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2018/8/30 ありがとう、さようなら。

私が「年」を如実に感じはじめたのは36歳の時。フェイスラインがたるんだのにもがっかりしたのだけど、一番許せないのは白髪だった。それまでは白髪が出たらプチプチ抜く程度ですむ量だったのだけど、もはや全部抜いていたらハゲるという勢いで白髪が増え、そこから美容院は「カラー」ではなく「白髪染め」をする場所になった。

「白髪染め」の何が憂鬱だったのかというと「白髪染め」という言葉の響きもそうなのだけれど、ひとえに選べる色の少なさだった。白髪は染まりづらい、だから染めるなら濃い色を使う必要がある、そう初めて白髪染めをするときに説明された。ちょっと明るめの髪色をよしとしていた私にとって、白髪染め後の私はすごく退屈にみえて、そして何よりどっと老けた気がした。

そんな私を救ってくれたのが、とある渋谷のヘアサロンだ。それまで行っていた所よりもっとカット料金が高いサロンにいけば、この髪色でももう少し印象がよくなるのではと思い、予約を入れた。
そこで白髪が出始めて、明るい色に染められなくて困っていると世間話のつもりで伝えたら、「染まりますよ、うちの薬剤は」と言われ、半信半疑で試したところ、本当に染まった。鏡の前には、ずいぶんと若返った私がいた。 その後も髪質が加齢でうねりはじめた悩みを打ち明ければストレートパーマを薦めてくれたり、野暮ったくみえると愚痴れば髪型の提案をしてくれたり。何より、そこに通ってから、垢ぬけたと言われることが増えた。髪型を褒められるたびに、美容院をそこに変えてよかったと思ったし、こんなに私をよく変えてくれた美容院に、私はずっと通うんだと思っていた。

違和感を感じ始めたキッカケは数か月前、担当してもらっていた美容師さんのInstagramをみつけフォローしたことだ。フォロワーも多いその美容師さんはエクステを使ったガーリーなロングヘアを得意としていて、海外から彼を指名するために来日する人もいるほどの人気だったことを知った。
最初は「なんて人気の美容師さんに切ってもらっているんだろう」と誇らしい気持ちだったのだけど、タイムラインに流れてくる大学生くらいの子のガーリーなヘアスタイルをみるたびに違和感を感じ、そして彼が得意としているのは私みたいなアラフォーではなく大学生の髪、ということに気づいて、なんだか急に気まずくなった。そして次回予約をいれていた日に別の予定がバッティングした時、ふと他のところに行ってみようと思い立ち、予約をキャンセルした後、とりなおすことをしなかった。そして昨日久しぶりに新しい美容院に行き、そこで今までの美容院と同じように白髪が染まったのを確認して、これからはここに来ようと決めた。

人間なんてそんなものだと思った。どんなに救われたとその時は心から感謝しても、人はこうも簡単に心変わりをする。これはきっと恋愛においても同じ。数年前に過去にガンになったあるタレントの方の不倫が発覚した時、辛い時期を支えてくれた奥さんを裏切るなんて、そんな叩かれ方をしたけれど。

ありがとう、さよなら。

たとえどんな世話になったとて、人は案外あっさり別れを告げて、次に行く。それを自分の力で防ごうとするなら、過去の恋愛資産に甘んじず、精一杯、毎日毎日愛し続けるしかないのだと思う。

そのほかあったこと。

美容院の後に久しぶりにふーみんへ。名物の豚肉の梅干し煮は既に売り切れていたけど、もうひとつの「納豆ごはん」はまだあった。納豆とひき肉の炒め物、相変わらず絶妙のおいしさ。

中華風家庭料理 ふーみん
03-3498-4466
東京都港区南青山5-7-17 小原流会館 B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130602/13002096/

朝イチで緊急の仕事が入って、明日の子の保育園の送りを彼に頼むことに。快く引き受けてくれてありがたい限り。育児の負担を半分にするより、私はこうやって緊急時に快く対応してもらうのが好きだなあと思う。


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