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オンライン・オフラインプレゼンにおける罠と事前対策ポイント 15 #技育展

先立ってサポーターズ主催技育展予選にゲスト審査員として参加させていただきました。

次々と生まれるスタートアップや新規事業がある中、新規アイディアの余白とはどれほど残っているのかと疑問に思うことも多々ありますが、しっかりとご時世と技術トレンドを抑えた発表をされて居られることに頼もしさを感じていました。

そのまま産学連携や地域おこしプロジェクト、プロダクト化を目指しても違和感のない発表も多いので是非継続していただきたいところです。

拝聴していて惜しいなと思ったのがプレゼンのトラブルです。かれこれプレゼンをするようになって23年が経過しましたが、自身が遭ったり、目の前で他の人が見舞われたトラブルは数え切れません。自身のプレゼン内容に集中できるようにここだけは抑えておきたいポイントについて、小話を交えながらお話していきます。


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オフライン、オンラインともに共通の項目についてです。

余裕を持ってPC再起動

プレゼン用のPCは事前に再起動しておくようにしましょう。作業環境を保存しておかないと効率が悪いように思いがちなのですが、メモリ使用状況が汚いと何かしらのトラブルが起きます。プレゼンで詰まる方の多くが再起動を怠っている場合があります。

Windows Updateは前もって実施

特にWindowsはWIndows Updateにより再起動時が求められたりするので余裕を持って対応する必要があります。WIndows Updateを完了しないと音が出ない、カメラが有効にならない時もあります。また、WIndows Updateを実施することによってPCが不安定になったり、周辺機器が使えなくなったり、ドライバが無効化されたりするようなことも稀にあります。

万が一のことを考えてのバックアップはどの環境でも重要ですが、特にWindowsでは注意が必要です。

不要なアプリは落とす

プレゼンで使わないアプリは落とすようにしましょう。計算機資源の消費により遅くなることもありますし、余計なものが写ったりするリスクもあります。発表に関するものであればスルーされますが、プライベートなものが映るとかなり気になってしまいます。

見られて恥ずかしい壁紙にしない

20人に1人くらいの割合で画面共有時に壁紙が丸写しになることがあります。この時にデスクトップ一面に拡がり、重なるダウンロードファイルやスクリーンショット画像も恥ずかしいですが、趣味全開の壁紙を大衆に披露する方も居られます。内容によってはセクハラを疑われるケースも何度か見かけました。水着の女性が寝そべっているものとかありました。

あまりに事故に遭う方を見かけるので、個人的にはここ10数年はmacOSはデフォルト壁紙、WIndowsはデフォルト、もしくは黒単一色にしています。

ブラウザは余計なものを見せない

プレゼンで使わないウィンドウは閉じるのが望ましいです。Googleスライドなどでプレゼンをする場合、使わないタブやブックマークバーが気になることが多々あります。社会人の場合は守秘義務が発生する取引先の名前などが見られるケースもよく見ます。そしてそれをチェックしている人も居ます。

ブックマークバーも同様に予期しない情報漏洩リスクがあるため、非表示にしましょう。シークレットウィンドウでプレゼンをする方もおられます。

デモには悪魔が住んでいるので動画推奨

動いているものができると、どうしてもそれを証明したくてデモをしたくなります。その気持はよく分かるのですがちょっとしたトラブルで動かなくなるのもデモです。プレゼン中に動作しなくなることも数え切れないほど見てきました。特にlocalhost上で動作しているものに多い印象です。実機という実装の証拠を見せたい気持ちはぐっとこらえつつ、動画を撮ってそれを再生するということをお勧めします。

動画の音は流れないと思って良い

年々動画編集に力を入れているプレゼンが増えています。これ自体は大変結構なことなのですが、特に音声に関しては滞り無く出力されるかどうかは別問題です。

オフラインの場合、パソコンのスピーカーにハンドマイクを押し当てるという方法で乗り切らざるを得ないシチュエーションはそれなりにあるのですが、聞こえにくいです。

時間が区切られているLTの場合、紹介プレゼンも含めて動画にされている方も居られますが、説明音声が流れないリスクを鑑みてプレゼンテーターが話すくらいの気持ちで準備をしたほうが賢明です。

事前接続試験は積極的に

会によっては事前接続試験ができる機会があります。積極的に利用したいところです。下記の点についてチェックをしましょう。

  • 画面共有

  • プレゼンの画面表示

  • ページ送りができるかどうか

  • 動画の再生

  • 音声がある場合は音声の再生

事前接続試験ができない場合、自身で実績のないプレゼンテーションアプリはリスクが高いです。アニメーションや動画は失われますが、PDF化しておくなど最悪のシチュエーションに備えておくことも必要です。

機材のバックアッププランを用意する

何をどうやってもスライドが表示されないことがオンライン・オフライン共にあります。

バックアップの機材を用意しておくこともお勧めです。特に外でプレゼンをする際、私はノートPCに加えてiPadでもプレゼンができるように準備して望むようにしています。

会によってはスタッフがスライドを集めて代理表示してくれるケースもあるため、予め確認をして送付しておくこともお勧めです。

表示するOSが異なる場合、レイアウト崩れに注意しましょう。事前に表示チェックをしてから本番に望むことがポイントです。

かつて実際に見た話ですが、ノートPCの外装はボロボロ、表示されなくなったディスプレイは外され、ガムテープでぐるぐる巻きにされた状態で卒論発表をされていました。今思い返しても強心臓すぎて理解ができません。

オンライン編

コロナ禍でぐっと広がったオンラインプレゼンですが、こちらにもいくつか注意ポイントがあります。

可能な限り有線LANで接続する

可能な限り勝負プレゼンでは有線LANに繋ぐことをお勧めします。2.4GHzを使っていて、家人が電子レンジを使うたびに接続が不安定になる人もよく見かけます。

電波は水に吸収されやすい特徴があるため、モバイルWi-Fiルーターユーザーなどは豪雨に影響を受ける可能性があります。フィリピンのエンジニア採用をしていたときに、豪雨で全くビデオ面接が成立しなかったことがよくありました。ここのところの日本も東南アジアの雨季並みに雨が降ることもあるため、そのような事象に見舞われている人を見かけることが多くなりました。先日も線状降水帯が起きている地域や、台風に見舞われた沖縄の方が非常に危うかったです。

有線接続された外付けマイクを使う

音声トラブルは音が聞こえない可能性、マイクが入っていない可能性、デバイス選択の誤作動、アプリケーションの不調、ネットワークの不調など問題の切り分けを即座にすることは難しいので、極力不安材料は避けましょう。

内蔵マイクはPCの機種によってはなんとも言えない品質の低さのため、緊急避難的な立ち位置だと捉えるのが良いです。周囲の音が入りやすい機種も多いためお勧めできません。

AirPodsに代表されるワイヤレスイヤホン(TWS)ユーザーも増えています。私もオーディオ好きなので何セットか持っていますが、プレゼンのときには使いません。出先の場合は基本的に有線マイク付きイヤホンを利用するようにしています。TWSはBluetooth接続が不安定になることもあるだけでなく、充電が切れることもあります。私がモデレーターをしていた座談会で、そうした話者の方が居られたこともあります。

Bluetoothヘッドホンも会議では信じていません。実際にミーティング中に遭遇したトラブルですが、毎分側面をタッチしないと音声が切れる症状が起きたことがあります。

有線イヤホンのマイクも内蔵よりはましですが、品質が低いものも少なくありません。興味があればJabraあたりを抑えておくとマイク品質に間違いがないです。

macOSの場合は初めて画面共有をする際に注意

初めてmacOSからzoom接続をする際に陥りがちなものです。予め対応しておきましょう。設定後は接続テスト、画面共有テストをしてから望みましょう。

オフライン編

コロナが五類となり、オフラインでのプレゼンも増えてきました。3年という長いブランクを経て、オフラインでのプレゼンのハマりどころを忘れている方も見受けられます。

バッテリーはチェックする

基本的なことではありますが、長らく電源を接続したままにしてバッテリーがヘタっていることに気づかないケースや、ユーザーがどの程度バッテリーが持つか把握していないケースもあります。

最近のノートPCはUSB-C給電のためACアダプタは借りやすくなりましたが、それでもACアダプタの最大電流によっては充電されませんので備えが必要です。下記のサイトにもまとまっていますが、実に面倒だなと思うことが多いです。

現地でネットワークに繋げられるとは限らない

Googleスライドの利用や、YouTubeなどの動画貼り付けが一般的になりましたが、これらはオンライン接続されていることを前提とされているため、インターネット接続が必要です。

出先に公開されたWi-Fiがあるとは限りませんし、安定して接続できるほど空いているとも限りません。度々見かける現象ですが、公開されたWi-Fiがあるものの混み合っており使い物にならず、持参したモバイルネットワークに逃げた人が増えた結果、携帯基地局も混んでどちらも遅くて使い物にならないということもあります。

オフラインでプレゼンが完結できるように備えておくのが安全です。

プロジェクタ接続方法に注意

オフラインのプレゼンで一度は遭遇したトラブルだという方は多いのではないでしょうか。

元より接続端子の問題もあります。

  • USB-C

  • HDMI

  • RGBもまだある

USB-C、HDMI変換コネクターはサードパーティー製よりもApple製が手堅いのでお勧めしています。

個人的な経験としては、WindowsなどよりもiPadの方が懐が広いのか表示されやすいように思います。これも私がiPadを利用する理由の一つです。

しかし古い環境はもちろんのこと、ある程度の新しそうなオフィスでも、ケーブルの扱いが雑なためにケーブルが断線しかかっているようなケースもあります。会場備え付けのUSB-C HDMI変換ケーブルが断線しかかっているケースもあるため、自身で持ち込んでおくことをお勧めします。壁から伸びているHDMIケーブルが傷んでいるケースもあるため油断はなりません。

他にはディスプレイケーブルを絶妙に持ち上げると通電して映るパターンもあります。何度かケーブルを絶妙に持ち上げながらプレゼンしたことがあります。

多くの場合、テストされてた(あらゆる組み合わせを経て何故か表示されている)会場主催者にファイルを渡し、代理表示してもらうことになります。この際、予め手軽に共有できるようにクラウドストレージにファイルを置いたり、前述したような汎用的なファイル形式(PDF、PPTなど)にしておくと安心です。

プレゼン後は発表実績としてまとめよう

発表した内容は結果に関わらず、実績として蓄積しないと勿体ないです。SpeakerDeckなどへの公開は任意ですが、職務経歴書や自己PRへの記載は強くお勧めします。

  • 発表した場所・機会

  • 内容のサマリ

  • 成果

  • 自身の役割

  • 工夫した点

  • ぶつかった壁とその解決方法

これらのポイントを抑えることによって実績に深みが出ますので、是非トライしてください。就活のみならず転職活動などでも役に立ちます。

今回技育展も主催されていたサポーターズさんでは、エバンジェリストとしてnoteも更新させていただいています。採用企業側を主眼に置いた内容です。裏事情を候補者として知ることは大変強みになるので、合わせて御覧ください。


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