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【日記】8月某日

知人に誘われ世界的に有名なアーティストの美術展に行く。狭い路地を入ったところにあるイベントスペースで、意識高い系の人たちが集いそうな場所。チケットはQRコードをスマホでかざすタイプ。意識が低い画面が割れたスマホを係員さんに見せつけ入場。ああ、サングラスを取るタイミングを逃した。照明の光に弱いという設定にして、かけたまま突き進む。

薄暗い部屋に「っぽい」作品が小綺麗に並んでいる。カメラを持参していたが、すでに飽き始めている子供のおもちゃ代わりに持たせていた。そのため私はスマホで「ガシャガシャ」言わせながら撮影する。恥ずかしい。静かな空間にガシャガシャとシャッター音が響き渡る。

以前、「13歳からのアート入門」という本を読んだ時のことを必死で思い出す。作品の何を見ればいいんだったっけ。書かれた時の情報じゃなくて「自分はどう思うか」だよな……。だめだ。情報が多すぎる。作品と同じくらい説明文が多い上に、所々映像が流れているため耳に入ってくる。作品だけを観るのはこんなに至難の技なのか?それだけではない。心の中も大忙しだ。
作品はおそらく素晴らしいのだが、「この人の絵を見にくる私、ハイソでしょ?」と思っていると周りから見られていないか心配で、非常に居心地が悪い。作者はこの展示を見にくる客を含めて皮肉なアート作品だと思っているのかもしれない。ここまでくると完全な被害妄想である。ブロックごとに係員さんが巡回しており、それもまた気まずい。「へえ、あなたその作品を撮るんですか」なんて思われてるんじゃないだろうか。なんてことを考えていたら話しかけられた。ジロジロ見すぎたのか。「この作品は座っても良いですよ。」とりあえず子供を座らせてみるが、よくわかっていない様子。私も知人もよくわかっていないが、「へえ」「すごいね」と適当に相槌を打つ。

終始肩身の狭い、借りてきた猫状態であった。お土産コーナーで適当にポストカードを購入し、そそくさと退散。カンカン照りの太陽は、「柄にもないことをするんじゃないよ」と嘲笑っているようだった。

帰り道、せっかく遠出したんだからとポケモンセンターに行く。いちばん楽しかった。

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