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誰でもプロの作詞家・作曲家になれる本【3】
第3章 【作詞家 実践編】グッと良くなる、作詞の方法
・詞先か、曲先か。
前章では作詞家として、聴く人の心を動かすための心がまえをお伝えしてきました。ここからはいよいよ、作詞の実践です。
この章を読んでいただいたら、手順は理解していただけると思いますが、頭で理解するのと出来るようになるのとは違います。ぜひ、白い紙を用意して、この章を読みながら詞を書いてみてください。
そして、作詞の大前提として、大事なことがあります。
当然ながら作詞とは、「曲に詞をつける」ということです。
詞を先に書いて、あとからそれに曲をつけることを「詞先(しせん)」と言います。逆に、先に曲ができていて、それに詞を当てはめることを「曲先(きょくせん)」と呼びます。
アーティストは人によって、詞先と曲先のどちらかやりやすいほうがあります。ちなみに私は、JポップやCMの時は曲が先に決まっていることが多いので曲先、ミュージカルは物語の中で歌が展開していくので詞先と、どちらにも対応します。どちらがやりやすいというのは特にありません。
いま、あなたの手元に「この曲に詞をつけたい」という曲がないのであれば(ほとんどの方はないと思いますが)、自動的に「詞先」を選択することになります。
しかし、ここで注意することがあります。
Aメロ、’A(Aダッシュ)メロ、Bメロ、サビ、などという言葉を聞いたことがあるでしょうか。歌モノの曲にはいくつかの型があり、その型によって
「同じようなメロディーをくりかえす」
場所があります。
試しに、身近な曲を聴いて、確認してみてください。
・サビが2〜3回くり返されている
・1番と2番で、メロディーがくり返される
・冒頭のメロディが、2回くり返される
などの特徴に気づけると思います。
つまり、詞先の場合であっても、このあと曲が付けられることを考えて
『メロディーの繰り返しを想定して、文字の数をそろえておく』
必要があるのです。
でないと、思うままに言葉を連ねていって、あとで曲をつける時に、文字数がぜんぜん合わなくなり
「歌にならない!」
という事態を引き起こしてしまいかねません。
いきなり難しいことになってしまいました。
でも、安心してください。詞先であっても、曲先であっても、カンタンにバッチリはまる、秘伝の技をご紹介しましょう。
・秘伝⁈『作詞シート』
「文字の数を合わせなくてはならない」
というのは、一体どういうことでしょうか。
日本語の歌は、メロディーの音ひとつに、言葉の音ひとつが対応しています。たとえば、尾崎豊さんの名曲「I LOVE YOU」をご存知でしょうか。
♪I LOVE YOU〜
この時のメロディーは「ソレミ」3つの音がなっていますね。
次は「I LOVE YOU」を日本語に、「あいしてる」としてみます。先ほどのメロディー「ソレミ」に当てはめてみると
♪あいし〜
までしか歌えませんね。あと2つ音が必要です。「ソレミレミ」とでもしてみましょうか。ようやく
♪あいしてる〜
と歌えます。
英語の場合だと「I」「LOVE」「YOU」の3つにぴったりハマりますし、色々なパターンでメロディに乗せていくことが出来るのですが、日本語にはなんと
「一音に、一文字(ひらがな・カタカナ)」
という大ルールがあるのです。
例外ももちろん様々ありますが、まずはこれを基本にしなければなりません。
なんときゅうくつな事でしょう。しかし、これは朗報なのです。なにしろ言葉の文字の数さえあっていれば、あとから曲にピッタリあうのですから。
そこで、何も考えず、ひらがなとカタカナだけでこのマス目を埋めていくことによって作詞が完成する、秘伝?の作詞シートを作ってみました。
画像挿入 sakusi.jpg (ここでは割愛します)
これは、エクセルで作成しました。市販の原稿用紙を使ってもいいと思います。要するに、このマスに、ひらがなかカタカナをひとつずつ書いていけば、曲にぴったり合う詞が完成するというわけです!
なんでもないようでいて、ものすごく使い勝手が良いので、ぜひ活用してみてください。
曲先の場合は、メロディーの音の数をかぞえて、その数だけマス目を作ります。
手元に曲がない詞先の場合は、これは超・裏ワザですが、既存の好きな曲の音数をかぞえて、このシートを先に作ってしまいます。作りたい世界観に似た曲をチョイスしてもいいでしょう。
音数だけが同じでも、ぜんぜん違うメロディーが当てはめられたら、それとはわかりません。
なんなら好きな曲の「替え歌」を作るつもりで、文字数をあわせて新たな詞をつくってみても良いでしょう。どうぞチャレンジしてみてください。
・詞を書く
いよいよ詞を書いていきます。先ほどの「作詞シート」は、あとで音と文字の数を合わせる時に使えばいいので、まずは白い紙を用意してくださいね。
1) 聴く人を「どんな世界に連れて行きたいか?」をまず決める
情景と設定です。誰が、どういう思いを歌う歌なのか、考えます。思いつくまま、書いてみましょう。
この時、聴く人を「連れて行きたい世界」について、できるだけビジュアルを思い描きます。
映画やドラマのシーンを見ているように、頭の中に情景を思い浮かべます。時には自分がその撮影カメラマンになったつもりで、近くに寄ってみたり、離れて全体を眺めてみたりするのがオススメです。
そして、目に映る情景や感情を、単語でいいので、書き連ねていきます。これらの言葉は、あとから文字数を計算しながら推敲していくヒントになるので、出来るだけたくさん書いておきます。
ここでは文章より、短めの言葉のほうが、あとからパッチワークのように組み合わせられるので便利です。
2) いちばん伝えたいことは何か、を決める
大事なのは情景描写ではありません。登場人物が何を思うか、それによって聴く人が共感することです。つまり、
「この歌を通じて、いちばん伝えたいことが何なのか」
を作者がはっきりわかっていないと、あとで推敲しているうちに混乱したり、ぼやけてきたりしてしまいます。
この歌の「テーマ」とも言えるものを、決めておきましょう。テーマとなる言葉は詞の中にハッキリ書かれなくてもいいので、書き留めておきます。
3) 最初のひとことを決める。
出だし、歌い出しのひとことは、とても大事です。(1)で書き留めた言葉の中から選んだり、そこから発想して、まずは最初のひとことを書きます。そこから物語が始まっていきます。
4) 限られた文字数を最大限使って言葉を吟味する
このあたりで「作詞シート」の出番です。一音に一文字しか使えないというのは、いかに制限が多いか実感すると思います。
限られた文字数の中でどんな言葉をチョイスして、何をいうか、腕の見せ所です。思うままに楽しんで、自分の心の底からの言葉を吟味してみてください。
5) 歌いながら書く!
忘れてはならないのは、最終的に歌になるということです。
ですから、必ず声に出してみること。言いにくくないかを確認します。よくあるミスとして
「音で聴くと意味がわからない単語」
が日本語には多くあります。「橋」と「箸」のように、会話ならアクセントで判断できるけれど、メロディがついてしまうとわからなくなることも多いのです。
曲先であれば自分で歌いながら書くのは必須です。詞先であっても、適当な節をつけてでも歌いながら書くことで、よりメロディに乗りやすい詞を書くことができます。
・渾身の1曲より「数稽古」
どうでしょう。自分で納得のいくものが書けたでしょうか。
私の作詞家講座で実際にお話ししている内容なので、かなり実践性があると思います。そして、講座ではマンツーマン授業の時間もあり、これに基づいてアドバイスをしながら、詞を完成させていっています。
実際に取り組んでみていただいたら、まず「文字数の制限」というのが、果てしなく奥の深い世界だということを、感じていただけたのではないかと思います。
ここからは「数稽古」です。どんどん書いてみましょう。
この本を読んでくださっているあなたが目指すのは「プロ」です。プロの歌手に継続的に楽曲提供できるのが理想です。そのためには、人生にひとつの渾身の1曲よりも、コンスタントに「いい歌」を産めるようになることです。
どんどん書いていくことで、文字数制限の世界にも慣れてきます。自分には曲先が向いている、いや、詞先の方がやりやすい、ということも感じとれるようになってくると思います。
色々なシチュエーションを設定することも楽しみましょう。男性ならば、女性目線の歌など、自分と離れた設定をすることもおすすめです。その中でも大事なのは、何度も触れたように「感情」です。その登場人物が発する言葉に嘘がなければ、必ず誰かの心を動かすことができます。
また、手元に曲がない「詞先」の場合は、既存曲の文字数を流用して作詞シートを作る裏ワザをご紹介しましたが、やはり不便ですよね。いちばん良いのは作曲できる人と組むことだと思います。
あるいは、自分で曲も作ってしまうことです(笑)。
そんなことできない!と思いますか? 実はできるんです。
次の第4章では、いよいよ、誰でも作曲ができる方法について、ご紹介しましょう。
<お知らせ>
現在、「まきりかの『おとだま塾』」として作詞講座・作曲講座を実施しています。
2024年は6月15日開講です。
月1回、全5回、10月5日までに自分だけの「歌」を作って修了します。
2024年は、すべての塾生さんの詞に、まきりかが曲を書きます。
プロを目指すまでではなくても、世界にひとつの自分の歌を作ってみたい。
何かを表現してみたい。あるいは、完成曲の商用利用も可能です。
あなたの想いを形にしてみませんか? お待ちしています!
『おとだま塾』のページ
https://j2p23.hp.peraichi.com/
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