キューバ流、攻めるファッションの極意
キューバに旅することになった友人が、日本に住むキューバ人女性から、こう言われたそうです。
「私は隣のパン屋に行くにも、最高の自分を表現する。だからキューバにはおしゃれをしていってね」
たしかに、キューバに行くと、つい道行く人のファッションに目を奪われます。
年齢、男女に関係なく、「私(僕)を見て」という自信が歩き方に、ファッションに漂っているのです。
服やヘアスタイルにひと工夫
全身ピンクや黄色の人をよく見かけましたが、悪目立ちするどころか、明るい太陽に映え、街になじんでいます。胸をはって歩くので、服に負けていない。
女性は肩や背中、足を見せるために、スカート丈やトップスの形を調整し、ワンピースは体にぴったり合わせ、曲線美を強調したセクシーなスタイル。
男性はシャツの袖を短く切って、鍛え上げた腕の筋肉を見せるなど、アレンジをきかせています。
ヘアスタイルも、女性は髪をアップにしてバンダナやリボンを巻いたり、花を挿したり、創意にあふれています。
男性は整髪料がなかなか手に入らない分、ウェーブをつけるために寝押し、母親のヘアアイロン、石鹸でアレンジなど工夫もいろいろ、だそうです。
ファッションで自分の魅力をさらに引き立たせようという、「攻め」の姿勢が感じられます。
服は独自のネットワークで
ところが、キューバには洋服を売っているショップは見かけることがほとんどなく、あっても、大きいサイズのシャツが並んでいるなど、お世辞にもおしゃれな感じではありません。
ではキューバの人たちは、どうやってカジュアルかつスタイリッシュな服を手に入れているのか。これがしばらくナゾだったのですが、現地の人に聞いてみると、近隣諸国で安く、買い付けてくる人がいるようです。店だけはない独自のネットワークがあるのでしょう。
ネット環境が整ってきた最近は、あらかじめネットでリサーチした服や靴などを、海外へ行く人に頼むこともあるようです。
社会主義の国なので、ファッション広告はなく、「流行はこれだ」と人から押し付けられることもない。そういうなかで、自分を主体にしたファッションセンスを養う目が育つのかもしれません。
守りに入らないようにするには
私はキューバに行くと、「もっとおしゃれをしてくればよかった」と思うことがよくあります。旅の服といえば、ラクで合わせやすい、機能がまず優先だし、そもそもふだんの服装からして「守り」に入ってしまっています。
体形の「欠点」をカバーしたいとか。季節感や流行りとズレすぎていないかなとか。そんなことを気にしつつ、自分の感覚に自信がないから、ショップの店員さんや周囲の人に服を選んでもらうと安心します。
「最高の自分を表現するファッション」ってどんなものか、試しに想像してみたら、恥ずかしくなってしまいました。
まずはファッション以前に、自分を好きになるところから、「マインド」を育てたいと思います。
(写真はキューバのトリニダーにある、国営のアイスクリーム店、2016年)
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