ロコローション

 最近は学期末のテストやらレポートやらに追われ、全く心の休まらない日々を過ごしている。それも来週までの辛抱。そのあとには華々しい春休みが……!とは言い難い状況だ。友人と泊まりがけで旅行に行く約束をしていたが、これでは厳しいだろう。しかし、嘆いてばかりでは何にもならない。自分なりに楽しみを見つけた者勝ちなのではないだろうか。

 本当に殺伐とした毎日だ。学期末の試験とかいうシステムを考えた人間がいるのなら問いただしたい。(もっとも、もっと前から用意しておけという話ではあるが)課題や準備に追われ、趣味である映画鑑賞もままならない。由々しき事態だ。忙しいだけならまだいいが、沢山のやるべき事に追われていると、心が荒んでくる。部屋の荒みようとシンクロして。部屋や冷蔵庫の荒み具合は心に比例するというのは本当だと毎学期末は感じる。
 そんな心の状態でSNS、特にインスタグラムを開いてしまうと、とんでもない目にあう。以前、わたしはインスタグラムをやめたという記事を書いたが、あれの何ヶ月後だったか、わたしは過去の交友をほぼほぼ断絶し、新たな人間関係上で使うインスタグラムを始めた。

 こんな時期に友人の「恋人と一周年記念」の投稿を見てしまうと一気に心のHPがゼロになる。わたしは今、恋人がいない。しかし、わたしは誰かに恋愛感情を持つタイプでは無いので、恋人を作りたい訳でもない。しかしたまに、わたしの生き方が間違っているのではないかと不安になることがある。もちろん恋人と1周年記念をインスタグラムで祝う友人は悪くないのだが、友人のような生き方の人が多い中、わたし生き方は正解ではないのではないかと勝手に劣等感を感じる。すべての人のすべての生き方に間違いも正解もない、というのは分かっているのだが、心の奥底ではいつも不安を感じている。他の人が手にしているものをわたしは持っていないなと思ってしまうのだ。学期末の焦燥感も相まって、そうして気がめいっていくのだ。

 
 普段わたしは落ち着いた雰囲気の曲を聴くことが多い。とはいってもそんなにたくさん聴くわけではないのだが。邦楽で言えばサカナクションや宇多田ヒカル、洋楽で言えばBillie Eilish や、最近よかったのはBig Thief のPaulという曲, Spotifyに勧められて聴いた、LaufeyのTypical of Meというアルバムだ。あとは映画のサウンドトラックをよく聴く。ウェスアンダーソン監督のグランドブタペストホテルのサウンドトラックやノアバームバック監督のマリッジストーリーのサウンドトラックもとてもよかった。聴いていただければわかるだろうが、どのアーティストも似た雰囲気を持っている。わたしは落ち着く曲が好きだから聴いているのだが、気がめいっているときは普段聴かないようなただただ元気な曲が聴きたいな、と思った。そこでふと思い出したのがORANGE RANGEのロコローションである。Spotifyで検索し、再生する。曲の始まりからすごい。今の自分とまるで対極にある曲なのだ。なんて気持ちのいい曲なんだ、と感動すらした。何という解放感。いい意味で歌詞の内容が無い。つまり何も考えずとも、ものすごく楽しい気持ちになれる。日常生活の中で「マジでナイスバディ」などと聴くことがあるだろうか?ロコローションの歌詞について考えてもしょうがない感がすごい。行き詰ったときに必要だったのはロコローションだったのだ。海辺のギャルたちが「考えてもしゃーないっしょ!」と語りかけてくる。

 いろいろな経験をしてくると、様々な面で保守的になっていくが、自分と対極にある物を取り入れることで、何かが解決することもあるのだなあと思った。さて春休みまであと少し。ゴールが見えている方がかえってつらいが頑張ろうか、と思えてきた。


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