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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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高度に発達した筋肉は、魔法と区別がつかない【MASHLE】(1)

などとアーサー・C・クラークが言っていたような、言っていなかったような。(言ってません)

マッシュルの漫画版、言い換えると原作を買って全部読破しました。
ファンブックも購入し、読んでおります。

ネタバレにお気をつけください!


結論

  • 総合点 10/10点

  • ストーリー 10/10点(本当は20点あげたい)

  • キャラクター 9/10点

  • 世界観 9/10点

  • 画力 6/10点

  • 万人向けかどうか 7/10点

マッシュルを3行で

魔法が使える者だけが生きていける世界。そこにマッシュ・バーンデッドという魔法不全者がいた。
彼は森の中で隠れて過ごしていたが、とある出来事から、魔法学校への入学を余儀なくされる。
彼が魔法学校で巻き起こす脳筋な革命は、延いては世界をも救っていく。

マッシュルはどういう人にオススメか

  • ティーンの友情物語に情熱を覚える人

    • ポケダン時闇空と聞いて古傷が疼く人

  • キャラクターの成長物語が好きな人

    • ポケダン赤青と聞くと感傷的になる人

  • とにかく斬新な魔法物語が読んでみたい人

  • 終始シリアスだとしんどくなる人

マッシュルはどういう人にオススメでないか

  • 流血描写が苦手な人

  • 絵の美麗さを重視する人

  • バトル描写を重視する人

  • シリアスシーン中にギャグが挟まると冷めてしまう人

ストーリー

全部のストーリーを書いているとこの記事の文字数が万単位になるうえ主題がズレるので、詳細な話は序盤だけ書こう。

主要キャラ紹介リンク

序盤をざっくり

これはマッシュ・バーンデッドという魔法が使えない男の革命譚。
マッシュは森の中で育ての親に匿われて過ごしていた。しかし、彼はとある出来事により魔法警察にその存在を発見されてしまう。
魔法警察を筋肉で退治したマッシュは、魔法警察からある条件を以てマッシュと親をお咎め無しにすると告げられる。
それが、「魔法学校に入学し、神覚者になること」であった。神覚者とは、いわば魔法界の中の最高権威である。
魔法が使えないマッシュにあまりにも無茶な要求であったが、彼は親を守るために承諾、入学試験に挑戦することになった。

自分が特に気に入っているストーリー

「第4話 マッシュ・バーンデッドと箒の対決」
「第53話 フィン・エイムズと友達」
「第54話 マッシュ・バーンデッドと暴走の庭球」
「第74話 マッシュ・バーンデッドと負けられない戦い」
「第98話 マッシュ・バーンデッドと決着の時」
「第115話 フィン・エイムズと二人の門番」
「第119話 レイン・エイムズと2人だけの家族」
「第144話 マッシュ・バーンデッドと絶体絶命」
……あと18巻全部です。

もし単行本を買っておらず、このストーリーが気になっている人がいらっしゃれば、本を買ってください!!!!1諭吉くらいで買えます!
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察しのいい人はお気づきかもしれませんが、私は「フィン・エイムズ」というキャラクターをいたく気に入っております。

この記事はキャラクターを語る記事ではないので割愛いたしますが、彼がいたからマッシュルという物語は成り立ったに等しいと思って良い存在です。

マッシュルは確かに主人公「マッシュ・バーンデッド」の革命譚です。
しかし、この話にはもう一つ主題がある。と、筆者は解釈しています。
それが、「マッシュ・バーンデッドとフィン・エイムズの友情譚(フィン・エイムズの成長譚)」なのです。

友情譚としての「マッシュル」【ネタバレ注意!!】

フィンは、魔法学校での成績はそれほど優れず、感情豊かでやや内向的な性格から、いくぶん学校社会からは浮いている存在と感じられます。彼の容姿に関しても、一般的な「イケメン」スタンダードからはやや外れているようです。言わば「学校社会の中の異端」とされる存在です。
好きな言葉が「安寧秩序」であるほどに平和を好む少年ですが、中等部時代から落ちこぼれとして悪い意味で目立っていたことが後に判明します。
(フィンの容姿については、公式ファンブック P25 の「イケメン度数」を参考にしています)

そんな彼は、高等部進学時に、相部屋の存在としてマッシュ・バーンデッドに出会います。その時の表情は、まるで自分の悪運を呪うかのような悲痛な表情をしています。

フィンにとっては悲劇の始まりとも思った事でしょう。しかし、冒険はここから始まるのです。

「学校社会の中の異端」としてのフィン・エイムズと、「社会からも弾き出された異端中の異端」であるマッシュ・バーンデッド。
二人が302号室という小さな空間で出会う事が、すべてのはじまりだったのです。

フィンは初めこそマッシュを(首謀者による不可抗力ながら)虐めます。
その虐めを実行したことをフィンは告白し、首謀者はフィンがどれだけ社会の中で下にいる存在であるかを語り始めます。
しかし、マッシュ・バーンデッドが驚くほど単純であったこと、社会規範に驚くほど無頓着だったことが功を奏して、マッシュはフィンに対して一人の人間として、「いい人」として、手を差し伸べるのです。
マッシュは、社会の上層部にいる「いい奴を傷つける人」ではなく、学生社会の中の底辺である「いい奴」を優先したのです。

この出来事を切っ掛けに、マッシュとフィンは急激に距離を縮めます。
フィンにとってマッシュは命の恩人にも等しく、変わり者であることは彼との距離を置く理由にはなり得なくなったのでしょう。

ここからは露骨なネタバレになるので大まかな点を抽出して書きます。

フィンはマッシュの生活がかかった闘いの中で、学校一の強敵と言ってもいい相手に出会します。棄権すれば命は助けてやると言った敵に対して、フィンは一瞬動揺します。しかし、棄権すればマッシュの平和が壊されることを思い出し、彼は棄権しないことを告げます。学校の中で一二を争うほどに「弱い」フィンは、反撃もできずに敵に言いようにされてしまいます。
そんななか、マッシュがフィンを全力で助けに行くのです。その時マッシュが発した台詞が本当に感動モノなので、是非7巻まで読んでみてください。
もしくは、2024年に放送されるアニメ2期をお待ちください。

こうしてフィンはまたしてもマッシュに救われます。フィンはマッシュに対して、尋常では無い感謝の気持ちを募らせていきます。そして、自分がマッシュの足を引っ張っているという事実に対する申し訳なさも。
しかしマッシュは、そこでもフィンへの感謝の言葉を忘れずに告げます。フィンは二重の意味でマッシュに助けられていったのです。

それからしばらく経った頃、今度はフィンがマッシュを救う展開がやってきます。
それは、試験勉強のときです。マッシュは勉学が大の苦手であり、学問を頭に入れようとすると頭が爆発するようです。彼のもとにはレモン・アーヴィンやランス、ドット、フィンが集まり、スパルタでマッシュに赤点を取らせないよう勉強会を開きます。しかし、マッシュは勉強に嫌気がさし、学校を(文字通り)飛び出してしまうのです。
レモン、ドット、フィンは後を追いかけようとしますが、ランスに止められます。しかし、それでもフィンだけは彼を追いかけるのです。
フィンは森の中で逃げたマッシュを発見し、自分と一緒に卒業したいと告げます。普段は「人は人我は我」を貫くマッシュの心を動かし、勉強に復帰するのです。
フィンがマッシュに与えたものは、勉強の知識(だけ)でも、圧倒的な強さ故の庇護でも、カリスマ性による精神の鼓舞でもありませんでした。
ただ、自分がマッシュとともに卒業したいという、友達でいたいという、その気持ち。そして、「マッシュくんらしさ」というある種の絆(ほだし)でした。
このフィンの呼びかけによってマッシュは学校生活を続けることができ、延いては世界も救われたのです。

この後にも友情譚は続きますが、この話は別の記事でじっくりと書きます。

このように、マッシュルにはただ熱いだけではない、「篤い」友情とも言える物語が詰まっています。
初期のポケモン不思議のダンジョンシリーズで毎回泣いている自分が、マッシュとフィンの友情物語に何度泣かされたことか

キャラクターそのもの

マッシュルには多くの個性豊かなキャラクターがいます。
特殊だと思うのは、何かに優れているキャラクターには、何かしらの「面白い点」が付加されている点です。そして、その属性が単なる面白さ由来のネタに終始せず、キャラクターの性格等アイデンティティに強く紐付いている点が、キャラクターを高評価とした理由です。
例として、レイン・エイムズ(とても強い)はウサギ好き、ランス・クラウンは重度の……(伏せ字)です。
オーター・マドルすら眼鏡を外すと目が「3」になるという面白いポイントを残しておりました。これには脱帽です(笑)

この作業をしているおかげなのか、マッシュとフィン、レグロといった周縁側の存在のキャラクター性がより感情移入しやすい形で浮き彫りになっていきます。

レモンとマッシュは本編の距離感が一番好きです(フィンとマッシュも同じく)

世界観(設定)

ギャグ漫画ですが、その実深いテーマがあります。
筋肉が高等魔法を凌駕する仕組みこそファンタジーであるが、魔法に筋肉で対抗するための数々の(面白い)手法は荒唐無稽とは言い難い面白さを感じさせます。
また、キャラクター同士の関係やバックグラウンドととてつもなくしっかりとされている印象を抱くほどに、性格等の造形と行動の矛盾点が少ないのも良い点です。幼少期からの生い立ちがあり、その生い立ちが重くのしかかっているキャラクターたちには、重厚さを感じさせます。
その背景にある社会も作者の中に明確に存在しているのだろうなと思わされる台詞が多くあります。

画力

やや勢いに任せた絵が多く、美麗なイラストが好きな人は「ちょっと違う」という気持ちになる可能性が高いです。
バトルの描写も派手な緊迫感ある構図ではないかなと感じました。
逆に、マッシュルの絵のタッチが好きな人も多いと思います。(自分はこちら側)
表紙と漫画の絵が結構違うので、1話だけでも読んでみて真相を確かめることをオススメします。

万人向けか?

ジャンプ漫画として、かなり「多方面に配慮された」書きぶりが多いと感じる。
贔屓目も多少はあるが、加害性を孕む思想をマッシュがバッサリと(批判的に)斬っていく描写が多く見られるため、個人的に読みやすく感じました。
「不合理さ」への肯定がこの作品の根底には存在しているように思えて、自分はそこにいたく感動しています。

ただ、強いて言うならばヒロインの属性が人を選ぶだろうなと思いました。
私はあのようなヒロインが新鮮で大好きですし、ヒロインの重たいながら献身的な愛情に感動したファンがとても多いでしょう。
個人的にはレモンちゃんのようなヒロインがもっと増えてほしいなと思っています。

最後に

ポケダン時闇で泣いた人はマッシュルを読もう(強制ではない)
赤青で泣いた人もマッシュルを読もう(強制ではない)
マッシュとフィンの友情物語があなたの心をきっと揺さぶることだろう
フィンの勇姿がきっとあなたの心を打つことだろう
少なくとも筆者にとっては、「ずっと出会いたかった友情物語」であったのだから

以上






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