーザーはおそらく30代で男女半々くらいだろう」といった予想をすると思います。
が、それはあくまで仮設の範囲です。この仮説が本当に正しいのかを検証するために、オーディエンスインサイトを活用するわけです。
オーディエンスインサイトを使えば、Facebookがもつ「人」ベースの情報に基づいた分析ができるため、使い勝手がよく、有益な情報を得ることができます。

■まとめ

大きな案件を担当することが最近増え、Facebookに関して理解が浅いと最近痛感しています。なんとなくは理解していてもクライアントに説明できるほど落とし込めていません。それに、クライアントからおりてきた指標をもとに運用してしまっている案件が多く、利益から逆算した運用ができていません。

また、ティール研修で自分はプロ意識が足りないと痛感しました。
他の人に比べてまだ運用歴も浅いし、基本的なところだけ理解して運用ができればいいと正直思ってしまっていました。
でも、クライアントからしたら運用して1年だろうが5年だろうが関係ありません。それにクライアントは担当を指名することができません。
自分が逆の立場だったらそんな担当に予算を任せたくありません。
運用歴や経験値はすぐにあげることはできませんが、プロ意識は自分の意識の問題ですし、自分でもっと情報を取りに行く姿勢が必要だと感じました。

また、本書を読んでFacebookの強みである「人」をベースにしたターゲティング、アクションに基づいた配信などFacebookだからできる配信手法の検証ができていないと感じました。

本書に合った下記の手法をまずは試して、ノウハウをためていこうと思います。

・オーディエンスインサイトの活用
・リード獲得と自社LPのABテスト(リスト取り案件)

そして、各案件の利益を確認したうえで、利益から逆算した目標件数、目標CPAを算出しその指標に基づいた運用を行っていきます。


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