金沢城の石を引いた町「石引」の商店街 【モダン編】
江戸創業の老舗から昭和レトロなお店まで並ぶ石引商店街ですが、新しい場所も出来ています。
【クラシック編】はこちら。
1. 石引パブリック
老舗の酒蔵、福光屋さんの隣にあります。
古本屋さんかと思いきや、中には新しい本や雑誌もあります。
リソグラフ印刷という版画のようなレトロな感じの印刷をすることもできます。
名刺など、デザインもお願いすると作ってもらえるそうなので、何か印象に残るものをと思っている方にはおすすめです。
お店の中に不思議な段差があると思ったら、元は電気屋さんだったので、オーディオルームがあったのかもしれないということでした。
コーヒーを飲んで、くつろげる場所もあり、仕事に行き詰ったときの頭の切り替えにちょうどいいお店です。
関連イベントの本を買いましたが、マスキングテープもかわいく、実用的でした。
2. ひいなアクションgallery
石引商店街のアーケードのなくなるところあたりにあります。
石引商店街は、何度も行っているのですが、初めて存在に気がつきました。
「育児の始まりが、創作の終わりにならない社会へ。」をうたって、2017年に設立されたNPOひいなアクションのギャラリーです。
今回で、展示は3回目。会期は、8月7日から9月5日。オープンは、金土です。
常に展示がされているわけでないということで、これまで気がつかなかったのも仕方がないと自分に言い訳ができました。
天井や床も、荒々しい感じでもともと何のお店だったのかとパンフレットを見てみると、元クリーニング屋さんの店舗でした。
ひいなアクションですが、今の展示は、金沢美術工芸大学の卒業生の作品展でしたが、特に金沢美大関係者だけのものではないということです。
石引すぐ近くには、金沢美術工芸大学があります。
美大について興味のある方、こちらをどうぞ。
3. 芸宿 (石引を少しはみ出し)
金沢美大といえば、「芸宿(げいしゅく)」という美大生中心の共同体があります。
もともとは、石引でギャラリー付き共同アトリエとして立ち上げられました。
2018年に今のアパートへ移り、ギャラリー、共同スペース、美大生や卒業生の住む部屋、訪れる作家のレジデンスという構成になっています。
天徳院のすぐ目の前の相当古いアパートです。
石引の下馬地蔵尊で降りて参拝に行く、その目的のお寺が天徳院なので石引からすぐのところにあります。
現在、金沢市内13箇所で「ストレンジャーによろしく」という企画展がされていて、ここも会場の1つになっています。
どの部屋が会場か聞くと101号室と103号室ですとのこと。
まず101号室へ入ります。
モノすごい数の本があり、ひとしきり生活できるアパートの部屋です。後で調べたところによると、この部屋が人が集まる共同スペースでした。
次に、103号室。部屋の仕切りをなくして、ギャラリーになっています。
扉前に鬼瓦らしきものがあり、作品かと思いましたが不明です。
さらにこの近くの元飲食店DAJIAでも、展示がされているのでこちらも立ち寄りましょう。
この企画展は、9月13日までです。
チケットは、アートグミで購入でき、すべての箇所に共通で使えます。
アートグミは、近江町市場となり、村野藤吾作品でおすすめの建築の3階に入っています。
「ストレンジャーによろしく」、少しまわりましたが、まだ見ていないところもたくさんあるのでこれから巡ります。
さらに、ちょうど今、金沢美大の「金沢彫刻祭2021」も街中の香林坊付近6箇所で開催されています。
「金沢のアートは熱い」ということで、こちらもおすすめです。9月5日まで。
4. minä perhonen Kanazawa
大通りから少し中に入ったところには、特に女性に人気のファッションブランドminä perhonen Kanazawaがあります。
東京、神奈川、京都、長野のほか店舗があるのはこの金沢だけです。
大正時代の材木商の古民家を利用していて、外から見ると完全に和です。
中に入るときれいさびを感じる和モダンです。
奥の棚は、押し入れだったところを利用しています。展示によってかなり雰囲気は変わります。
先日寄ったときには、木工作家さんの作品展示をしていました。写真の下部分がそのときの様子です。
床の間や押入れ、釘隠しといった部分は、極力もとのまま残されています。
母屋のほか蔵が2つあり、そちらもテキスタイルや洋服が並んでいます。
子供服もあり、驚きました。通気のいい、汗を吸いやすい素材で、しかも家で洗うことができるものでできているといいます。
ブランド名のminä perhonen 。フィンランド語でminäは「私」という意味で、perhonenは「蝶々」です。
minäの服を着るひとりひとりが、私らしさを解放して、羽ばたいていけるようにという想いからです。
お店のラックにも蝶々の形のものがありました。
わたしも羽ばたけますようにと、蝶々の手ぬぐいを買ってきました。
こちらのお店ですが、開店時間は11時からです。知らずに行った際に閉まっていて、もったいないので周りをすこし歩いてみました。
5. 波着寺
歩いていると、波着寺というお寺がありました。
そんなに目立つ大きなお寺ではないのですが、なんとなく気になってお気に入りのアプリ「古今金澤」でチェックしてみます。
江戸時代にはとても大きな敷地を持つお寺だったようです。
後で調べてみると当時の敷地は10,000坪。
東京ドームが約15,000坪といっても、わたしにはイメージがあまりつかなかったので、小さめでテニスコートを見てみます。
ダブルスのテニスコートが約80坪。ダブルスコートが125面作れると思うとものすごい広さです。
越中一乗谷(福井県)で、奈良時代に創建されたのが始まりという古刹でした。
加賀藩の祖、前田利家は信長の北陸方面攻めのため府中城(福井県)にいました。
そこで、利家の祈祷所だったのがこの波着寺です。
利家が金沢城へ入城するときに、招かれて寺地を得たということで、広かった訳が分かりました。
門前町もできて、賑わっていたことから、このお寺の山号をとってこのあたりは白山町と呼ばれていました。
「犬も歩けば棒に当たる」ではないですが、モダンを求めていてすら、金沢を歩いていると加賀藩の気配にぶつかります。
石引という町名も、金沢城を建てるときに、山から石を切り出して引いて運んだ道から名づけられています。
次は、この石を引くという「石引」がテーマです。
参考
朝日新聞2019年2月6日朝刊
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?