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アイスコーヒーと一緒に遅刻する男【ユタカジン】

午前9時の授業開始に、毎回遅刻してくる台湾人の男性がいました。

昨年の11月から12月にかけて、フィリピンのセブ島に親子で語学留学に行った時のことです。

彼はいつも片手にアイスコーヒーを持って"Good morning~♪"と涼しい顔をして教室に入ってきました。

彼と一緒に受けた授業は1ヶ月。その間、彼が定時に出席したことは一度たりともありませんでした。

初日から最終日までです。


この、『片手にアイスコーヒーの遅刻男』が、今回のお話しの主人公。

私は彼を通して、思ってもみなかった「時間的豊かさ」の気づきを得ることになったのです。

今回は、タスクシュート協会の理念「自分らしい時間的豊かさを追求する」に沿いながら、私がこの「遅刻魔の彼」と出会い学んだ、「時間的豊かさ」についてお話したいと思います。※こちらの記事は、タスクシュート協会公式マガジン【ユタカジン】に寄稿しています。


私が受けたグループレッスンでは、台湾人の留学生が2人と、私を含めた日本人が3人いました。

(また遅刻か…)

彼が入室してくるたびに、私は腕時計に目をやり、
(今日は10分も遅刻か)
(遅れてすみませんとかないの?)
と、お節介な苛立ちを感じるようになりました。

一方で、そのたびに湧く、自分へのなんとも言えない感情。
「お節介な苛立ち」と表現したように、彼の遅刻は私には何の関係もないことです。

彼が遅れてきたことで私の身に何か重大な損失があるわけでもなく、なぜこうも、人の遅刻が気になるのか。

彼が謝らないことに対して、私は一体なぜ、気になって仕方ないのか?ということを自分自身に問うようになりました。

ある日、他の日本人の留学生と話してみました。

「彼、なんでいつも遅れてくるのかな?」
「謝りもしないし」
「その割にはいつもアイスコーヒー持ってるよね」
「あのアイスコーヒー、どこで買ってるんだろう?」

ついに私は直接本人に聞いてみることにしました。なぜ遅れるのか、ではなく、まずは気になるアイスコーヒーのことから。

「そのアイスコーヒー、どこで買ってるの?」

「ああ、これはUber EATSで頼んでるんだ。君たちのも一緒に注文してあげようか?」
と笑顔で答えました。

詳しく聞いてみると、Uber EATSは9時に配達に来るので、そりゃー遅れるわけだと。

さらに「コーヒー注文用のLINEグループ」を作り、そのライン上で友達の分まで注文を取ってあげていたのです。マージンももらわずに。

私たち日本人もLINEグループに入れてもらったのですが、結局一度も頼みませんでした。申し訳なさ過ぎて。
(最終日にはなんと20分も遅れてきました。50分の授業なのに!)


彼は遅刻することには無頓着でしたが、そのことと、人格の評価は切り離さなければならない、と彼の行動を見て思ったのです。


私自身は、人との約束の時間に遅れたくない、という気持ちがあります。

それがいつの間にか、いつも遅刻する彼に対して自分の価値観を通し、こうあるべきと押しつけていたのだと思います。

私にとっては大切にしたい価値観ですが、それは他人を軽蔑するに値するものではありません。

こうあらねばならないという執着は、自分にも他人にも厳しくなる原因となることを痛感しました。

彼が入ってくるなり時計をチラッとみるなんて、どこまで「コマケー」のでしょうか。

イライラして過ごすのも同じ時間。
穏やかに過ごすのも同じ時間。

自分自身の大切にしたい価値観は尊重しつつも、柔軟性を持ち、他者の多様性を受け入れ、人との違いを楽しむことで、人に優しくなれます。

そのことに気づくことができれば、自分の生きる時間が穏やかで安らぎを持った、本当の意味での豊かな時間になるのではないでしょうか。



最後までお読みくださりありがとうございました。
タスクシュート協会公式マガジン【ユタカジン】が、あなたの時間的豊かさを追求していく「友」となりますように。

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