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事業計画④僕にとっての金融機関とは。

これまでのおさらい

こんばんは。前々回からの本題に戻ります。これまでのお話のおさらいとして自粛や休業だからと言って世間に対して恨みを抱いたり、国や自治体の補助政策が悪い、遅いなど不平を言うよりはまず自社の足元を見つめなおす、そして未来に向けて理想図を描き出すというところを書いてきました。その中で中小企業の経営者と共にブレインのようにサポートしてくれるのが社労士や税理士さんであってその方々との付き合いの見直し方も書いてきました。そして今日はその最後として金融機関との関係について書きます。

300万円の融資。

ちょうど今から5年前、僕は銀行から300万円の融資を断られていました。5年前というと2014年の消費税の増税がありました。そしてその前の年はというと分煙法の規制が強化され、喫煙天国と言われていた僕が経営しているカフェチェーンもイメージアップのために店舗イメージを一新し、分煙化を進めるために投資をしておりました。当時はたった30坪の小さな店でしたが売り上げはそこそこありました。しかし、分煙化による座席数の減少、喫煙者共存からの脱却への人々のライフスタイルへの変化、そして8%への増税によるデフレの進行、消費の減退と皆さんにとっては何気なくすごした時期だったのかもしれませんが僕にとってはコロナショックと同等の世の中の変化でした。ほぼ年間を通じて前年比を大きく落としてしまいました。

ほかにも身内の負債にまつわるところもあるのですがそこは一旦割愛します。そして親も「自分が死んでその保険金で返せばいい!」などと本気で死を選択しようとしたりと絶望とプレッシャーと情けなさと恐怖と変なプライドが入り混じって自分自身が崩壊していきました。(本当に周辺各位に迷惑かけました・・・)

藁にもすがる。

そのようなときにふと常連客で、飲食の卸会社の社長の言葉がよぎりました。その方はかれこれ10年くらい毎日僕のお店に通ってくれていた方でした。「お前は接客もよくて毎日一生懸命だ。しかしどこかいつも調子に乗っているのが気になる。お前は必ずこの先失敗する。失敗してどうしようもなくなったら俺の会社に来い。一度だけ助けてやる。」僕はこの言葉をいつも言われていて、どこかしらイラっとしながら聞いていたのですが、まさかこの言葉を思い出してこの社長の事務所に伺うことになるとは思いませんでした。

まず伺って事情を説明して言われてことは「いくらほしいんだ(借りたい)?」といって自身の個人の通帳を見せてくれました。おそらく億近くあるのを見た記憶があります。この方になんで僕にお金を貸してくれるのかを聞いたところ、その方の若いころに似ていたからだという。その方も同様に40歳ぐらいには大失敗してお金が全くなくなったがとある人に一度だけ助けてもらったことがあるという。うまく助けられればそれで良いが助けられなければ自分の見る目がなかったとあきらめるという。そして改めて聞かれた「いくら借りたいんだ?」。

「300万円お願いします。」と銀行への申し込み金額を伝えた。内訳は当面への支払いのための金額であった。(無論、御法度であるが税金の滞納分もあった。)

「ダメだ。」とあっさり言われた。理由も内訳も、返済方法も伝えた。でも断られた。2日やる、それまでに次のことを考えて本当に必要な金額を言いに来い。そういわれた。

お金を借りる条件

①どのような会社にしたいのか。5年後、10年後。そして未来。

②借りたお金をどうやって使って、どのように改善し、現金をプールしていくのか。

③何に貢献する会社なのか

そう、この方が僕が調子に乗っていると言っていたのはおそらく立地が良くフランチャイズという確立された中でお客様は毎日来てくれるのが当たり前と勘違いしていたからなんだと思った。全国業界トップのフランチャイズだからと言ってその店がその地域にある社会性、機能、そしてそれを運営する自分の株式会社ラダーが一体何のために存在するのかを改めて考えなおした。創業者の本やらチェーン店の教育テキストから本当に片っ端から読み直した。もちろん財務の改善方針についても考えなおして一つの将来の夢を作りなおした。

その方に申し入れたのは以下の2点でした。

「800万円を3年返済で借りたい。それを使って向こう1年間ですべての負債をなくす。そしてスタッフのリストラはせず自分自身が財務などの守りのところにより時間を割く。」

「地域におけるフランチャイズと地元との見えない壁を取り除き、その地域のコーヒーの販売拠点となりそして街を活性化させる」「そのためには来年には自分の店の隣の店を買収し、そこに日本一のコーヒーショップを作りたい。」

お金は借りることができました。それからは毎月返済の振り込みをするたびにその社長のもとを訪れ、業績報告というより社長としていつも何をすべきかということを聞かされました。社長は常に夢を作ることをしなくてはならないということ。絶えず反省をしなくてはならないということ。失敗を認められる人でなくてはならないということ。周りの人と協調できる人間でなくてはならないこと。ここまで書いてきた内容も多分にその方からの教えが盛り込まれているのかもしれません。

2014年から15年、300万円を銀行から借りることができなかった僕は2016年8000万円のお金を借りてFC店としては日本最大規模の店舗になりました。そしてその改装もそしてその社長からの借り入れも返し終えることができました。

そして何よりの成果がこれをきっかけに船橋の多くの人とかかわりを持つことができるようになったこと。地域のためにコーヒーを通じて何ができるのかと考えるようになったこと。その効果が地域の皆さんに伝わり始めていて多くの反応が感じられるようになったこと。その想いがさらに夢となって「船橋から世界へ」という想いを込めて株式会社Philocoffeaが立ち上がったわけです。

しかしながら前回もお話ししましたが事業や物事が絶好調だなあって時は2年も続きません。競合がたくさんでき、駅ビルができて世の中はどんどん様変わりします。そして今回のコロナショックが起きるわけです。夢が崩れ去るような世の中になってしまったのです。

金融機関の役割とは?

さて本タイトルの主題の「金融機関」がまだ出てきておりません。しかし、ここまでの内容がすべてです。銀行も、信用金庫もその会社が何のために存在していて誰のために貢献していて地域の発展に寄与しているかということを強くみているのです。単純に困っているから泣きついてお金を出してくれる場所でもないのです。特に信用金庫の掲げるビジョンも「地域社会への繁栄」「中小企業の健全な発展」というキーワードがあったと思います。そして中小企業の代表とはまさにその企業の顔でもあります。代表自身が会社のビジョン、夢、それに向かっての計画を伝えられないようでは今回のように困ったときにお金を動かすことができないのではないかと思います。

僕は今でも毎月取引している銀行、信用金庫、公庫すべてに可能な限り毎月時間を取って会社の概況、課題、翌月以降の修正を伝えに行きます。メインバンク、第2、第3などテクニカルな内容はさておいても各機関はみんな僕たちにとってはパートナーですからいつでも自分たちのことは理解してもらいたいと思っているわけです。僕にとっての金融機関、それは僕たちの夢を支えてくれる会社なのです。だからこのような情勢のなか、売り上げがめちゃくちゃ落ちようとも、これをチャンスととらえ、新しい夢を描けているか、それが具体化され数字にまで表現できているか、現状を嘆いてわめいている瞬間なんかないのです。




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