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40歳からのライターDAYS①~序章 1~

「フリーランス40歳限界説」とか「フリーライター35歳ネタ枯れ説」……的なキャッチがよく目に入ってくる。

が、40歳を越えてから書く仕事を始めて、そこそこニッチな世界でギャランティを得ている私にとって、上の2つは全然リアルじゃない。むしろ「武器さえあればR40でもなんとかやれちゃう説」を強く推したいくらいだ。

もし、年齢を理由に仕事として書くことをあきらめている人がいたら、こういう裏道(?)もあるんだと笑いながら読んで欲しいし、なにより自分の足跡帳として「ドン底にいた人間が40歳を越えて未知の世界に飛び込んだ記録」を書いていければと思う。

詳しいプロフィールは http://blog.livedoor.jp/orange5232/ (本人Blog=『巻き髪パンチ!』)を見てもらうとして、どういう流れで巻き髪のシロウトがライターの名刺を持って取材現場に飛び込んだり、俳優にインタビューするようになり、ある時期からテレビやラジオの現場にも呼んでもらうようになったのか……まずは暗いトンネルの話から。

2012年、それまでの人生で経験したことがない「底」を見た。この件に関しては詳細を書けるほど立ち直ってはいないので、当時の私の状況をただ書き起こしていく。

朝起きて、まず天井を見上げながら「……どうして今日も目が覚めちゃったんだろう」と最低30分は落ち込み、リビングでPCを立ち上げたあとにチェックするのは著名人の自死の方法。ギリギリ楽しいと思えるのは、SNSで顔も知らない人と好きな舞台の話をしたり、ミュージカルのDVDや動画を観ている時だけ。アメドラの劇中、銃で撃たれる人や、ドラマ『SP』で工作員に殺される人を見ると「一瞬で終了か……楽でいいな」とぼーっとしながら憧れ、木を見るたびに「……あの枝ぶりなら」といろいろ計算する始末。

1日のうちで声を上げて泣かない日はなかったし、もちろんメイクをして前向きに外出することもない。友達や知り合い、仕事先からの連絡はすべて即削除。

はい、今振り返ると完全に精神状態がおかしくなってるヤツですね、コレ。

人生でここまで追い詰められたことはなかったし、精神状態が限界まで揺らいだことはなかった。自分のことを強いとは思ってなかったけど、弱いだけの人間でもなかったと思う(ちなみにこの”出来事”は恋愛や人間関係がらみでは一切ない)。

「死」というものがいつも身近にあったし、小さなきっかけさえあれば、向こう側に行っていたかもしれない。よく2時間ドラマの推理シーンで「自殺しようとする人が1週間後の飛行機のチケットを取るはずないじゃないですか!」的なセリフがあるけどそれは健全な人の感覚で、通常の精神状態でない人間があちら側に行くのはある種の勢いというか、そういう空気に不意にまとわれた瞬間なんだよ、と変な実感を持ったりもした。

家族以外とのリアル接触がなくなってしばらく経った頃、ある1枚のチケットがきっかけで、最初の扉が少しだけ……開く。

Twitter @makigami_p




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