拙い読書感想文「ノルウェイの森」村上春樹
僕がはじめて村上春樹さんの小説を読んだのがこの作品からでした。
2回読んだのですが1回目の時は映画のポスターのイメージがあったので純度の高いラブストーリー系なのかなという偏見を持って読んだのでかなり衝撃を受けました。
どちらかというと苦手な表現が多かったのですがこの作品から入ってみて他の村上さんの小説にもどんどん手を出すようになったので自分のなかで何かが良いと思ったのでしょう。
小説や映画や漫画でも特にリアルなものだと強く感情移入をしてしまって「それはひどい」「おかしい」等、しんどくなってしまうことも多いのですが、「これはフィクションだ」と度々思い返すことによって楽しく読めることができました。
心のどこかで「普通ではない」と思っておくこと、その視点に戻ることが物語を程よい距離感で楽しめるコツみたいなものではないのかなと思いました。
突撃隊について
主人公ワタナベの寮の同居人である突撃隊と呼ばれる大学生。
この人物が今作に出てくる中ではまだまともな部類の人間なのではないかと思います。
以上が彼の主な特徴です。
結構重たい雰囲気がある今作の中でも彼についてのシーンは笑ってしまいます。
アダルトポスターの代わりに部屋に風景画を貼っていることから寮中に風景画でマスターベーションをしているという噂が回ったり、毎朝6時に行うラジオ体操がうるさいとワタナベに言われるも床が揺れる跳躍の部分を無くせなかったり。
真面目でいいやつなんだけどイジりたくなるような人物です。
永沢さんについて
現実にもいそうな感じの人でした。
ゲームのように色んな子と寝るということを自分に課している。
恋人や他人の気持ちを考えたりできない点で彼も病気なのかもしれません。
緑について
大学近くの喫茶店でワタナベと出会い、ノートの貸し借りから仲を深めていく。
最初「やばいやつやん」と思っていたのですが、よくよく考えたらめちゃくちゃ下ネタを言う割には彼氏が居る間はワタナベと寝ていなかったり、ちゃんと彼氏と別れてからワタナベと一緒になろうとしたところに好感が持てました。
また緑の家族では、お母さんとお父さんが同じ病気で早い段階で亡くなったり、なかなかつらいことも多く、それを吹き飛ばすかのようにワタナベの前では正直で居続けているのかもしれません。ワタナベには素直に心を開いてしまうといった印象です。
直子について
緑とは反対のタイプのヒロインです。
彼女の家族でも、昔お姉さんやおじさんが自殺したり、恋人のキズキが自殺したりかなり辛い過去を持ちます。
高校時代、キズキ、ワタナベ、直子、の3人でよく遊んでいました。
ワタナベとは寝ることができたのにキズキとはうまくできなかった。
けれどワタナベのことを愛することはできず、そのことで心の中で矛盾が起きてしまった。
心はまだキズキを愛しているのに体だけはワタナベを許してしまった。
キズキと一緒になることはもう叶わないけれど心からワタナベを愛することもできない。
ワタナベに緑の存在ができたことを悟ると本来の居場所であると考えてキズキの元へと向かったのか。
直子の死後、レイコさんやワタナベからは「え?なんで死んだの?」のような雰囲気は出ていなかったです。
それは皆直子の死をある程度は理解していたのかもしれません。
さいごに
読了後に初めてビートルズのノルウェイの森を聞いたのですがすごく悲しい気持ちになりました。
どうやら歌詞の意味は行きずりの女の子と寝れなかったみたいな意味らしいですけど。
それはそれで歌詞と曲調は合っていますね。
僕は2回目に読んだ時に緑のことが好きになりました。
しんどいことが多い世の中でも正直に明るく生きていこうとする強さのようなものを感じることができたからです。
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