初心、とか

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Perch.のお手紙 #98

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愚痴を言わないことにしている。


大学院を卒業して、新卒で入った会社は事務職での入社だった。


同期の入社は女性ばかりで、その職掌の先輩全員も女性だけだった。


噂や愚痴に花の咲くお昼休み。


今なら、そういうコミュニケーションがあることや、心の底から嫌だと思っている訳ではないことや、気遣いや、優しささえも散りばめられていることが少しは分かるようになったけれども、その愚痴を聞くたびに「そんなに嫌なら辞めればいいのに。」と私は思ったのだった。


せっかく大人になったのに、せっかく自分で自分のことを決めることができるのに、人生は私だけのものなのに、自分で自分のことを選択できることはとても幸せなことなのに、と強く強く思ったことを、新生活がはじまって、ちょっと日常を取り戻したような、今みたいな4月の終わり頃によく思い出します。



愚痴を言わない代わりに、私はその会社を1年で辞めてしまった。


私にとって「愚痴」はうまくいかない現状に手をこまねいて何もしようとしない自分なんだと思う。


愚痴が出そうになる時、先に、じゃあ何ができるだろう?じゃあどうしたらいいだろう?本当にしたいことは何だったろう?どうなれたらいいんだろう?と考える。


やめることもできる、続けることもできる。


いつだって、自分に何かできるのは、自分しかいないのだ。


そして、自分を選ぶことができるのは、とても幸せなことだと思う。



弱音は吐くし、ブーブー言うことも沢山ある、もうこれ本当にどうなってる訳?と怒り狂うこともあるし、酔っ払って、もう嫌だと泣くこともある。


けれども、愚痴は言わない。



社会人になった頃の、「初心」みたいなものを思い出している、春のおわりなのでありました。


博多の朝より。