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55歳からどう生きる?

〈往生際が悪い〉という言葉がある。
”窮地に追いやられた際に負けを認めず悪あがきをするなど、潔くないさま”を表す意味だが、この、”往生際”を自分ごととして改めて考えさせられたのが、この本だ。

往生際=死にぎわ、と考えると、いざその時、その良し悪しを自分で選択できるかどうかは、わからない。

となると、本当に自分の意志で〈往生際〉を決められるのは、ライフスタイルが大きく変わる、50~60代なのかもしれない、と思う。
そう、まさしく自分の世代だ。

この本を構成する5つの中篇小説は、どれも人生の折り返し地点に立った50代、定年を迎える60代の男女5人が主人公の物語。

自分なりのキーワードは、〈たそがれどき〉と〈戸惑い〉だ。

この世代は、人生の言わば〈たそがれどき〉にいるわけで、日没=終焉、を意識し始める。
とは言うものの、現代は人生100年時代とも言われ、平均寿命はどんどん上がっていき、まだまだ生きていかなければならない。
つまり、”第二の人生”の始まりを迎えるわけだ。

それをどう設計するかを考える時に、”第一の人生”で培ってきたキャリアや信条・信念を捨てるのか、活かすのか・・・?

いずれにしても、”戸惑い”が生じ、”潔さ”=〈往生際の良さ〉が必要になってくる。

それぞれの主人公が、もがき苦しみながらも、そのヒントを掴み取っていく様子が、自分ごとのように実に生々しく感じられた。

55歳を目前に、読んでおいてよかった一冊だ。



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