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絵画の向こう側

本屋で本を探す。
表紙の質感と、知っている地名と表紙絵に惹かれて手に取った一冊の本。
『ジヴェルニの食卓』

ジヴェルニはパリ郊外、ノルマンディ地方の入口に位置するモネの家がある場所です。

この本は4つの短編小説からなっています。
フランスの有名な画家、アンリ・マティス、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌそしてクロード・モネ。
彼らをとりまく人々が語り手となり繰り広げられる4つのストーリ。

かくして、直感的に選んだ本が当たりか外れか・・・
ページを開き読み始めると、訪れたことがある街の情景が次々と蘇ります。
ニース、パリ、そしてジヴェルニ。

物語はフィクションであり、登場人物のすべてが実在していたのかどうかは分かりませんが、すべての光景がまるで本当に起こっていることのように繰り広げられていきます。

決して絵画や芸術に明るいわけではありませんが、たまに美術館へ足を運べば、その絵画の向こう側にある時代背景や、作者の身の上に思いを寄せたりするものです。

この本を、ニースを訪れる前に読んでいたのならば、ニースの楽しみ方はまた違ったものになっていたでしょう。

そしてモネの家を訪れる前に読んでいたのならば、そこに見える色は一味違ったものだったかもしれません。

芸術家の「人」としての一面や、絵画からでは知り得ることもできないキャラクターが織りなす物語は、ただ一人の人間としての面白さがあります。

また、わたしが興味深かったシーンは、ドガーがアメリカ人画家のメアリー・カサットから、14 歳のバレリーナをヌードモデルとして起用したことを咎められた時に放ったセリフ。

「バレリーナも芸術家もパトロンに気に入られるために日々戦っている。これは戦いなんだよ、わたしと彼女の」

そう、どんな有名絵画もパトロンがいなかったら今この世にはない。
それは紛れも無い現実なのだと。

ひとつの絵画の背景にある多くのことを知ってその絵を見たら、また違ったことが見えてくるように思います。

ちなみに、わたしはこの本を読んでマティスがとても気に入ったので、次回フランスに行く機会があれば、必ずやヴァンスのロザリオ礼拝堂を訪れたいと思っています。

その前に、日本で一番マティスの絵を保有しているブリジストン美術館に行こうと思ったのですが、まさかの改装中でなんと2019年までお休み。

まあなんと残念なことでしょうと本を探していたら、
『ミッフィーとマティスさん』というとても可愛らしい本を見つけました。

ミッフィーと一緒にマティスの切り絵の世界を見ていきます。
幼い子供が見る絵画の世界はどんなものなんでしょう。
多感な子供ならではの感受性でいろいろなことを感じ取ってくれるのではないでしょうか。

お子さんがいらっしゃる方はぜひ一緒に読んでみてはいかがでしょう。
もちろん大人が読んでも楽しめる一冊です。

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