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少年サッカー、小学生でやっててよかった練習って何よ?

少年サッカーを楽しむパパコーチ体験記の第2弾!

前回は、子どものサッカーが最高のコンテンツであること、について書きました。

今回は、長男と僕が小学年代にやってきた練習方法について書きます。

当然ですが、これはあくまでも我が家のケースです。
ただ、マーケティングの世界では「具体的な一人を深く理解することが、が全体の理解を深める」という考え方があります。

こんな考えで、こんなことやっているヤツがいたんだな位の遠い世界の話として読んでもらって、結果として、子どもの練習を考えるヒントが見つかれば、うれしく思います。(優しい気持ち希望)

Michal JarmolukによるPixabayからの画像

サッカー少年を持つ親の最大の関心は、
いかにして、子どもを上手くするのか、ということではないでしょうか。

小学生は「伸びしろしかないわ~」の状態。
練習したら次の試合で活躍した、ということも極々まれにはあります。

一度、そんな体験をした親(たとえば僕)は、自分のおかげだと勘違いして、次の試合に向けてより効果的なトレーニングメニューを探し始めます。
そうです。サッカー育成沼にズブズブと沈み始めるのです。

たとえば、

  • ウェブやママ友、パパ友から評判のよいサッカースクールの情報を集めて、体験会につれていく。
    → たとえ知らない選手であってコーチは元プロ、もしくはプロを輩出したという噂にひっかかりがち

  • サッカークリニックやジュニアサッカークリニックを定期的に購入し、子どもとの自主練に取り入れられそうなものを探す。
    → 親子二人なので、載っているほぼ全ての練習はできない。つい、ママに協力をお願いして嫌がられがち

  • 体幹トレーニングや身体操作、足を速くする方法について調べて、ショートハードルやバランスボード、一本歯下駄などの器具をかいこんでみる。
    → 使うのは一週間から一か月の間だけ。次からは家に置いていて邪魔にならない小さなものを選びがち(だったら、買わなきゃいいのに)

  • 攻守の4局面を理解して、認知、判断、実行を高いレベルで行うために、戦術理解の本を探す。
    → これは楽しい。最近ではYouTube、ツイッターで戦略系動画が増えて助かります。が、子どもはスルーしがち。

なぜか二種類もある一本歯下駄

サッカーのスクールの課金がすごいことになっています。
スクールを3つ掛け持ちし、片道一時間を車で送迎は当たり前。「子どもの夢を応援する」という、後ろ指をさされない立派な名目があるので、課金に歯止めがかかりにくい。
スペインや中東の合宿に参加したりすると、大変な金額になります。うちも一度スペイン遠征に参加する機会があったのですが、幸運にも?所属チームの試合予定とスケジュールがかぶったので、行かないですみました。(ホッ)

もちろん、どんなに探しても、うまくなるための正解は見つかりません。
一人ひとりの身体、性格、プレーの特徴、環境が違うからです。
そんなことは百も承知でありながら「でも、なにかよい方法があるのでは」と希望を捨てきれず、良さそうな情報を探し続けるのです。

練習の判断基準は?

(おそらく皆さんと同じように)僕もペップやヤヒロの気分で、ネットや本を調べて情報収集し、ありとあらゆる練習を試してみました。
(30年以上前の、自分が子どもの時とあまりにも指導の考え方が変わっているので、いろいろと新鮮でした)

小学年代で自分が沼にハマっている間は、「どの練習が効果的なのか」まったくわかりませんでした。
しかし長男が中学三年になった今になって振り返ってみると、少し見えてくるものあります。(先輩風)

練習の中には、「無駄だったかも」と思うもの、「やっててよかった」と感じるものがあります。
今回は、その中の「やっててよかった」練習を3つ紹介します。(寄り道多め)

具体的な練習方法にいく前に、僕が「よかった/無駄だった」を判断している基準を説明します。

中学生になると、小学生とはサッカーの内容が大きく変わります。
人数が11人に増えてグランドが広くなる、という形式面の変更もありますが、それ以上にプレー面が変わることに驚きました。
プレー強度が大きくあがり、「チームとしての戦術」が整理されます。
(高校生のお兄ちゃんを持つママ友からは、高校になると強度がもう一段上がると言われました。先輩風その2)

2023年の現時点でいうと、どのチームでも守備のプレッシングの戦術が整理されています。プレスのタイミング、コースの切り方、ボールを奪う場所、その時のリスクケア、それを実行するための走力。
これらがU13からU15にかけて、徹底的に叩き込まれます。

その守備戦術の整備とプレー強度の高まりを受けて、攻撃の戦術も変わります。U13の当初は、気持ちいいぐらいにボールを回していたチームでも、U15になると、プレスに引っ掛かりショート・カウンターで得点を取られるようになります。(最近、長男は「ボールを保持するとリスクが高いから、ボールを保持したくない」と言い出しました。臆病者め)

プレス戦術への取り組みは、関東リーグレベルでは全チームが行っています。世界のサッカーでも守備戦術の進化はすごいですが、ジュニアユースでも同じです。
一方で、ポジショナルプレーへの取り組み、こだわり?は、チームによってばらつきがありそうです。343、352を採用するガチ・ポジショナル・チーム。ビルドアップでつなぐものの、相手を引きつけたら、無理せずライン間やワントップにロングパスを出し、セカンドボールを回収するチームなど。

ペップ・シティの2022-23シーズンのロングパスの高い使用頻度を見て、高度化したプレッシングに対しては、低い位置からビルドアップにこだわりすぎず、ロングパスも使っていく方が合理的だ、ということだなと感じました。(ハーランドとデ・ブライネがいるというのもあります。しかし、状況に合わせて、ビルドアップとダイレクトプレーの両方を選択できる方がよい)

その「強化された守備戦術」を上回るため、ボール保持のシーンではプレーの正確性とスピードの両方を、さらに高めるように求められるようになっています

最近では、コンパクトなプレスを回避するためのロングパスの精度が重要なスキルになっています。
アンカーやセンターバック、サイドバックであれば、プレスをかわしつつワンステップで40メートルのパスを通せることを求められるようになります。(厳しいけれど、できる子はできちゃう)

そしてこの「プレー強度向上」「守備戦術の高度化」の流れは、ユース年代、大学と、さらに加速していくと思います。

これを踏まえ、この記事ではプレー強度と守備戦術レベルが高まったジュニアユースのサッカーの中で活躍するのに役立っているか、という基準(さらにユースでも役立ちそうか)で練習メニューを選びました。

直前の記事 (https://note.com/tanakata11/n/nda8d860691d3)で、子どもを観察して次の試合で活躍するための練習をやろう、という話を書きました。(“Vamos partido a partido”)

ここで書いているのは、小学生の時の「次の試合」にもつながり、中学生になった今でも役立っていると感じた練習になります。
ただ、同じ練習をするときにも、子どもの様子とレベルを踏まえて、意識することを調整すること、PDCAサイクルを回すことが大事だと思います。

やってよかった練習方法 

親と子どもの二人でできる練習に絞っています。
そんなに目新しいメニューではないですが、子どもに意識させるポイントを自分なりに工夫していました。
道具も、僕が買った変な道具(たとえば一本歯下駄)は入っておらず、マーカーやコーンのみです。

1.ドリブル・タイムトライアル

これは、U5~8ぐらいに実施していた練習方法です。

センターサークルぐらいの円をグラウンドや家の周りにみつけて、その一周のドリブル・タイムを毎日数回、計っていました。所要時間は5分未満。

長男は、利き足と逆足の両方でやってましたが、利き足だけでもよいと思います。逆足で高速ドリブルすることはなく、優先順位が低いので。

  • 利き足が前にくるタイミングで、毎回ボールにタッチします。マラドーナやメッシのドリブルの、あのイメージです。

  • 長男は、毎回、右足の薬指と小指の上のあたりでタッチしていましたが、触る箇所はどこでもいい。チームには、親指の上の方でタッチする子もいましたし。

  • 大切にしていたのはスピードです。ボールなしで走るのと比べると少し遅いかな、ぐらいのタイムで、ミスなくドリブルできるまで、しつこくやりました。

  • そのためには、飽きさせないことが大事。
    毎日、うそでも新記録を出させると、やる気が続きます。
    タイムをはかるのは親なので、そこは胸先三寸です。(せこい)

  • 慣れてくると、ボールを間接視野で見るようにしました。

  • チームメイトから「ふつうに走るよりドリブルした方が速い」というフェノメノ・ロナウドのようなことを言われたのは、小3のことでした。(もちろん、あんなスピードも上手さもなかったのですが)


常に100%のスピードでドリブルするわけではないですが、100%のスピードでミスなくドリブルできる技術があると、80~90%のスピードなら周りを見る余裕がでてきます。これが「やっててよかった」と感じる点です。

また、高速ドリブルは、試合を左右するような大きなチャンスを産み出す場面もあります。FWやWGがカウンターで裏に抜けるドリブル、MFが中盤でプレスを外してバイタルエリアに侵入するドリブルなど。(残念な成功例は「ロストフの14秒」のデ・ブライネのドリブル)

ジュニアユースチームで上手い選手でも、100%のスピードだと足からボールが離れて、チャンスを潰してしまうことがあります。スキャモン発育曲線では神経系のものなので、早めに取り組むと上達も早いような気がします。

昔は「あの選手は推進力がある」などとざっくり印象で語られていましたが、今、「運ぶ力」は選手評価の重要な指標としてしっかりとデータが取られるようになっています。
昨年度、プレミアリーグで最多のキャリー回数(1,032回)と最長のキャリー距離(11,729m)を記録したデクラン・ライスは、ウェストハムからアーセナルに190億で移籍しました。(聞きかじり)

高速ドリブルトレーニングは、小学年代でも中学年代でも、多くのポジションで役立つと思います。

攻撃的なポジション、サイドバックを含めたサイドのポジションは、言うまでもありません。
もし足の速さがチームで3番以内に入るレベルであれば、それだけで小学年代はたくさん点が取れます。攻めている時のリスクケア意識なんてゼロに等しいので、カウンターはどんどん決まります。

高速ドリブルをあまり使わないのは、センターバックやディフェンシブMFなど、中央後ろ目のリスクケアが必要なポジション。

これらのポジションでは、ドリブルは、相手を引き付けながらいつでもパスをだせるように、ゆっくりと相手の動きを見ながら行うのが基本です。

しかし、ディフェンシブMFでもライスのように、ドリブルで運んでラインブレイク※することが求められる選手も増えているように思います。
センターバックも、スペインの育成年代では「ドリブルで相手FWのディフェンスラインを突破するプレー※」が求められるようになっているようです。
マンチェスターシティの偽センターバックのようなプレーをするのであればもちろん必要。

今後は、ディフェンシブMFやセンターバックでも、ドリブルでラインブレイクできることが普通に求められるようになるかも知れません。

※ディビディールというそうです。YouTubeの『センターバック研究所』でたまたま聞きました。
※ラインブレイクについての補足記事です。


2.高速パス・コントロール

これは、U5~U11に実施しました。
左右にマーカーを置いて、強いパスで行う対面パスです。所要時間は5分。
子どもは、コントロールを左右のコーンの外側に行います。
コントロールで1、キックで2のツータッチでボールを返します。リズムはイチニの二拍。

みんながやってるパスコンですが、大切なのはパススピード、止めてから蹴るまでのスピードです。

  • 親は、可能な限り最速のスピードでけり、子どもも最速のインサイドキックで返します。子どもが小さくても手加減はそれほど必要ないと思います。強すぎるかな、と思うぐらいでちょうどよい。インサイドのグラウンダーのパスがどれだけ速くても大きなケガはしないはずです。(自己責任で!)
    長男は、速いパスには一か月ぐらいで慣れて、止めるだけであればできるようになりました。そこから思ったところに置けるようになるまでは時間がかかりました。

  • 動いているボールを蹴ることになるので、はじめはイチニの二拍子では蹴れません。二か月もやれば、ある程度のリズムでけれるようになります。

  • 子どものキックは、親の右足か左足か、どちらかを狙わせました。
    たとえボールはズレても、顔をあげて狙わせることが大事だと思ってました。
    慣れてくると、親も少し動いて実際の試合の状況に近づけました。

  • 蹴り方、フォームは、特に指示をしませんでした。
    イメージを掴んでもらうために、長男には「インステップのフォームでインサイドキックをする」という説明をして、トニ・クロースのキック映像を見せたぐらいです。
    (高校の時に読んだ『マラドーナのスーパーサッカー』には「蹴り方なんて意識したことがない」というマラドーナのコメントがあり、マラドーナファンの僕はその時からキックフォームに対するこだわりを捨て去りました。マラドーナのキックフォームは真似をしましたが)

  • 逆足でもインサイドは、続けるとそれなりに蹴れるようになります。長男は聞き足と逆足で蹴り方が違いました。

  • キックのときは、ボールの回転を意識するようにしていました。
    インサイドキックは蹴った直後は少し浮いていて無回転、着地してからは前向きの順回転を目指しました。(風間本で読んだのかな?)
    逆足は、強いボールを蹴るとどうしてもカーブ回転になってしまい、U13まで直りませんでした。

  • ボールにアプローチする方向と蹴る方向の角度は調整していきました。
    はじめは45度ぐらいから、最後は90度以上まで。
    軸足を蹴る方向に向ける必要はない、と思います。
    真横にあるボールを90度以上の角度をつけて蹴れるようになれば、シュートやパスのチャンスが増えます。

同時に、モドリッチのアウトサイドキックも練習させましたが、これはものになっていません。足の形でしょうか。風間八宏の本には、「踵の内側でける」「親指の骨で止める」と書いていたのでそれも伝えましたが、やっていないようです。


現代のサッカーで守備がコンパクトに整備されると、パスを通すスペースは小さくなります。その間を通すには速いパスが必要です。

速いパスを蹴れる、止めれることは、競技レベルでプレーをするためのベーススキルになっています
中学年代で芝のグラウンドになると、土よりもパススピードが遅くなってしまいます。長男は小学卒業時点でも強いインサイドキックが蹴れるようになっていたのですが、それでもジュニアユースだと「もっと速いボールを」と指導されていました。

〔ステップアップ・トレーニング〕
ある程度、ボールを止められるようになると、止める前に首を振るようにしました。
できるだけボールを見る時間を少なくして、相手をイメージしながら、とられない場所、突破できる場所にボールを置くことをイメージさせていました。(本当?)
首を振るタイミングは、可能な限り遅く。理想をいえばボールが転がっている間。でも、僕たちが練習するホームグラウンド(近所の公園)は、凹凸の多い土でイレギュラーバウンドが多かったのでコントロールミスをしやすかった。そんな場合は、首振りは蹴る瞬間でもよいと思います。

コントロールから、ターンをする練習もしました。
この場合は、1で横に飛び出し、2で裏に抜けるターンの動きになります。
ターンの時には、相手をブロックするイメージで手を広げます。

この練習の中では、ステップを踏んでターンもしました。
ボールが届く直前で、軽いステップを踏んでから素早くターンする。チアゴ・アルカンタラが右足のアウトサイドでやっているあれ、です。

これは汎用性の高いスキルだと思っていたのですが、子どもは普通のインサイドターンの方を、試合ではよく使っていました。「インサイドの方が利き足で蹴りやすい」とのことで。

川崎流の止めて蹴るはあまりしませんでした。中村憲剛さんの動画を見て、少しだけやってみましたが、二人ではどうしても正面で向き合うことになり、角度がつけられないのであまり続けることはありませんでした。

中学になって、ポジションが後ろ目になったので、コントロールの置き場所は変わりましたが(ロングパスに備えて、少し遠くなった)、U13の夏頃にはしっかりと調整して止めれるようになっていたので、ここでも役立っていたのだと思います。




と、ここまで書いてきたのですが、ちょっと文章が長くなりすぎました。
3つ目の紹介は、来週に回させてください。


書き始めると、長男とやった練習が思い起こされます。
近所の公園で、学校に行く前の10分から30分の時間。本当にいろんなことがありました。

小学一年生の時、ドリブルタイムトライアルでコケて、膝から血を出しながら学校に行って、先生から電話がかかってきたこともありました。

朝練していると有名Jリーガーが通りかかることがあって、それ以来サインペンを準備するようになったのだけれど、最後まで「サインください」が言い出せなかったことも、よい思い出です。


思い出しながら書いていると、どんどん文章が長くなってしまいました。
(言い訳)

今後も続けて、子どものサッカーに関するあれこれを書いていきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

おもしろかったら、いいね ♡ してくれると嬉しいです。

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