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ミュージックビデオの作り方 演奏シーンのかっこいいMVってどうやって作るの?

2021年3月追記

最近YouTubeを初めまして、そちらでMVの撮影編集方法についての基本的な内容について解説いたしました。


こちらのnoteの方が詳しく書いておりますが、簡単に内容知りたいという方はこちらの動画もぜひご参照ください!

ご挨拶

こんにちは。
僕は普段、バンド活動をしながら、映像制作の仕事も行っております。
元々音楽畑ということで、依頼される仕事は音楽関連のものが多いです。
音楽関連の映像といえば、そう、ミュージックビデオ(MV)ですね。

↓私が作成したMVの作品集

ミュージックビデオの制作はとても楽しいです。
曲がかっこよければ尚更。
ノリノリでクリエイティブなことをして、それが仕事になったら最高ですよね!

僕は先日、”輪廻”というロックバンドの『君の記録』という楽曲のミュージックビデオの制作を担当いたしました。
(何と現役女子高生バンドです。ただ、若いだけじゃ無い、美しさとかっこよさを兼ね揃えた抜群のロックバンドです)

この記事では、このビデオの製作過程を説明しながら、ミュージックビデオをどのように作っていくのかを説明したいと思います。

ちなみにですが、この記事で使用している写真は、映像制作仲間のアライシンジくんによるものです。
アライ君撮影協力ありがとう!
彼は素晴らしい映像クリエイターなので、是非チェックしてみてくださいね。

追記

Googleの検索上位にこの記事が表示されているようで、多くの方にこの記事をご覧いただいております。ありがとうございます。

私の制作実績一覧はこちら↓

また、自己紹介はこちら↓

ご興味あればこれらもぜひご覧ください。

今回のMV制作の前提

今回は輪廻『君の記録』のミュージックビデオの制作過程を説明しながら、ミュージックビデオをどんな風に作っていくのかを説明していきます。
このMVの撮影にあたっての前提条件をまず説明します。

①場所はライブハウスでの撮影である
今回は新宿SAMURAIというライブハウスでの撮影ということが予め決まっていました。
決められた場所でいかにクオリティを上げて撮影するのかも、今回の一つのテーマです。

②演奏シーンのミュージックビデオである
ドラマ仕立てのMVも多くありますが、今回はシンプルな演奏シーンのMVを作る前提で話を進めていきます。
スタンダードなMVってどうやって作るのかがわかるので、むしろ理解していただきやすいと思います。

③低コストでの撮影である
メジャーレーベルで予算が沢山つけられますっていう場合だと多くの人が関わると思いますが、今回の説明は”全て一人で”企画から撮影、編集まで行うという前提で進めていきます。
場所、機材、時間、コスト、限られた条件の中でクオリティの高いものを作る方法について説明していきます。

0,使用機材

機材の記事では無いのでさらっと触れるだけにしておきます。
これから映像制作を始める方の参考になればと思います。
既にお詳しい方はスキップしていただいて大丈夫です。

【使用機材①:カメラ】
SONY α6600

SONYのミラーレス一眼の中でもミドルクラスのAPS-Cセンサ搭載機種です。
カメラを構えっぱなしで何分間も維持しなければいけない動画撮影の状況を考えると、フルサイズではなくコンパクトなAPS-Cセンサーのモデルを選ぶメリットは十分あると思います。

α6600と同じセンサーを搭載し、手ぶれ補正と長時間バッテリーを省いたα6400も動画制作で人気がありますね。


【使用機材②:レンズ】
○メイン:sigma 56mm f1.4 単焦点レンズ
レンズはほとんどこの1本で撮影しています。
フルサイズ換算で85mm。
f1.4という非常に明るいレンズでこのコンパクトさ、更に価格は4万円以下で画質も最高と、言うことなしの大好きなレンズです。

↓α6600とsigmaのレンズの組み合わせ。
この画角にf1.4の明るさで、このサイズで収まってしまうのは非常に扱いやすいです。


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○サブ:SONY SEL24F18Z
先ほどのsigmaより広角で、フルサイズ換算36mmと、標準的な画角。iPhoneのカメラの画角より少し狭いくらいです。
こちらもf1.8と明るい単焦点レンズ。
今回は全体が写るようなカットで使用しています。


この2つのレンズを使い分けています。
勿論ズームレンズでもいいと思うんですが、単焦点レンズの綺麗な絵が大好きなので、僕は基本この2本を持ち歩いています。

※どんな画角で撮影するかは、映像のクオリティを決める大事なポイントです。
この後の2,撮影当日の章にて説明します。

【使用機材①:■ジンバル】
DJI RONIN SC

コンパクトなジンバル。
今回は手持ちとジンバル使用両方で撮影しています。

今だとRONIN RSCが後継機種として発売されていますね。

1,撮影準備ーいかに映像をイメージできるかー

準備段階ですることは
①,曲を聴きまくる
②,映像をイメージする
③,撮影するテイクを考える

の3つ。

撮影場所の確保も撮影準備に含まれますが、長くなるので次の章に独立させました。

【撮影準備:①曲を聴きまくる】
自分のバンドのMVを撮影する場合であれば散々聴いていると思いますが、撮影の依頼を受けてMVを制作する場合は、事前に曲を聴きまくりましょう。
自分の曲だって思えるくらい聴き込むのがポイント。
そうすれば次の"②映像をイメージする"に繋がるような、曲の美味しいポイントが浮かんでくると思います。

【撮影準備:②映像をイメージする】
曲を覚えるくらい聴きまくったら、どんな映像がいいかイメージしましょう。
広くバンド全体が映る映像なのか、アップの映像なのか、カメラは激しく動いているのか、大人しく動きが少ないのか。
バンドからイメージに近い既存のMVを聞くのも有効です。

全力で、インスピレーションの翼を広げましょう

今回の”輪廻”のMVの場合、
曲がアップテンポで疾走感があるので躍動感を出すため、

・カメラは固定ではなくて動いている
・メンバー間を素早く映像が動いている
・メンバーは向き合って演奏している
・アップの映像が多め

・カット数多め
・どこで演奏しているのかわからないような暗めな場所

といったイメージを持って準備を進めました。

【撮影準備:③撮影するテイクを考える】
ミュージックビデオは一曲の演奏を様々な角度から何度も撮影し、編集時につなぎ合わせて一本の動画にすると言う、動画編集の中ではちょっと特殊な撮影編集が必要になります。
例えば。。。
・ドラムのみを撮影したテイク
・ボーカルのみを撮影したテイク
・ベースのみを撮影したテイク
・楽器のみを映したテイク
etc...
と様々なテイクを撮影し、
・Aメロの歌い出しはボーカルが写っているテイクを使用
・次はドラムが写っているテイクを使用
と継ぎ接ぎしていく形になります。

なので、
”どんな角度からどんなテイクを何回撮影するか?”
を、予めイメージしておくことはとても大事です。

<今回のMVの場合>
躍動感のある激しめのMVをイメージしていたので、
①私がカメラを手持ちで持って、自由に動き回って撮影するテイク
 →バリエーションを持たせるため3~5回撮影
②広角気味で全体を写したテイクを1回
③各メンバーのソロのテイクを2回ずつ×3人分

と、十数回テイクを撮影する想定をしていました。
私の中では
・①のバリエーションを作品のメインで使用
・各メンバーのおいしい演奏シーンを逃さないために②を撮影しておく
・映像に幅を持たせるため③の絵も念のため撮影しておく
といった想定を持って、構想を練っていました。

ちなみに、実際に編集で使用したテイクは14本でした。

②で広げたインスピレーションの翼を、実現するためのテイクに収束させていくイメージです。

2,撮影場所の確認

「前提」に書いたとおり今回はライブハウスでの撮影というのが予め決まっていました。
なのでここでは一般的に撮影場所を探さなければいけない場合どうすればいいかを説明していきます。

撮影場所を押さえるまでの工程は大きく

①予算に応じた場所探し
②ロケハン
③使用許可を取る

に分かれます。

【場所の確保:①予算に応じた場所探し】
予算がいくらでもあればいいのですが、個人でMV撮影を行うような場合、依頼者側もそこまで予算が取れない場合が多いです。

特にミュージックビデオの撮影の場合どうしても”音”の問題がついてきます。
どれだけ消音したとしても、日常生活で見ると「騒音」と呼べるレベルの音が発生してしまうので、如何にそこをクリアできるのかが大きな課題となります。

低予算で場所を確保できるいくつかの手段をご紹介します。

<ライブハウスを使用する>
一番簡単なのがライブハウスでの撮影です。今回のパターンもこれですね。
元々ライブをするための場所なので、音の問題はクリアできます。
また、ライブイベントは大体夜に行われるので、昼過ぎまでは空いている場合が多いです。
その時間に使用すれば、格安で貸し出してくれるライブハウスも多くあります。

ただしライブハウスでの撮影はデメリットはあります。それは、
「場所としての特別感を出しにくい」
そのまま撮影しちゃうと、普段のライブを撮影しているのと変わらなくなっちゃいます。

しかしそこは工夫次第でクリアできます。

「如何にライブハウスで撮影した感を出さないか」
に徹底してこだわったので、この”輪廻”のビデオはライブハウスで撮影した感は皆無だと思います。

その部分については次章「2,撮影当日」にて説明します。


<スタジオ紹介サイトで検索する>
撮影スタジオを紹介するサイトはいくつかありますので、そういったサイトで屋内の撮影スタジオを探すのは一つの手です。

例)instabase

予算のほか、「楽器演奏OK」といった条件をつけて検索できるので便利ですね。

私はこのサイトを使用して、自分のバンド”shannons"のミュージックビデオを撮影するスタジオを見つけました。


<各自治体のフィルムコミッションを利用する>
様々な自治体に、フィルムコミッションという団体があります。
ロケ地の選定や使用許可の代行、場合によってはロケ中の警備などを行ってくれる団体です。

自治体としても、ロケ地として使われることでその場所が観光資源となることを期待しての取り組みだと思います。

様々な都道府県にこのフィルムコミッションはありますが、関東ですと神奈川県がかなり精力的に動いている印象があります。

現在別件で準備中のMVは、三浦市のフィルムコミッションの協力のもと、海でのロケ地選定を進めているところです。

特に屋外の撮影の場合、許可申請などの準備ってめちゃくちゃややこしいです。
どこまで許可がいるのか、何がNGなのか。
許可申請はどこに行えばいいのか。。。

屋外の撮影を希望する場合まずは、相談だけでもこのフィルムコミッションに連絡してみるのはありだと思います。

【場所の確保:②ロケハン】
ロケハン=ロケーションハンティング。
撮影前に撮影予定地の確認に行くことです。

場所の候補が決まれば、可能であればロケハンにいきましょう。
実際に使用するカメラ機材も持っていき、
自分のカメラであればどれくらいの画角で、どんな感じで撮影できるのかも試し撮りをしておくことをお勧めします。

また、撮影の邪魔になりそうなものや写り込んだら良くないものがないかも確認しておくとなお良しです。

【場所の確保:③使用許可を取る】
②ロケハンの段階ですでに連絡をとっている場合も多いとは思いますが、ロケハンしてみてその場所で行くことが決まれば管轄の団体に連絡をして使用許可を取りましょう。

直接やり取りの場合もあれば、先ほどご紹介したinstabaseはサイトから予約が可能ですし、フィルムコミッションも使用許可を代行してくれることも可能です。

3,撮影当日のセッティングー配置と照明がクオリティを決めるー

さぁ、いよいよ撮影当日です。
今回のMVの場合は、前述の通り”ライブハウス”での撮影です。

会場のセッティングで、映像のクオリティの大部分が決まると思っても過言ではないので、ここはじっくりと時間をかけてください。
特に照明のセッティングが、映像の質の80%を決めると言っても過言ではないです!
実際、このビデオの撮影はトータル5時間ほどで行いましたが、うち2時間半は楽器の配置と照明の調整に使用しました。

ライブハウスに到着後、行った準備は以下の流れです

①楽器のセッティング
②照明のセッティング
③試し撮りをして撮れる映像を確認


【撮影当日のセッティング:①楽器のセッティング】
今回はライブハウスでの撮影なので、元々ドラムやアンプといった機材は設置されています。

ただし”ライブハウス感をなくす”ために、セッティングの変更には拘りましたしました。

■普段の新宿SAMURAI

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こんな感じの素敵なライブハウスです。

■撮影時のセッティング

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わかりますでしょうか?

余分なものを動かしたのは勿論、他にもいくつか工夫を行いました。


<a,全員が向き合う形で演奏する>
ライブハウスはお客さんに向けて演奏するもの。
つまり全員、客席に向かって演奏します。

それを、全員が向き合う形にセッティングし、3人の中や周囲を回りながら撮影する形にすることで、映像を見る人の視点がライブを見る感覚では全くなくなるので、一気にライブハウス感がなくなります。


<b,ドラムセットを真後ろではなく角に設置し、空間を有効に使う>
ライブハウスのステージは実はそんなに大きくないところも多いです。
なので、ドラムセットを斜めに設置し、3人の三角形を少しずらすことで、空間的なゆとりを作りました。

これで、バンドの3人の中や外、メンバーの間から十分に距離をとって撮影することができます。

※勿論、このセッティングが正しいと言いたいわけではありません。
撮影したいイメージに合わせて、真正面からの撮影も全然アリな場合もあります。


【撮影当日のセッティング:②照明のセッティング】
はいきましたこれ。一番大事です。繰り返します、一番大事です。

チープな映像になっていないかどうかは、光をコントロールできるかどうかで決まると思います。

そういう意味ではライブハウスは照明設備がしっかりしていることが多いので、やり方次第ではとてもかっこいい映像を作ることができます。

今回の撮影で意識したポイントを上げていきます。

<a,逆光を作る>
「①楽器のセッティング」の中でも説明しましたが、今回はメンバーが「向き合って演奏する」形で撮影することになります。

と、いうことは、客席が背景になるんですよね。

今回はボーカルのふたばちゃんが客席に背を向ける形で立っています。

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↑背後が客席で、奥のテーブルにはジュースなんかが置いてあるのが見て取れます。

しかし、ボーカルの背後から強いスポットライトを当てることで

スクリーンショット 2020-03-30 19.39.55

こうなります。
背景が全く消えてなくなり、光に包まれているような絵が撮れます。

一気に非日常感が出ますね。

ただこれだけだと顔がわかりづらく、立体感のない絵になるので、正面からも光を当ててあげます。すると

スクリーンショット 2020-03-30 19.43.21

はい、こんな感じで顔に陰ができてとても立体感のある絵になりました。

この前後の照明のバランス、結構苦労しました。。。

ドラムとベースも同じ考えで照明を設置しています。

スクリーンショット 2020-03-30 19.48.22

スクリーンショット 2020-03-30 19.45.59

3人の背後に1台ずつスポットライトを置き、天井のライトでメンバーの顔を照らす

簡単に言うとそんな感じでセッティングをしました。


<b,暗い部分を作る>
逆に、使用しているスポットライト以外は全て消灯しました。
光の演出を使うには、余計な光がないことが大事です。

客席の電気は勿論、ライブハウスのステージにある様々な照明はカットし、3人の背後と正面を狙ったスポットライトのみを使用しました。

そうすると、明るい部分と暗い部分のコントラストがはっきりするので、ライト自体が演出として生きてきます。

スクリーンショット 2020-03-30 20.00.56

こうやってスクショを撮っていて改めて思いますが、照明が1番の演出効果ですね!

また、今回はクールな印象で撮影したかったので、カラーライトも一切使用していません。

勿論、演出にあわせて色があった方がいい時はどんどん使いましょう!


【撮影当日:③試し撮りをして撮れる映像を確認
①②を行いながら、実際のカメラでどんな風に映っているか確認しましょう。

撮れた絵を確認しながら、①②を行き来して、満足の行く絵が撮れるまで繰り返します。

撮影スケジュールの半分はこの準備に使っていいと思いますよ!

4,撮影開始ーかっこよく撮影するコツー

いよいよ撮影開始です。

「撮影準備:③撮影するテイクを考える」で考えていたテイクをどんどん撮っていきましょう。

当然撮影する中で”こんな絵が欲しい”と感じたら、予定を変更して撮って行って大丈夫です!

さて、ここでは、私なりに考える、演奏シーンを躍動感たっぷりに撮影する秘訣をご紹介したいと思います。


【秘訣①:中望遠の画角を使用する】
機材の説明のところでも触れましたが、今回はほとんど中望遠のレンズを使用しました。
中望遠(比較的寄りの画角 フルサイズ換算で70〜130mmくらい)で撮影するメリットは二つあると思います。

<a,人物の撮影に最適>
ポートレート写真(人物写真)に最適と言われる中望遠の画角は、映像の制作においても人物を印象的に撮るのに最適です。

例えば、標準の画角で撮影した映像はこんな感じ↓

スクリーンショット 2020-03-30 14.31.16

勿論、この絵が悪いわけではないですが、
全体の絵の中で人が写っている部分の割合が少ないので、あまり印象的ではありません。

一方、中望遠の画角で撮影すると↓

スクリーンショット 2020-03-30 14.30.29

画面の中で人物が占めている割合が非常に大きくなり、さらに背景もボケやすいので、とても印象的な映像になります。
(照明のセッティングの項目でも触れた、背景が気にならない、というところにもつながります)

一方、広角〜標準の画角は、景色なんかを撮影するのに最適です。
なので屋外のロケで”撮影している場所がどこなのかしっかり見せたい”と言う時は、広角〜標準のレンズもありですが、
演奏する個人を撮影する時は、積極的に中望遠くらいの画角のレンズを使用したいですね。


<b,動きをたくさんだせる>
今回のように疾走感のあるMVでは、カメラ自体も動かして躍動感のある雰囲気を作りたいです。

”望遠=画角が狭い”と、カメラを動かした時の絵の動きも大きくなります。

(試してみたい方は、目を開けて首を左右に振った時の世界の動きと、手で筒を作って片目で覗きながら首を左右に振った時の世界の動きを比べてみてください。画角の狭い後者の方が圧倒的に動いて見えます)

その分、望遠のレンズは「手振れしやすい」と言うデメリットもあるのですが、
動きのある、躍動感のある絵を取りたい時に、中望遠の画角は役立ちます。


【コラム:チープなMVと広角〜標準の画角】
正直、チープな演奏シーンの映像になってしまっているものって、
広角〜標準の画角でほとんどのシーンを撮影しているからじゃないか説
が、僕の中にあります。
予算の少ない撮影だと、ライブハウスやスタジオで撮影を行うパターンが多くな裏ますが、そんな時に広角〜標準の画角で撮影したらどうなるか。。。
”撮影している場所がどこなのか”が丸わかりになるので
「あ、スタジオで撮影してるな」
とか
「あ、ライブハウスで撮影してるな」
とかってわかっちゃうんですよね。

見せたくない背景まで見えちゃう。

あとはもしかしたら、iPhoneなんかで見慣れた画角なので、「特別感が少ない」と言うのもあるのかもしれないです。

「思い切って寄る!」と言うのは結構いい解決策になると思います。


【秘訣②:メインの被写体の前後に映り込みを作ろう!】
ピントがあった被写体の前や後ろに他の要素が映り込むことで、立体感が生まれます。

スクリーンショット 2020-03-30 20.53.07

↑ドラムのりぃこちゃんをボーカルのふたばちゃん越しに撮影

スクリーンショット 2020-03-30 20.53.45

↑ベースのりのちゃんをドラムのシンバル越しに撮影

こう言ったカットが入ると一気に立体感が増すので、あえて何かの背後に回り込んで撮影してみましょう!


【秘訣③:ローアングルで撮ろう!】
ローアングルの撮影は一気に躍動感が出ます。

スクリーンショット 2020-03-30 21.00.11

スクリーンショット 2020-03-30 20.59.12

撮影時はこんな姿勢になっちゃいますが、恥ずかしがらずにいきましょう!笑

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ちなみに、今回の作品では使用していないですが、上からのアングルも僕は好きです。

スクリーンショット 2020-03-30 21.06.21


【秘訣④:曲に合わせてノリノリで撮ろう!】
カメラマンがノリノリでないと、躍動感のある映像は撮れません。

ミュージックビデオの制作では、沢山のテイクから使うカットを選択できるので、あまりブレやショットミスを恐れず、思いっきりカメラを動かして大丈夫だと思います。

このMVですと、3'23-あたりからのアウトロの部分を見ていただけると、
曲のリズムに合わせて思い切ってカメラを動かしているのがわかると思います。

ただ、「曲のこの部分で使えるテイクが一個もない!」と言った状況を防ぐために、各メンバーを最初から最後まで捉え続けたテイクを最低1本ずつは撮影しておくと安心です。


【コラム:MV撮影って、どうやって曲に合わせて演奏してるの?】
MVを撮影するときに、どうやって曲に合わせて演奏し、撮影しているのか、イメージできない人もいると思います。

MVの撮影は”当て振り”と言って、スピーカーから曲の音源を再生し、メンバーはそれを聴きながら演奏しているフリをします。
実際には音を出して演奏はしていません。
ギターやベースは、アンプや楽器のボリュームを0にしています。
ではドラムは。。。?
ドラムはシンバルの裏にテープを貼りまくったり、スネアのヘッド(叩く皮の部分)をギリギリまで緩めて、なるべく音が出ないよにしています。
(屋外での撮影だと、さらに消音するためにドラムの中にタオルを詰め込んだりもします)

なので、MVの撮影中はメンバーは演奏している風でもシャカシャカポカポカと、シュールな音が鳴り響いています。

5,編集の方法

撮影が終われば、当然編集に入ります。

編集の方法について細かく解説し出すと、それだけで記事何本も書けちゃうので、
大きくこんな作業を行うんですよ、って言うイメージと、それぞれの作業におけるポイントを解説していきたいと思います。

編集時のポイントは以下。

①使用するカットを選ぶ
②色を調整する
③歌詞やロゴを入れる

【編集の方法:①使用するカットを選ぶ】
MVの編集が他の映像編集と比較して特殊なのはこの部分です。
普通の映像編集は、時間軸に合わせて横に横につなげていきます。

MVはたくさんのテイクを撮影しているので、
どちらかと言うと、縦に縦に重ねていきます。

↓動画編集ソフトの画面を見てください

スクリーンショット 2020-03-30 21.56.50

タイムラインの一番したに曲の音源があり、その上に撮影したテイクを沢山重ねています。

曲のタイミングと、全て映像のタイミングをジャストに揃えています。
そして、この縦に重ねた映像の中から、どのテイクを使用するかを選択していきます。

選択する方法はソフトによって異なりますが、私は今回、AppleのFinal Cut Pro Xと言うソフトを使用しています。
Final Cut Pro Xには”マルチカムクリップ”という機能があって、同時に複数のクリップからカットを選択できる便利機能がございます。

スクリーンショット 2020-03-30 22.28.53

他にもAdobeのPremier ProやDaVinci Resolveなど様々な編集ソフトにも、同様の機能がございます。
個人で制作する分には好みによるところも非常に大きいので、
ここではソフトの比較にはあまり触れないようにします。

今回のミュージックビデオは、躍動感を出すためにかなり細かくカットを切り替えています。
多分、一般的なミュージックビデオよりだいぶ細かいと思います。
逆に、バラードだと、一つのカットを長めにすると落ち着いて見やすくなるので、その辺はいろいろ試して見てください。

【編集の方法:②色を調整する】
俗に言う”カラーグレーディング”と呼ばれる作業。
この作業に関する内容だけで8000円もする分厚い本があるくらい、奥が深い世界です。
僕もまだまだ見習い。

ただ、Instagramのフィルター機能などで、色味を調整することがいかに印象に影響を及ぼすかは、現代人の多くが同意するところだと思います。

色にこだわれるかどうかは映像のクオリティを上げられるかの大事なポイントです。
あんまりかっこよくないMVは、色に拘れていなかったり、見たまんまの色だったりすることが多いなと感じます。

映像を見る人は、元の素材と比較することはないので、ちょっとやりすぎかなって思うくらいがちょうどいいと思います。

今回のミュージックビデオ、色を編集する前はこの状態です。↓

スクリーンショット 2020-03-30 22.37.04

(撮影はLog撮影で行なっています。S-Log2のLutを当てただけがこの状態です。専門用語でごめんなさい。機会があれば解説します。)

色を調整したあとは↓

スクリーンショット 2020-03-30 22.36.51

全然印象が変わりますよね。
ぐっと引き締まって、躍動感のある映像に拍車をかけることができました。

今回は、暖かい印象と言うよりも、クールでかっこいい印象にしたかったので、
寒色系の色温度に設定し、全体的に青を持ち上げて赤を下げました。

細かい説明は長くなるので避けますが、
・オレンジ系のあったかい映像
・青っぽいクールな印象の映像
・紫がかったクリエイティブな印象
など、目指す方向をイメージして調整を行うことをお勧めします。


【編集の方法:③歌詞やテロップを入れる】
さぁ、編集も最終段階です。

しかし、この歌詞入れやテロップは必須ではありません。
演出上必要だと思えば、行いましょう。

今回のミュージックビデオの曲「君の記憶」は、
歌詞にインパクトのあるワードが沢山ありました。
”少年少女の初期衝動”
”君が選んだ爆音を”
などなど。。。

なので、曲を聞いた時から、歌詞は表示したいなと思っていました。

正直テロップ入れるのって苦手なんですよね。。。かっこよく歌詞を表示するのは難しい。

いろいろ試してみて、はまるものを探すしかないです。

あえてコツをあげるとすると

文字間隔を大きくする
→標準設定だと、文章としては読みやすい幅なんですが、歌詞のテロップとしてはインパクトが弱いので、あえて幅を広くとると印象的になりやすい

・文字を若干半透明にする
→文字は映像に対して若干浮いてしまうので、少しだけ半透明にすると馴染みが良くなります。

今回のミュージックビデオ、最初はこんな感じで右詰の高さは真ん中に揃えて歌詞を入れていました。

スクリーンショット 2020-03-30 23.01.28

うーーん、悪くないんですけど、インパクトにかけますよね。

そこで、冒頭でもご紹介しました映像制作仲間のアライシンジ君に相談したところ
「言葉ごとでサイズを変えるとか?」
ってアドバイスをもらいました。
それを受けてどうなったかと言うと

スクリーンショット 2020-03-30 23.01.44

うん!だいぶインパクトが出ましたね!

とにかく歌詞の入れ方に正解はないので、
様々試してみるのがいいと思います。


さぁ、これでついにミュージックビデオが完成しました!
あとは、バンドメンバーに要望をもらいながら微修正を繰り返して、修正点がなくなったら納品ですね!お疲れ様でした!

最後に

長々とミュージックビデオの制作方法について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

最後に一つ、言えることは

「とにかく作ってみる!」

と言うことです。
手を動かさないと実際の課題は見つかりません。

やりながら、作りながら、
「こう言うときはどうしたらいいんだ?」
と言う課題を潰して、一つずつ技術を身につけていくのだと思います。

とはいえ、
「いきなり自分でミュージックビデオを制作なんてできないよ!」
という方や、
「自分のバンドでミュージックビデオ作りたいけど、作ってくれる人がいない!」
と言うバンドマンやミュージシャンの方、

是非ご相談ください。
素晴らしいミュージックビデオを一緒に制作しましょう。
制作実績はこちら↓


制作のご相談は鳥越までメールか、もしくはツイッターでDMください!
メール:makio.drums@gmail.com
Twitter:https://twitter.com/makio_drums

今回はざっくりとした流れの解説でした。
参考になればぜひいいねとフォロー、よろしくお願いします!

お付き合いいただきありがとうございました!


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