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【朗読】空へと歌う【ひとり声劇】

☆所要時間:約2分
☆人数 :1人用

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いつも通り歌っていたはずなのに
ある日突然
私は主旋律(しゅせんりつ)から外れていた

伴奏がよく聴こえない
音を戻すことができない

おかしいと周りに悟(さと)られないよう
私は必死で歌い続けた

さも最初から副旋律(ふくせんりつ)を歌っているフリをして

どれだけ背伸びをして
どれほど気を張って
どっちが作り笑いなのか分からなくなった頃

周りの人は私を褒め称(たた)えたんだ

アナタはできるよ
アナタは強いねと

私は、弱さを認めてもらえる居場所のなさに
愕然(がくぜん)としたんだ


泣き方も思い出せなくなった頃
寝る前に聴いた言葉が
私の心を溶かしてくれた

優しく寄り添う声に寄り掛かり
無限のような夜に包まれて
私はもう一度
涙を流すことができたんだ

もうあの声は聴こえないけれど
私の心の御守りは
今も頭に響いているから

ありがとうと祈りを込めて
今日も空に向かって歌うんだ


End


〜マコのひとりごと〜

弱音を吐く場所がなかった。
「大変だね」「でも、あなたはできるんだよねー」
できると信じてもらえることは嬉しい。
嬉しいはずなのに、弱さを認めてもらいたかった。
弱っている私でいられる場所が、欲しかった。


歌うことが好き。
きっと、歌うことで嫌なこと辛いこと悲しいことを外に流して生きてきたと思う。

だから、耳が聞こえなくなった時も、声が出なくなった時も、とても怖かった。

今はそれも回復して、そして、文を書くことができるようにもなって、とても生きやすくなったとさ。
めでたしめでたし(​ *´꒳`*​)

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