深度
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Perch.のお手紙 #143
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「好きかも」という気持ちが「やっぱり好きだ」と確信に変わっていく瞬間が愛おしい。それは、誰かを好きになっていく過程でも、モノを好きになっていく過程でも、場所を好きになっていく過程でも。
アトリエの3周年のお疲れ様に先週から高知に来ている。
昨年の夏の終わりに初めて訪れた高知は「好きかも」に溢れていた。
妹との2人旅。毎日場所を変えて車で長距離を移動した。3泊4日では足りなくて、来年はもっと長く来てみよう、そう心に決めた。
今回は高松で美術館をいろいろ巡った後、高速バスで高知に入った。
到着した日の夏みたいなお天気。南国特有の生き生きした緑と大らかな空気。タイムスリップした様な商店街のアーケードと、どこかのんびりとした街の雰囲気。
やっぱり、来てよかった。そう思った。
前半は料理人の先輩とご一緒して、知り合いのお店へ出かけたり、観光名所を流したり。おいしいものを飲んで食べてわいわいと過ごした。この何日かは1人で街中のホテルに滞在をしている。
白い陽射しに目が覚める。7時台から開く喫茶店が街中にあって、今日はどこへ行こうかと考える。
今回は3年分の棚卸しもテーマの一つで、卸しても卸しても足りない諸々にどんよりと眠りにつく夜を経て、起き出した朝の暖かい風。トーストとコーヒーの香ばしい匂いが、どんよりの濃度を下げていく。
午後は仕事をしに真新しくて大きな図書館へ。3階の大きな窓に面した木製のテーブルがお気に入りだ。窓外に小さな高知城を望みながら、まとまった時間で取り組みたかった仕事に集中をする。
夜になると街は賑わう。
小腹をすかせてふらりと入ったお店でも、ハズレはない。素材が力強くて、お料理はシンプルだけれど丁寧で気持ちが良い。旅に出ると自分の作る料理が恋しくなるけれど、全くその気配がなくて驚いている。
「やっぱり好きだ」。ホテルまでの帰り道、そう思う。