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犬にとって音楽とは?

うちの犬、音楽を聞いてリラックスするんです。
とある学生さん。彼女は「犬用の音楽プレイリストが人気、あと犬の聴覚特性に合わせたスピーカーも売ってる」と教えてくれました。そんなペット音楽ビジネスを全然知らなかった私は、興味シンシン。だから今回は犬と音楽の話です。

音楽に反応する犬たち
「動物と音楽」は人気の研究トピックです。猿、鳥、象、ネズミ、鯉、アザラシなど、いろんな動物の研究が進んでいます。動物と人間を比べることで「ヒトと音楽の関わりがどう特別なのか」をより深く知ることができるのです。

犬は、人間の言葉や顔の表情を理解して反応します。そして私たちのそばで音楽を聴くことが多い動物です。そんな彼らが音楽に対してどんな反応するか、知っていますか?

昔うちで飼っていたマルチーズは、ソプラノの母が歌うと遠吠えする犬でした。歌のクライマックス、高いところでウォーーー。実は音楽に合わせて遠吠えをする犬は結構いるようです。つまり、犬が特別な反応をしたくなるような種類と高さの音があるのです。

なぜでしょう。調べると、狼だったころの名残、群れの仲間とのコミュニケーション、もしくは大きくて気に触る音なのでやめてほしいと対抗している、など諸説ありました。犬の表情からそれがネガティブ・ポジティブな反応なのかわかるようです。

では、犬は音楽を聞き分けられるのでしょうか?答えはイエス。クラシック音楽が流れると犬は吠えずに横になることが多いそうです。ソフトロックやレゲエも、ポップ音楽よりリラックスしている様子が観察できるとのこと。

なるほど、犬用の音楽プレイリストは効果があるのかも。ただ、犬が音の何を手がかりに音楽を聞き分けているのかはほぼわかっていないようなので、犬専用スピーカーの有効性はよくわかりませんでした。

探せば情報はあるものの、犬の音楽認知の研究はまだ始まったばかりという印象です。最近は犬の脳活動や行動を観察する方法が確立しつつあり、またPatelという有名な研究者が意欲を見せているので、これから面白い展開があるかも、です。

より詳しい情報
Bowman, A., Scottish, S. P. C. A., Dowell, F. J., & Evans, N. P. (2015). ‘Four Seasons’ in an animal rescue centre; classical music reduces environmental stress in kennelled dogs. Physiology & behavior, 143, 70-82.

Bowman, A., Scottish, S. P. C. A., Dowell, F. J., & Evans, N. P. (2017). The effect of different genres of music on the stress levels of kennelled dogs. Physiology & behavior, 171, 207-215.

Kogan, L. R., Schoenfeld-Tacher, R., & Simon, A. A. (2012). Behavioral effects of auditory stimulation on kenneled dogs. Journal of Veterinary Behavior, 7(5), 268-275.

Patel, A. D. (2017). Using music to study the evolution of cognitive mechanisms relevant to language. Psychonomic Bulletin & Review, 24(1), 177-180.

Wells, D. L., Graham, L., & Hepper, P. G. (2002). The influence of auditory stimulation on the behaviour of dogs housed in a rescue shelter. Animal Welfare, 11(4), 385-393.


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