maki.Kanazawa

金沢市在住。金沢のおもしろいところをみんなに知ってもらうのがミッションです! 英語、ス…

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金沢市在住。金沢のおもしろいところをみんなに知ってもらうのがミッションです! 英語、スペイン語も勉強中、英語、スペイン語でも金沢情報発信中です。 https://instagram.com/maki.kanazawa?utm_medium=copy_link

最近の記事

兼六園とポートランド日本庭園【枯山水の章】

※2024年1月1日の能登半島地震のため、今回より記事を有料とし、復興支援に寄付をすることにしました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。 金沢の冬といえば、雪吊りの兼六園。 雪吊りは、水分を含んだ北陸の重い雪で木の枝が折れないように保護するものです。 金沢の雪吊りは、木の芯に縄を張り巡らせるタイプです。 お隣の富山県へ行くと、低木にガチっと竹が並んでいたり。 豪雪地帯として知られる新潟県十日町市でも、縄でなく全てしっかり竹や木で組まれた雪囲いが見られたりします。

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    • 兼六園とポートランド日本庭園【建物の章】

      師走も半ば、いよいよ寒くなってきました。 兼六園では、序章で見たことじ灯籠も、雪帽子姿になる日が近づいています。 兼六園は、江戸時代に加賀藩主によって作られた大名庭園。 ポートランド日本庭園は、日本の高度経済成長期に作られたアメリカの本格的な日本庭園です。 前回見たことじ灯籠の他にも、共通点はいろいろあります。 今回は、兼六園の兼ねる6つの特長の「人力」にあたる建物を見ていきます。 プロムナードにある隈研吾氏の建築 〜見城亭〜 兼六園の前には、茶店が並んでいます。 

      • 兼六園とポートランド日本庭園【序章】

        金沢といえば、兼六園。 兼六園は、日本三大名園のひとつです。金沢出身者としてひいき目もあるかもしれませんが、三大名園のうち1番だと心密かに思っています。  名前の由来、「六勝(兼ねることの難しい6つの景観)を備えている」ということで、表情豊かな庭園です。  この夏、オレゴン州ポートランドに滞在していたとき、日本庭園欠乏症となり、ワシントンパークにある日本庭園へ行ってみました。 庭園からは、高層ビルと街のシンボルとも言えるフッド山が眺められます。 ここは、六勝では「眺望」

        • 11月朔日、観音院の神事能 

          金沢は、能楽で有名です。 能楽堂や能楽美術館もあります。 加賀藩には、2大神事能と呼ばれる神事能がありました。 1つは、江戸時代から400年以上の歴史を持つ大野湊神社の神事能。今でも毎年5月15日に催されています。 ※戦時下、コロナ下では一時的中断もありました。 もう1つは、その存在がかなり忘れられてしまっていますが、観音院の神事能です。今日この日、11月朔日(1日)に催されていました。 江戸時代から250年間にわたり、1度も欠かさずです。 宝暦9年(1759年)3月

        兼六園とポートランド日本庭園【枯山水の章】

          オテラート金澤と天徳院の隠れた名園

          秋です。 オテラート金澤の季節です。 オテラートは、オテラ+アート。お寺とアートを掛け合わせた期間限定のアートイベントです。 以前まわったときの様子はこちら。 今年は、寺町寺院群、卯辰山山麓寺院群に加え、小立野寺院群の天徳院でも開催されています。 天徳院 今回は、天徳院へ。 今でも、広い敷地の天徳院ですが、江戸時代はさらに広大で四万坪を誇りました。 東京ドーム3個分、テニスコート500面以上分です。 そんなにお寺の規模の大きい訳は、加賀藩主前田利常の正室、珠姫の菩

          オテラート金澤と天徳院の隠れた名園

          ポートランドより猿丸神社を想う

          一年前にはまったく想像もしませんでしたが、いろいろな縁があり、現在ポートランドにいます。 ポートランド ウィラメット川という川が、街の中心を走っていて、面白い橋がたくさんかかっています。 跳ね橋だったり、2段になっていたり、トラム、歩行者、車、自転車がうまく通行できるようになっていたりと、橋だけでも楽しめます。話をするとキリがないので、次へ。 ポートランドは西海岸側の都市です。 先住民以降の移民してきたアメリカ人の歴史としては、19世紀初頭から始まります。 その頃は

          ポートランドより猿丸神社を想う

          江戸時代の玉泉寺のまわりを歩いてみると 〜重層的な金沢〜

          金沢城公園の一角には、玉泉院丸庭園があります。 金沢城では、いろいろな種類の石垣が見られます。 個人的には、ここにある「色紙短冊積」といわれる石垣が、他にはない石垣で、1番の見どころだと思っています。 玉泉院とは、織田信長の四女、永姫の院号(戒名)です。 永姫は、織田信長の四女で、加賀藩前田家第2代利長へ輿入れしました。 利長の亡くなった年に剃髪し、玉泉院の院号をもらいました。 玉泉院が住んでいた場所なので、玉泉院丸庭園と名付けられています。 玉泉院の位牌所となった

          江戸時代の玉泉寺のまわりを歩いてみると 〜重層的な金沢〜

          金沢のおすすめ建築〜石川県立図書館〜工芸と本と

          石川県立図書館へ久しぶりに行ってきました。 石川県立図書館は、去年7月16日に新しい建物へ移転し、新しいスタートを切りました。 図書館建築と伝統工芸品 入口は、いくつかあり、正面から見るとフラットなモダニズムを思わせるフォルムです。 正面の左側面にあるアプローチは、和の格子を組み合わせているけれど、幾何学的で連続しているところから無限という印象を受けます。 脇には読書の庭があり、今の時期、お花も咲きそろっていて爽やかに過ごせます。 ここから、建物をよく見てみると、

          金沢のおすすめ建築〜石川県立図書館〜工芸と本と

          前田土佐守、京への旅

          京都で偶然、加賀藩邸跡の看板を見つけました。 三条あたりの高瀬川沿いです。 高瀬川は、江戸時代につくられた京都と伏見をつなぐ物流のための運河です。 そのためか、四条から三条までの間には他にも土佐藩、彦三藩の藩邸の石碑も見かけました。 江戸の加賀藩邸は、赤門もありその存在が知られています。 江戸には将軍、京都には天皇がいます。 考えてみれば当たり前なのですが、都である京都にも加賀藩邸がありました。 朝廷や各藩との交渉をする留守居役が駐在していたところです。 江戸後期の

          前田土佐守、京への旅

          金沢と繊維にまつわるあれこれ

          金沢といえば、金箔、工芸という印象です。 でも、加賀は、金箔や工芸だけでなく、繊維産業でも名を馳せていました。 今でも、石川県は「繊維王国」と呼ばれてもいます。 アパレル需要は減っているものの、繊維産業は今後、発展していく可能性があります。 炭素繊維などの新しい繊維素材は、建築材料、航空機の部材としても注目を浴びています。 加賀では、古くから加賀絹が生産されていました。湿度の高い土地柄が、絹には適していたためです。 暑い時期には特に、ジメジメして嫌だなと思っていたこの

          金沢と繊維にまつわるあれこれ

          石垣の博物館、金沢城

          お城といえば、石垣。 石垣は桜と相性が良く、きれいなので今年も金沢城公園へお花見に行ってきました。 石垣が定番になるまで 石垣がお城の定番になるのは、意外と遅く、近世。 織田信長の作った安土城が、近世のお城に大きな影響を与えたと言われます。 大きな特徴は、全体を囲う高い石垣、瓦、礎石建物(礎石の上に作られた建物)の3つ。 お城は焼失し、瓦は確認できませんが、石垣は今でも残っています。 安土城ができたのは天正4年(1576年)。 越前を征服し、武田軍を破り、本願寺の勢

          石垣の博物館、金沢城

          金沢の意外な新お花見スポット 〜兼六駐車場〜

          暖かくなってきました。 桜の季節です。 3月28日に兼六園に行ってみたところ、今年は開花が早く桜がかなり咲いていて驚きました。 金沢で桜の名所といえば、もちろん兼六園や石川門。 茶屋街や卯辰山。 他にも、犀川沿い、金沢城公園といろいろ桜を愛でることのできる場所はたくさんあります。 気になる方は、以下の記事をどうぞ。 今年、新たに桜を愛でる意外なスポットができました。 兼六駐車場です。  兼六駐車場 通るたびに工事をしていて、建築好きなので中はどんなふうになってい

          金沢の意外な新お花見スポット 〜兼六駐車場〜

          金沢駅近くの神社から垣間見る源平 〜平岡野神社〜

          金沢のシンボルとして、有名な金沢駅。 鼓門のある兼六園口と反対側から出ると、広場があり、周りにはオフィスビルが並びます。 でも、ここから左へ曲がって高架沿いにほんの2、3分歩くと、神社があります。 平岡野神社の珍しい社殿 平岡野神社です。 まず、お清めしてからお参りへ。 屋根の下の懸魚の彫刻に桜があります。 さらに、屋根の上の瓦の模様も桜です。 この辺りでは、桜の瓦を見たことがなかったのでかわいいなあと眺めます。 水平の横木を支えているのは、よく見ると蟇股でなく

          金沢駅近くの神社から垣間見る源平 〜平岡野神社〜

          「工芸館と旅する世界展」と金沢

          金沢の雪や雨の合間、久しぶりに、国立工芸館へ行ってきました。 工芸館の建物は、旧金沢偕行社。 そして、シンプルな外観の旧陸軍第九師団司令部庁舎からなっていて、建物だけでも楽しめます。 でも、本来は工芸品を楽しむ場所なので、展示室へ。展示は、旧陸軍第九師団司令部庁舎のほうで 今回の企画展示は、「工芸館と旅する世界展」。 旅のしおりをもらい、各国の工芸品を見てまわります。 イギリス まずは陶器から。 片方は、イギリス人作、もう一方は日本人作です。どちらがどちらか分

          「工芸館と旅する世界展」と金沢

          東洋一、幻の白雲楼ホテル

          湯涌温泉は、金沢の中心市街地から、車で30分ほど行ったところにあります。 温泉街の通りは、どことなく昭和のおもかげを感じる落ち着いた雰囲気です。 2月の半ば、まだ雪に覆われていました。 この突き当たりには、玉泉湖があり、そのほとりには氷室小屋が建っています。 氷室小屋は、冬の雪を夏まで保存しておくための小屋です。 玉泉湖、少し高台になった場所にあって天然にしては?と思っていたら、人工湖でした。 今では、解体され幻となった白雲楼ホテルの一部として造られた人工湖です。 

          東洋一、幻の白雲楼ホテル

          金沢の女川にかかる華奢な橋、浅野川大橋

          金沢を流れる2つの川、犀川と浅野川。 この間に金沢城があり、その周りに金沢の街は発展してきました。 江戸時代には、お城を守るため、橋は2つの川に3つだけでした。 犀川に1つ。犀川大橋。 浅野川には、2つ。浅野川大橋と小橋。 今回は、浅野川大橋を見てみましょう。 浅野川大橋の木橋時代 犀川大橋と同じ年、文禄3年(1594年)に加賀藩祖の前田利家によってかけられました。  当時は、木橋でした。お城へ入るための要所です。 でも、江戸時代中期の絵図を見ると、とても賑わってい

          金沢の女川にかかる華奢な橋、浅野川大橋