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2021/8/18 もし歴史が繰り返すのだとしたら

2001年、アメリカがアフガニスタンに侵攻した時に言われていたことのひとつに「アメリカが組んだ北部同盟はタリバン以上にどうかと思う」というのがあって、このたび、まさにその「どうかと思う」が露呈したように思った。実際にそうなのか、を当時も今も、きっちり確かめたわけではないけれど。

とある政治勢力からとある政治勢力に権力が移る時、私たちは「世の中がよくなる方向に」と願って止まないのだけど、しばしば「どうかと思う」政権から「更にどうかと思う」政権にうつりかわることがある。
ここ最近知っていちばん切なかったのはミラン・クンデラの小説で何度も取りあげられる「プラハの春」に纏わる話だ。
自由を求めて革命を起こした。そうしたら当時の政権より更に自由を制限する旧ソ連に占領されてしまった。「プラハの春」に積極的にかかわってその後冷遇された主人公が同様にうまくいかなかったフランス革命を思い出し、ニーチェの思想「永劫回帰」(経験が一回限り繰り返されるという世界観ではなく、超人的な意思によってある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すことを確立するという思想: Wikipedia より)を感じ呆然とするシーンがあって、その小説を読んだ時は本当に嫌な思想だと思った。

ところが今のチェコスロバキアはどうかというと、現在はEUに加入するくらい、当時の人達がきっと理想に思っていた世の中にぐっと近づいた。

「永劫回帰」とは決して厭世的な思想じゃないという解釈がある。悲しいことが繰り返されたとして、良いことも繰り返される。独裁政権も、誰かを迫害する政権も、それに則ればいつか倒される。そして「負」の期間が続く期間は21世紀になってからぐっと短くなった。ついこの間あった久しぶりの戦争は、何と1か月ちょっとで大して死者も出ずに停戦した。

ミャンマーのクーデターも、国際社会の監視の目があるから、ひとむかし前と比べてそれでもマシになっているという話がある。インターネットの力だと思う。ひどいことをすると拡散する。拡散してしまうと国際社会が孤立する。内乱が起こるような国には他国からの援助が必要だ。だからかつてに比べてずいぶんと残虐さに歯止めがかかる。

アフガニスタンにとっては実に18世紀から繰り返されている永劫回帰。

ただもし当時「どうかと思う」と思われていた北部同盟による統治が本当に20年もの間うまくいっていたなら、またその「うまくいく」時期が繰り返す。歴史が繰り返すなら。本当に永劫回帰がこの世界の原則だとしたら。歴史を知れば知るほど、昔と比べて世の中はずっとよくなっている。その確信が世の中を更によくする原動力、そう思う。

ファクトフルネスという本がある。いかに世の中がよくなっているかがデータをもとに解説されている。もし今、未来に不安を抱えているなら、ぜひ一読をお勧めしたい。

 人々が「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みからなかなか抜け出せない原因は「ネガティブ本能」にある。ネガティブ本能とは、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に気づきやすいという本能だ。
(中略)

良い変化のほうが悪い変化より多かったとしても、良い変化はあなたの耳には入ってこない。あなたが探すしかない。統計を見れば、良い変化がそこらじゅうにあることに気づけるだろう。 「悪いニュースのほうが広まりやすい」と心得ておけば、毎日ニュースを見るたびに絶望しないですむ。大人も子供も、ぜひこの考え方を身につけてほしい。

ハンス•ロリング「ファクトフルネス」






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