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ぼくの地球を守って/たとえば前世を信じて生きるというライフハック

コルクラボで「宇宙を題材にしたコンテンツを高校生に紹介しよう」というトピックがあって、私が真っ先に思い出したのがこの「ぼくの地球を守って」だった。
「ぼくの地球を守って」は1986年末から1994年にかけて「花とゆめ」で連載された伝説的少女漫画。主人公たちが雑誌への投稿をきっかけに前世の仲間と再会するエピソードがあるのだけれど、当時それを真似する若者が続出し、作者が「この話はフィクションです」と声明を出したほど。

この作品の魅力を未読の人に伝えるにあたって改めて読み直し、強く印象に残ったことがある。それは「前世」の記憶が残った状態で必死で「現世」を生きる、登場人物達の生き様だ。
それぞれが前世で罪や過ちを犯していて、その記憶に苦しみながら必死で「現世」を生きている。そして「前世」の過ちを二度と繰り返すまいという強い決意を糧に、とにかく前へと進んでいく。そのひたむきさに私は久しぶりに泣いて、またネットで見かけた読後の感想でも、その部分に感銘を受けている人が多かった。

今の日本みたいに何もせずとも「生きる」ことは保障されている社会において、「自分は何故生きているのか」の迷路にはまる人が少なくない。人によっては、〇〇さんよりはかわいい、高収入だ、役職が高いというのを根拠に、自分の人生の立ち位置を定義していたりする。
ところが他者との比較で成り立つ存在意義は、「自分より上」の存在によって簡単に揺らぐ。「自分の人生は○○さんよりはマシだけど△△さんより価値がない」という落とし穴。自分より下を見下し、上を妬み、そんな人生ほど空しいものはない。これはアドラー心理学でも繰り返し指摘されている、現代人の幸福感が薄い、主な原因だ。

そんな世の中を画期的に生きやすくするかもしれないのが「前世」というライフハック。

人は何故生きるのか。

それは「前世」でなしえなかったことを成し遂げるためだ。

だから「前世」より強く。
だから「前世」より賢く。
だから「前世」より美しく。

そう思って生きる1日1日は「自分の人生は○○さんよりはマシだけど△△さんより価値がない」より遥かに素敵なんじゃないだろうか。


そんな話を恋人にしたら、理系な彼は、ものすごく嫌な顔をした。

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