報復の連鎖(テロリズム)を止める方法とは?

戦争の主軸が「国vs国」から「国vsテロ組織」に移行して、もう20年ほど経つ。世間を騒がせた「イスラム国(IS)」の脅威は縮減しつつあるが、いまだ「中東vs西欧諸国+イスラエル」の火種は消えていないように見える。

報復の連鎖は、どのようにして止められるのか。見田宗介によると、その答えは、「正しく戦争に勝つ」ということらしい。

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冷戦にアメリカは完全勝利したが、あれほど巨大な、イスラム原理主義者の幾千倍の軍事力を有していたソビエト連邦に勝利しながら、ソビエトの敗残者による復讐テロなどにアメリカは悩みはしなかった。それはアメリカが前の戦争には、正しい勝ち方をしたからだと思う。

(中略)それはアメリカが冷戦を軍事力で勝ったのではないからです。

アメリカと西ヨーロッパは、その情報と消費の水準と、なによりもその「自由な社会」であることの魅力性において、冷戦の対手を圧倒したのです。p134-135

『社会学入門ー人間と社会の未来』見田宗介著

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軍事力や兵力でねじ伏せて戦争に勝ったとしても、報復の連鎖は終わらない。ルサンチマンが地下に溜まり続け、噴火を待つばかりである。『情報と消費の水準と、なによりもその「自由な社会」であることの魅力性』とは、端的にいえば、「こっちの社会のほうが楽しいよー」と自信を持って伝えられることだと思う。その点で圧倒することで、ルサンチマンを溜めることなく、戦争に「正しく」勝つことができる。

そういう意味でいえば、アメリカやフランスよりも、日本のほうが「正しく勝つ」ことができているのではないか。独自のコンテンツ文化と、それを享受できるインフラや社会秩序が整っている。アメリカやフランスで、一般市民として暮らすよりも日本のほうが楽しく安全だと思う。

もしかしたら敗戦国日本は、実は正しく戦争に勝っていた、のかもしれない。



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