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40歳からのライターDAYS⑥~Sさんのこと~

ここで過去のことをイロイロ掘り出しているせいか、無性に会いたくなった人がいる。

Sさん。

noteで出すイニシャルは実際の会社名や人物名と無関係と前に書いたが、今回は気分が出ないのでご本人のイニシャルをもらって書いていきたい。

Sさんと初めて会ったのは今はなき浜松町の四季劇場[秋]。当時上演されていたミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』キャスト取材の時だ。

この頃(2015年2月)私は総合情報サイトの「A」に加えて演劇・ミュージカルに特化した「C」というサイトでも取材記事を書いており、場合によってはブッキングも担当するようになっていた(このあたりの詳細はまた別の機会に)。

Sさんは前任者の移動に伴いCの編集部に配属されてきた人だが、演劇を含む舞台芸術に関しては明るくなく、さらに一眼レフが使えなかった。どうやら前の部署では総務、経理的な仕事を担当していたらしい。

とにかく元気な人で、取材現場で先方に「……えぇぇ」と思う塩対応をされても明るくクリア。集合時間の5分以上前には現場にいて、つねに場のテンションを上げていく。年齢も近く、仕事のあとはいつも一緒にグラスを空けて明るい愚痴を言い合い、笑える毒をたくさん吐いた。

正直、仕事を進める上で「そっちじゃなーい!」と思うことも複数回あったが(なんせ舞台よりベイスターズ命の人だったから)、いつも一緒に戦ってくれたし、必ず同じ方向を向いて怒ってくれるSさんはとても大切な存在だった。

ある取材で対象者があからさまに疲れを表に出し、こちらからの質問にかなりチャラけた状態で答えたことがあった。

大きな作品の取材日には午前帯から暗くなるまで入れ代わり立ち代わりメディアが入り、ほぼ同じ質問が繰り返されるワケだから、聞かれる方も最後の方は疲れたテンションになるのはわかる。が、その時はちょっと酷かった。

私としては「……まあ、なんとか記事にはできるよ……うん」という感じで、その場を後にしたのだが、会場のエレベーターに乗った途端、Sさんが「私、後ろで聞いてて悔しくて……ご迷惑かけてすみませんでした!」と泣きだしたのには驚きながらも笑ってしまった。いやいや、あなたのせいじゃないし。ある意味当事者である私はソコソコ大丈夫だし。

Sさんと動いたのは1年弱。彼女の転職に伴い編集とライターのコンビ(?)解消となったワケだが、後にも先にも「やめる」といった人を必死に引き止め一緒に泣いた経験はこの時だけである。

青山のカフェで「やめると決めた」「やめないでほしい」の押し問答を繰り返し、互いの意志が変わらないまま別れた後に、彼女は銀座で4万円の靴を衝動買いし、私は表参道の某店でオジサンと怒鳴り合いのケンカをするというワケのわからない”事件”もあった。

Sさんとは今でもC関係の飲み会で会ったりLINEで近況報告をする仲だ。最近もらったメッセージでは、仕事で台湾に出張中とあった。

そろそろあのガハハ笑いに乗っかって、すかっとする毒を吐き合いたい。

Twitter @makigami_p



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